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レクシア -de quodam lexicone fabula-  作者: Nekke
第2章 ルーメル編
20/21

0019 白灯亭

先週は寝込んでいて投稿できませんでした。すみません。

「討伐隊を組む。方向は南へ、規模は大規模なものだ。この街にいる全ての冒険者を集める」

 ギルドマスターの一言で、部屋の空気は完全に戦時のそれへと変わっていた。

「準備が整い次第、討伐隊は出発する。詳細は後で通達するが、お前も装備の確認をしておけ」

 ローディスさんたちは短く頷き、そのまま立ち上がる。話はもう終わりだってことだろう。


「それじゃあ、行くぞ」

「ああ」

 二人が部屋を出るのに合わせて、私も部屋を出る。

 そのまま外にいたクレアさんたちと合流する。

「討伐隊を組むことになった。準備を進めておけ」

「それは…やっぱオーガかよ?」

「そうだ。それから、『蹂躙(スタンピード)』が起こる可能性がある」

「おいおい、マジかよ…忙しくなるな」

「それじゃあ、私はこの子を宿まで案内しておきますね」

「ああ、よろしく頼む」


 ってことは、私は行かないってことかな?

 考えてみれば、当たり前か。私って、ただ逃げてきただけの一般人だもんね。

「それじゃあ、行きましょう。着いて来てください」


 ギルドを出ると、外はすっかり夕方になっていた。橙色の光が石畳に伸びて、街全体を柔らかく包んでいる。

「ほら、こっちですよ」

 クレアさんが先に立って歩き出す。

 私はその後ろをついて行きながら、ぼんやりと街並みを眺めていた。


 ……討伐隊か。

 確かに、あのオーガは強かった。正面から戦って勝てる気は、今でも全くしない。

 …でも、だからって、何もせずに待つだけっていうのは、なんか違うよね。

 あー、どうしよう。


 考えながら歩いていると、やがて一軒の建物の前で足が止まった。

「ここです」

 クレアさんが振り返る。

 木造の、少し落ち着いた雰囲気の宿だった。看板には、白い灯りの意匠が描かれている。

「『白灯亭』。冒険者にも評判のいい宿ですよ」

 なるほど、確かに落ち着いてて良さそう。

「今日はここでゆっくり休んでください。無理はしないこと、いいですね?」

「……はい」

 今はとりあえず、素直に頷いておこう。

「それじゃあ、私たちは準備がありますので」

 クレアさんは軽く手を振って、去っていった。


 部屋に通されて、一人になる。…静かだ。

 ベッドに腰を下ろし、軽く息をつく。まずはできることを探そう。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

レクシア 種族:人類/人間 年齢:13歳 性別:女

役職:無職 レベル:10

HP:54/54 MP:43/125

ステータス傾向:

MP:SS

魔法攻撃:S

属性傾向:

闇:S

スキル:

索知:レベル5

 探識:レベル3

分体:レベル3

読書:レベル5

 御伽:レベル2

偽装:レベル1

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 当たり前だけど、馬車の中で【索知】を使った時と結果は変わってない。MPが回復したくらいかな?

 さて、使えそうなものは……

 これだ!【分体】!


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

分体:

MPを消費して分体を生成する。

分体の最大数や性能は、スキルレベルに依存。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ここから察するに、恐らく分体は複数体生成できる。

 つまり、分体を生成してうまく誤魔化したら、いい感じで出れるかもしれない!

 いざ、やってみよう!【分体】!


 そう念じると共に、ページが宙を舞い、もう一つの人の形を紡いでいく。

 いつもは一体だけ生成していたから、実際に見るのは初めてだけど、やっぱり神秘的だ。

 眼まで紡ぎ出されると、もう一つの視界が開けてくる。

 肩にかかる髪が、窓から出る風でわずかに揺れる。白い、紙のように淡い色。けれどその毛先は、インクを垂らしたように黒く滲んでいた。


 その時、後ろから声がした。

「何してるんですか?」

「ひゃっ!?」

 急いで分体を消す。振り返ると、クレアさんがいた。…見られたかな?

「今、レクシアさんが二人いたような気がしたのですが、気のせいみたいですね」

 良かった。見られてないみたい。


「そういえば、なんですけど…ほら、これ」

 そう言って、私の手を優しく包み込む。手を離すと、小さめの巾着袋が握られていた。中を見ると、さまざまな色の貨幣が入っている。

「お小遣いです。私たちが帰ってくるまで、朝と夜は宿の人に頼んでいるから、昼は外で食べてね」

「…いいんですか?」

「もちろん。むしろ、しばらく一緒にいられなくてごめんなさい」

「いえ、とんでもない。ありがとうございます」

 本当に感謝しかないね。


「それじゃあ、楽しんでくださいね。ルーメルはいい街ですから」

 その声を、手を振りながら見送る。廊下の奥へ消えた頃に、ほっと一息ついた。

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