11 思いの重さに優劣などない……はず
出現した階段周辺に灯りはついたが、全体を照らすほどの光量はない。暗い空間が依然広がっている。
「多分、広場になってると思うんだー……」
ユリシーズは少し大きめに声を出してみる。声の届き方を聞いて、やはりここはだだっ広い空間だと認識する。
下まで降りた。ここから先は灯りもないので手元のカンテラの灯りが頼りだ。ダンジョン産の燃料の要らない灯りとやらが欲しくなる。
……その灯りはもしかしたら、ここから盗られたものかもしれないが。
暗い中を進んでいく。目標物もなにも見当たらないので、どうしたものか、と思いつつ進む。
ギョロロロ! と空間に聞き覚えのある鳴き声が聞こえた。
「あれ、あの小鳥じゃない?」
鳴き声を頼りに進んでいく。カンテラの灯りが照らしつけた先に、以前出会った小鳥の姿があった。
「これ、ケントの道具?」
「確かに、逆さになったときにいくつか落としましたが……」
小鳥と共にあったのは、ケントの道具だ。
「拾ったのか?」
「まさかー」
小鳥が拾って集めてくれたのかと考えるが、そんなわけはないだろうと彼らは一笑する。しかし、あれだけ横に振られていたのだからバラバラに落ちていそうなものだが、道具類は一か所に固まっていた。
「これは、アイテムか」
「さっきの鳥? のやつから落ちたのかなあ」
さらには傍らにアイテムが添えてある。
ギョルル……と鳴きながら、小鳥はまたどこかへ飛んだ。
「鳥ちゃーん?」
呼びかけると、返事をするかのようにギョル! と聞こえた。まだこの場所にはいるようだ。
「この広場はこんな風に半円状に広がってると思うんだよね」
ユリシーズは手ぶりで示しながら、広場の形の予想を語る。
「で、多分出口は複数あると思うんだ。それぞれの方向から入ってきやすいように作られてると思う」
「どこから進むかで攻略の仕方が変わってきそうですね」
「博打だな」
三人はとりあえず、広場の端まで行ってから、壁沿いに出口を探そうと歩く。
「出口は3つあったけど……」
その内の2か所は封鎖されていた。
「これって、攻略している人間側が封鎖したのかなあ。それとも、ダンジョン側が行かせないようにしてるのかなあ」
「後者だと嫌な感じがしますね」
「でも、とりあえずはすぐに行ける方向に行くしかないんじゃない?」
どこから出るか迷うことになるかと思ったが、一か所から進むしかなかったのだ。
「ギョー!」
「あ、小鳥ちゃん」
出口を出たとこで、またあの小鳥の姿を見かけた。待ち構えていたのか鳴き声を上げてあいさつをしてくる。
「君、俺達についてくるんだね」
ケントは再三姿を現す小鳥にやはりとの思いを確かにした。
「この辺は居住区? 上の方にあった部屋よりかなり家っぽい雰囲気だなあ」
「長屋って言ってわかりますかね」
「長屋?」
「街中には同じ部屋が連なっている一つの建物を各部屋を各家庭が使う感じで共同生活するんですよ」
「へえ……一軒ずつ建てないんだ。それなら多くの人が住めそう」
「そういう造りっぽいですよね、この辺の建物は」
「地下に建物あるってよく考えたらすごいな」
「今日はこの辺のどっかで休む?」
「うん」
彼らは一角にある部屋の内の一つに入って休むことにした。




