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「どういうことだ?」
「過緊張で筋肉が異常に収縮したとかそんなん?」
「そういうんじゃねえ! でも、手から外せない!」
ヒースとニームの推測にカシアがかぶりを振る。フーゴはこれはあれだと思いつつ、先に拾った巻物の存在を思い出した。
「この品の名と性質を我に教えよ! 鑑定!」
フーゴは鑑定の巻物を読んだ。
『鋼の剣
除霊効果付与済
状態:呪い』
フーゴの前に、カシアの持っている剣の状態が書かれた文言が表示される。他の3人にはその文言は見えていないようだ。
「その剣呪われてるんだって」
「呪い⁉」
フーゴは得た情報を口にする。
「その剣は鋼の剣で、除霊効果が付与されてるけど呪われた状態だって」
「除霊効果があるのに、なんで呪われてんだよ!」
カシアが叫ぶ。確かに矛盾した状態であった。
「呪いって何? どうなるんだ」
「確か、そのままずっと持ってると体力がゴリゴリ削られるんだと思う」
「嫌すぎる!」
フーゴの言葉にカシアが叫ぶ。フーゴは己がしそうな失敗をカシアがどんどんするので、それもまた多人数での攻略の利点のように思えた。
「さっき、装備外しの罠踏んでなかった? あれを踏めば外せると思う」
「おお!」
フーゴの言葉に従い、カシアは再び装備外しの罠を踏んだ。無事に手から剣が外せて、カシアは喜色を浮かべる。
「なあ、この剣どうする?」
「まともに使えないんじゃなあ……」
「ダンジョン探索続けてれば、解呪の巻物が手に入ると思うけど」
「おお」
「じゃあ、持っとくか」
「触ったら呪われるんだろ。どう持つんだ」
「布でくるんで直接触れないようにするとか」
フーゴは己の知識を提供し、他3人が対応を考える。
「他にもいろいろ落ちてんな」
「これ全部拾うのか」
「でも、さっきの剣みたいに使えそうなものはあるわけだ」
そして、床に落ちているアイテムの回収に入った。
「……」
すべて回収し、一つの場所に集める。
「いや、もう持てないって!」
またカシアが叫んだ。
「剣ばっかりあっても、こんな何本も運べんだろうが」
「確かに」
集めたアイテムはやけに剣が多かった。フーゴはその内の一本をカップに入れようとする。
「いや、入らんだろそれ……ええ⁉ 入んの!」
わかりやすく反応してくれて面白い。フーゴは思いつつ、カップの中を覗いた。
「あれ?」
そこに入れたのは確かに剣だったが、そこにあったのは剣ではなかった。
「しまった。これ、収納のカップじゃなかった……」
フーゴは頭を抑えた。カップに入れた剣が数本の矢に変化してしまっていた。
「おい。何がどうなったのか説明しろ」
フーゴは彼らに己の行動とその結果を説明する。収納のカップというものを持ち運びするのに便利なアイテムがあること。そのアイテムだと思って、剣を一本入れてみたが、それが違ったということ。
「これ、入れた物を変化させる効果のあるアイテムだ」
「へえ。おもしろいな」
「ある意味これも使いようがあるな。使い道のないものやいらないものを、これに入れれば使えるものが手に入るかもしれないんだ」
「なんか、試そうぜ」
3人の言葉にフーゴも同意した。
「なんか剣増えたんだけど!」
結果、剣はさらに3本増えた。
変化したものは取り出さず、そのまま持ち運ぶことにした。
「これ、かさばるものがこのカップひとつで運べるの凄いな」
「けど、正体がわからずにもの入れるの、博打過ぎるよ」
「さっき鑑定って言ってただろ。あれと同じやつないか」
正体が不明なカップを前に、彼らはそれを確かめようと巻物を広げる。
「えーなんだこれ、剛力?」
「こっちは鍍金?」
「お、鑑定だ」
「よし、読め!」
『合成のカップ
同種類の武器、防具、杖同士を入れると一つになる。先に入れたアイテムに次に入れたアイテムの能力が足される』
「え! おお⁉」
「合成? 一個にまとめるってこと?」
「能力を足す?」
「複数ある剣が一本にまとめられて、なおかつ強くなる……」
4人は顔を見合わせる。
「これ、あれだろ」
「強い武器を作り上げて攻略に活かすってことか」
「ああ。それで、誰が一番強い武器を作れるか、が争点だ」
「え……そういうこと?」




