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203/208

4 移動

 庶子4人は揃って一つの馬車に詰め込まれた。そして、件のダンジョンへと向かわされる。

 馬車の中は沈黙に満ちていた。



「しゃべれやああああ!」

 カシアが唐突に叫んだ。

「俺、こういう沈黙耐えられないんだけど! 葬式じゃねえんだ! 辛気臭え!」

 ヒースとニームがまーたこいつはーという顔をしている。

「おい! お前もしゃべれ! 気取ってんじゃねーぞ!」

 そして、カシアは横に座ったフーゴに向かってきた。

「気取ってるというか……よく知らない人だから」

「兄弟だっつの!」

 フーゴの答えにカシアが怒る。


「お前ら、あの後それぞれ個別に王子と引き合わされただろう。なんか言われたか」

 カシアが話題を振る。

「俺は……第一王子のあの噂は本当だったんだなあって」

「ん? お前、髪短くなってないか⁉」

 フーゴの言葉にカシアが気づく。フーゴの後ろ髪は伸ばしっ放しのままにしたものを一つ結びにしていた。その伸びた髪は肩甲骨に届くほどになっていたが、今は肩につかないほどになっていた。

「よくわかんないけど、つかまれて切られた」

「なにそれ。怖あ……」

 フーゴの言葉に兄弟達は全員ドン引きしている。



 別室に移動させられて何を言われるのかと思っていたら、急に後ろ髪をつかまれた。

「その軽薄な色、目障りだ」

 そして、短刀でざくりと無造作に切られるのだ。



「意味わかんねえんだよなあ。金髪碧眼が至高ってされてるけど、もうい過ぎて平凡なのに」

「そうそう。貴族連中のほとんど金髪だし」

「始祖の最愛が金髪碧眼だったらしいけど」

「いや、マジしょうもない」

 兄弟達はわいわいと盛り上がる。

「お前は被害者なのに、なんでそんなに落ち着いてんだ」

「……髪切るの面倒で放っといたのが、切られたから、手間が省けた的な……」

「んだそれ……」

 フーゴのずぼらな理由にカシアは呆れる。

「がんばれとか、絶対に攻略しろとかそういうのなかったの?」

「ない」

 ヒースが尋ねるが、その問いに肯定で返す。


「お前は、そんなこと言われたの?」

「ああ」

「バレリアン殿下、結構マジで目指してんのか」

 へえーと一同は感心した。


「カイエン殿下も結構マジな感じだったな。目が怖かった」

 ニームが思い出してふるりと身を震わす。


「そうか……お前らはそんな感じか……」

 カシアがぼそっと呟く。


「マートル殿下は、最初は当り障りのない感じで励ましてくれたけど、去り際に全員死ねばいいって小さく言ってたな」

 カシアのもたらした情報で、全員が黙った。



 その後、会話はまったく弾まずに沈黙の多い車内となり、気まずい時間が続いた。そして、その沈鬱な状態で馬車は目的地に着いたのだった。


「くそっ! さっさと着け!」

 カシアの悪態がよく響いた。



「へえ~ここが王家の谷」

 場所は秘されているが、その名前だけが知られている。それが王家の谷である。

 フーゴ達が下ろされたのは、視界いっぱいに断崖が広がる場所である。周囲に何があるのかは不明だ。その昔は王の遺体を悪用されないようにと、この秘された谷のどこかに埋葬されていたそうだ。現在は行き来がしやすいようにと王都近くの山が王族の墓地となっている。


「この谷のどこかがダンジョンだって?」

「そのダンジョン、元墓地なのか?」

 答える声はない。


「……」

 沈黙が続き、彼らは後ろを振り返る。彼らを送り届けた馬車はもうそこには無い。

「いや! ちゃんと案内しろ!」



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