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第5話【魔改造デリンジャー】

 

 さて、僕は【デリンジャー】の開発を決意すると――、

 すぐさま『設計図』の作成に取り掛かりました。ウキウキです。


 今回、僕が参考にしたのは――、

 小型拳銃の代名詞とも言える【レミントン・ダブル・デリンジャー】です。


 手のひらに収まる『小型拳銃』の代表格ですね。

 二つの銃口が上下に並ぶ、上下二連式の短い銃身部(バレル)

 その銃身(バレル)が『中折れ式(トップブレイク)』になっていて、銃身(バレル)内部に直接弾丸を装填します。

 撃発機構は、手動で撃鉄を起こす『シングルアクション』です。

 部品数がとても少なく。シンプルな内部構造なので故障も起きにくい。

 そして何より……独特のデザインが渋カッコイイ。これ大事です。

 テレビアニメ『ルパン三世』のオープニング曲で、峰不二子が銃弾の代わりに口紅を装填して撃っているのが、こちらの【デリンジャー】になります。かっこいい…。


 その晩、僕は一気に書き上げた『デリンジャーの設計図』を眺めると。

 にやにやと満足気に微笑みながら、ベッドに倒れ込んだのでした。すやぁ…。



  ◆◇ ◆◇◆ ◇◆



 そして次の日から、僕の『デリンジャー部品製造』が本格的に始動しました。

 と言いましても、昼日中は丁稚奉公なので。夜の自由時間にコツコツと進めます。


 撃発装置となる『引き金(トリガー)』、歯車型の『撃鉄(ハンマー)』部品、魔獣素材の『板バネ』――

 銃本体(フレーム)銃身(バレル)を連結する中折れ式(トップブレイク)の『蝶番(ヒンジ)』と、それを固定する『留め具(ラッチ)』――

 各部品には、組立用の『ネジ穴』を加工し、連結用に『軸ネジ』も用意して――

 これらの撃発機構を収納できる様に『銃本体(フレーム)』は空洞構造にして――

 ちょっとオシャレに『銃把(グリップ)』部分は、紫檀木製(ローズウッド )の彫刻付きです…えへへ…――

 弾倉(マガジン)の役割も兼ねる『銃身部(バレル)』は堅牢性を大事に。丁寧に時間を掛けて、すごく頑丈に錬成しました。銃口側には、照準を補助する凸型の『照星』(フロントサイト)、撃鉄側には凹型の『照門(リアサイト)』も完備です。そして――



 ――――――チャリン。



「おおっ。これが……最後の部品(パーツ)ですね!」

 僕は、構築していた【魔術工房(マギクラフト)】を解体すると――、

 ふうっと息を吐きながら、額の汗を指先で拭いました。


 僕が【デリンジャー】の部品製造を開始してから、十四日目の夜――。

 ついに…ついに…全ての部品製造が完了しました。やったぁー。


「それでは早速、組み立ててみましょう!」

 もう夜も遅い時間ですが、喜びと興奮でとても眠れません。わくわく。

 僕は、机上にある小さな木箱を手に取りました。蓋を開けると、木箱の中には――

 これまで僕が作ってきた【デリンジャー】の部品類が、大切に収納されています。


 僕はニヤニヤと微笑みながら、木箱内の部品類を机上に並べていきます。

 硬化術式で艶消しされた、重量感ある黒色の部品たち……壮観な眺めですねぇー。


 組立用に準備していた手製の『ネジ回し(ドライバー)』を手に取ると。

 僕は早速【デリンジャー】の組み立てを開始しました。そして数分後――、



「で、出来上がりましたぁー!!」



 試作第一号【魔改造デリンジャー】の完成です――!!

 艶消し黒色(マットブラック)の銃身に、装飾彫りの木製銃把(ウッドグリップ)()えますねぇ…にやにや…。


 参考元(オリジナル)のレミントン製(銀色の丸みをおびた独特フォルム)と比較すると――、

 暴発防止として、撃鉄部分の『安全装置(セイフティー)』や、トリガーを覆い守る『用心金』( トリガーガード )を追加した事。それと銃本体(フレーム)や軸ネジの堅牢性を確保する観点で。全体的にゴツゴツと無骨なフォルムになっちゃいました。でも逆に…それがカッコイイです…にへら…。


 外見的には、米国ボンドアームズ製【デリンジャー・ラフシリーズ・グリズリー】と雰囲気が似た感じですね。


「おおぉ…思ったより重さを感じますね……」

 見た目は小さな【魔改造・デリンジャー】、銃身(バレル)単体の長さが約三インチ、銃全体の長さが約五インチ(約十三センチメートル)と、まさに手のひらサイズの小型拳銃です。でも、実際に両手で持ってみると……結構ズシリと重量を感じます。


 まぁ…あれですね。銃身部(バレル)銃本体(フレーム)は、僕が構築できる【魔術工房(マギクラフト)】の錬成質量・約二〇〇グラム限界まで引っ張って、堅牢に造形しましたので。おそらく銃身部(バレル)銃本体(フレーム)だけで各二〇〇グラムはあるでしょう。(後日、工房の天秤ばかりで計量したところ――総重量は約五〇〇グラムでした)



「それでは、動作確認してみましょう……」

 僕は、ゆっくりと親指で撃鉄(ハンマー)を起こすと――引き金(トリガー)を引きました。

 次の瞬間、カチンという乾いた金属音が、小さく部屋に響きます。成功です!


 ――――カチャ――カチン!


 ――――カチャ――カチン!


 わぁーカッコイイです……!!

 空撃ちするたびに、カチカチと鳴る撃鉄の振動が心地良いですねぇ……。

 このままだと、朝まで空撃ちしちゃいそうです…でへへ…。


 その後しばらく僕は、窓ガラスに映る自分の姿を見ながら――、

 銃をビシッと構えて、何度もキメポーズしちゃいました。あ~楽しいなぁ~。


 さあ、次はいよいよ――【弾丸開発】ですね!

 僕の【銃器開発】も最終段階です。頑張っていきましょう!



 なんて意気込んでいたら……。



 翌日。うっかり朝寝坊しちゃいまして……。

 朝からたっぷり親方に怒鳴られたのでした。とほほ…。



  ◆◇ ◆◇◆ ◇◆



ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【稼ぎ】

 △銀貨五枚(月極お小遣い)

【出費】

 ▲銀貨一枚(木材を購入)

【残金】

 ・銀貨三十九枚

【備品】

 ◆魔改造デリンジャー銃(一丁)

 ・黒銀鋼 (残り半分ほど…)

 ・魔獣骨 (バネ素材の余り)

 ・ネジ回し(一本)

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