老いに先に至ること
老いを感じる
老いとは何だろうか
蛇が自分の尻尾を食べている
そんな感覚がする
人は、外に向かねばならない
内に籠もるとは
否応なく自らの心に向かうことになる
過去という亡霊
未来という不安
これらが
心に、じわりじわりと喰い込んでくる
強い、弱いの問題なのだろうか
否、これが人間ではないか
過去と現在が自分である
これらと見つめ合うのが辛いとは
老いたせいかもしれない
これまでの無意識に潜む意識、感覚が
心から
あふれ滲み出てくる
心が、脂汗をかいて苦しんでいる
時の流れは、解決する方法を失わせた
故に、苦しむ
意識の外に広がる過去の本音が甦る
歳を取ると
じっとすることが難しくなる
朝起きて、寝るまで
何かに没頭する、敢えてそうしている
生きた秒、分、時間だけ溜め込んでいる
過去の自分が
現在の自分を、喰らい始めている
救いはない
これは生き様の自業自得
これこそ
死へと向かう始まりかも知れない
受け止めねばならない
蛇が自分の尻尾を食べている
この感覚こそ
個の完成に向けた
最後の振り返りなのだ
全てを背負ってから、死へと向かえと