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名探偵の曾孫の事件簿  作者: 立花 優
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第1章 名探偵の曾孫

生首が宙を舞う。


果たして、事故か、事件なのか?


事件なら、真犯人は、誰なんだ。

第1章 名探偵の曾孫


「ちょ、ちょっと待った!これは、この小説の題名は、『少年マガジン誌』に連載されている漫画『金田一少年の事件簿』の正にパクリじゃないか!

 いくら何でも、これは非道いんじゃないか?」



 と、のっけから、こんな非難が来そうであるが、確かに、題名はズバリ、パクリに近い。



「だったら、書くのを止めるか、題名を変更しろよ!」



 とも言われそうだが、そうかと言って事実なのだから、私自身はこの小説の題名は変更する気は毛頭無い。何しろ、名探偵や怪盗の孫、云々の話を持ち出されるのなら、じゃ、『ルパン3世』はどうなる?『名探偵コナン』の江戸川コナン少年はどうなる、と、こっちのほうが聞きたいくらいである。



早い話が、漫画や小説の世界では、このような名探偵や怪盗の孫や子孫を題材とした話は、履いて捨てる程あるのだから、そうそう目くじらをたてるような話でも無く、どこにでもある話であり、いわゆる物語のヒントや出発点になっているだけの話なのだ。



 それでいて、名探偵の子供や孫という設定にすると、話に妙に説得力が出てくるのもまた事実なのだ。



 例の金田一一少年が、 

「謎はすべて解けた」「じっちゃんの名にかけて……」とは、私は、名台詞だと思う。



『金田一少年の事件簿』の漫画自体についても、私は大ファンであり、これから私が述べる話の中で、題名だけは確かにパクらさせてもらった事は、ここに平に誤ります。



しかし、事実は小説より奇なりと言う。貴方は、これから展開していく、今まで聞いた事も無いような話を、いやでも読まされる事となるのだ!



 さて前置きが長くなってしまったが、実際の所、私が言う名探偵とは誰かと言うと、早い話が、故高木淋光先生の小説に出て来る「神津恭介」なのである。日本推理小説上、明智小五郎、金田一耕助と並んで、日本、三大名探偵の一人とされている一人だ。



 この神津恭介自体は、故高木淋光先生の創作であり、特定のモデルはいないとされているのが、文壇では一応定説になっている。



 しかし、一般の人には知られざる話だが、私の母方の祖父は、生前、故高木淋光先生と親交があり、手紙や年賀のやりとりをしていたと聞いている。残念ながら、その貴重な手紙等は、隣家からの延焼により焼けてしまって、既にこの世には無いらしいが、この話は真実らしいのだ。



 というのも、故高木淋光先生と私の母方の祖父は同じ京都大学の同期であり、名「占い師」の助言により、作家を志し全国的に有名になった故高木淋光先生が、名探偵のモデルとして、私の祖父を参考にしたというのも、どうもあながち嘘では無いらしいのだ。



  母方の祖父は相当の資産家の家に生まれた事もあり、故高木淋光先生が、戦後、食べるに困って清水の舞台から飛び降りる覚悟で処女作を書いていた頃、大学院に進学しながら学問(法医学)の世界に没頭していた祖父が、数度、何がしかのお金を故高木淋光先生に送ったらしいのだが、そのためかどうか、「今、執筆する小説中の名探偵のモデルとして(祖父の)風貌や性格を考えている」とのお礼の返事をもらっていたと言うのである。



 それに、この祖父も随分変わっていて、戦後の農地解放に伴い、大部分の資産を手放す事になった際、何を思ったか、当時、大学の講師だったのを辞職し、郷里の北陸のT県に舞い戻り、突如、易と四柱推命等の看板を上げたのである。つまりは「占い師」になったのだ。



 このあたりの祖父の心情の変化は定かではないが、その頃、急激に有名になっていった故高木淋光先生に対抗する意味で、自身が勉強していた科学的知識に、有名な『易教』の理論や、四柱推命、水晶玉を利用した霊感占いとを組み合わせた「絶対真理占い」を創設、その独自の理論を基に、占い稼業を始めたらしいのだ。



 何しろかっての旧帝国大学出の占い師でもあったからかどうかは不明だが、その的中率は非常に高く、祖父はそれで一財産を築いてしまった程だったのだ。



 ちなみに現代なら、その名称からして例の毒ガス教団の一派と間違われたかも知れないのだが、時代背景も戦後の混乱期で「占い」稼業には、なおの事良かったのだろう。



 その祖父が、晩年、「名探偵、神津恭介のモデルはこの俺なんだよ」と、よく冗談まじりで言っていたのを、私も覚えている。



 でも、私には、さすがに占い師をする器量も能力もない。私は、現在、郷里のX市で、社会福祉法人に勤務しているごく普通のサラリーマン、年齢54歳である。



 ただ、私は、昨年、自分の娘の親友が高校2年生の時に襲われかけた、連続強制性交魔の「アンチ・セーラームーン事件」の真犯人を発見した当の本人でもあり、勿論、この事件はマスコミでは、一切報じられ無かったものの、これでも地元では、自称推理作家で通っているのだ。



 この「アンチ・セーラームーン事件」は、非常に猟奇的でありながらも、全部の事件が不明のまま終結してしまい、関西の某同人誌に属していた私は、この事件の顛末を推理小説『アンチ・セーラームーン事件』として執筆し、当該同人誌に掲載しようとしたところ、あまりに卑猥な言葉の連続であったのと、純文学風作品でなかったため、某同人誌に掲載を拒否され、今のところお蔵入りの状態である。



 そんな時、このX市で新たな事件が勃発したのだ。



今度の事件こそは、マスコミで取り上げられ、とうとう全国的に有名になってしまった。



 何しろ、その事件の一部始終がHDDビデオで録画されており、事もあろうにその殺害の瞬間が、全国のいや世界のユーチューブやインターネット上に流されてしまったからだ。


 その事件を、マスコミは『地獄の学園祭事件』と名付けて、ほぼ、一ヶ月あまり過激な報道を流し続けたのだが、地元の県警は色々な聞き取り調査の結果、その事件を単なる事故として結論し、一件落着しようとした。



その『地獄の学園祭事件』事件の起きたのは、北陸の某県X市の不動高校の学園祭である。



 ……ちょっと、ちょっと、お兄さん、待たんかい。



 高校の名前までも、『金田一少年の事件簿』のパクリじゃないか?

 と反論されそうだが、そこまで言われるのなら、JR発行の全国時刻表でJR西日本の北陸本線から分離独立した第三セクターの『あいの風鉄道』駅名を丹念に見ていただきたいのだ。



 さすがに不動高校の名前の「不動駅」は存在しないが、非常によく似た駅名があるのに気が付かれるだろう。



 ……とは言え、確かに、不動高校の名前もパクリです。まあとりあえず仮名と言えばいいのかなあ……。これについてもまああんまり目くじらを立てずにご容赦願います。



 とは言え、しかし、そんな高校の名前なんかより、実際に起きたこの事件の内容とは、それはそれはもう滅茶苦茶で、言語を絶する話とはこの事なのだ。




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― 新着の感想 ―
[一言]  さて、今回はどんな猟奇事件ですやら。  楽しませていただきます。
[良い点] 独特の導入部で、どんな猟奇事件が飛び出すか、期待感が膨らみます。 [気になる点] 以前に書かれた作品の続編に見える体裁は、初見の読者には高目のハードルに思えるかも知れません。 又、高津恭…
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