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レクシア -de quodam lexicone fabula-  作者: Nekke
第2章 ルーメル編
17/21

0016 少年

「ところで、レクシアと言ったな。森で何をしていた?」

 まっすぐな問い。やっぱそうなるよね、だって怪しいもん。どう答えるべきだろう。

 そう考えながらも、私の視線はその奥、ローディスさんの後ろにいる私と同年代の少年に釘付けになっていた。


 茶色の髪に、まだ少し幼さの残る顔立ち。背丈も私と大きくは変わらない。普通の冒険者の装備を着けて立っているだけの、ごく普通の少年……のはず。なんだけど…

 何か、小骨が喉に刺さったような、違和感を覚えた。なんでだろう?調べてみよっか。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

カイル 種族:人類/人間 年齢:13 性別:男

役職:剣士 レベル:19

称号:勇者の卵

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 なるほどね、勇者の卵だったのか。確かに、他のメンバーと年齢が離れてるような気はしてたし、冒険者パーティーって基本的には同年代で組むよね。ってことは、このパーティーは勇者育成パーティーだったのかも。

 図書館で読んだ話だけど、どうやら魔王に対抗するために勇者を育成するパーティーが作られるらしい。育成は、勇者の卵を他の実力があるパーティーに入れる形で行われるそうだ。


「…おい?」

 ローディスさんの声で、私ははっと意識を取り戻した。

「さっきから黙り込んでるが、大丈夫か?」

「あっ、すみません、少しぼーっとしてました」

 流石に、「探識に明け暮れてました」とは言えない。


「そうか…それで、結局何をしていたんだ?」

 やっぱそうなるよね、分かってた。さて、何と答えたものかな。

 典型的ですぐに思い付いたのは、「住んでた村をオーガに襲われて、一人逃げてきた」とかなんだろうけど、途中でバルトンさんを助けちゃってるから辻褄が合わないんだよね…

 冒険者っていう設定もボロが出るから使えないし、他には何かあるかな?

 そうだ、これなら行けるかも!

「村を追放されて、森で一人で暮らしていました」

 村を(図書館から)追放されて(家出して)、森で一人で暮らしていた(レベルを上げていた)。何も違わないね。


「……村を追放、か」

 ローディスさんは少しだけ眉をひそめたが、それ以上は深く追及してこないみたい。代わりに、クレアさんが柔らかな声で言った。

「大変でしたね。でも、もう大丈夫ですよ。ルーメルはいい街ですから」

「……はい、ありがとうございます」

 私は小さくうなずく。


 その時、バルトンさんが思い出したように声を上げた。

「そういえば、まだちゃんと話していなかったが、少し前にこの子がゴブリンに襲われていたところを追い払ってくれてな」

「ゴブリン?」

 レンさんが眉を上げる。

「数は何匹だったんだ?」

「三匹だ。ただ、襲ってきた中にゴブリンチーフがいた」

「確かゴブリンチーフって、他のゴブリンがいなくならないと逃げないよな?他のゴブリンは倒したのか?」

 レンさんが感心したようにこちらを見る。


 うーん、どう答えたものかな。本当はゴブリンの巣まで行って、全滅させてきたんだけど、それは言わない方がいい気がするからね。

「追い払っただけですよ、別に」

「そうか、ならいいが…そんなことより、本当にゴブリンチーフが出たのか?」

 ローディスさんがバルトンさんに聞く。

「ああ、それについては本当だ」

「それはまずいな…ゴブリンチーフは部隊長の役目だから、そいつがいるとなると、複数個の集落がある可能性が高くなる。そうしたら、相当大規模な群れになるな。早めに見つけておきたい」

 それを聞きながら、クレアさんが首を傾げてる。

「…ちょっとおかしいですね。あの辺りの森は、魔力が薄いから、魔物もそこまで強くならないはず。そこまで大きなゴブリンの群れは、発生するはずないでしょう。それに、オーガなんか絶対にいるはずないのに。何か知ってますか?」

 え、私?そんなこと言われても、何も知らないよ、多分。まあ、最近あったことといえば転生してきたことくらいだけど、もし私の転生に関わってるのならどうしようもないし、どっちにしろそのことはまだ言えないかな。


「心当たりは特にはないです」

「……そうですか。でも普通なら、あり得ないはず…まあ、知らないならしょうがないですね!」


 ローディスさんは腕を組み、低く唸る。

「オーガが出たというのはやはり引っかかるな。あんな魔物、この辺の森にはまず出ない」

「迷い込んだ、って線は…ねえな。流石にこの辺りは南すぎる」

 レンさんが軽く言う。

「まあとにかく、帰ったらギルマスに報告だ。バルトン、後どのくらいかかりそうなんだ?」

「そうだな…後小一時間といったところか。そこまでかからないぞ」




 バルトンさんの言葉の通り、それからしばらくすると馬車の速度が少し落ちた。

「お、見えてきたぞ」

 レンさんが外を指差す。

 つられて視線を向けると、遠くの丘の向こうに、石の壁と塔が見えた。高い城壁に囲まれた、大きな街。ああ、遂に着いたのか。長かったなあ。


「ルーメル…西部最大の街だ」

 ローディスさんが言う。

 私はしばらく、その街を見つめていた。

 ……ここから、私の新しい生活が始まる。

 図書館を出て、初めての街だった。

お久しぶりです。

しばらく更新が止まってしまい、申し訳ありませんでした。


少し忙しくなってしまい、結果的に長い間お休みする形になってしまいました。

今日からまた投稿を再開していこうと思いますので、もしよろしければこれからも読んでいただけると嬉しいです。

さらに、数日間連続投稿をしようと思います。


改めて、ここまで読んでくださって本当にありがとうございます。

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