大好きな先輩2
努力の甲斐あってか、
「いつも美味しいお弁当をありがとう。栄養バランスもいいし、彩りも良いね。君の旦那さんになる人はきっと幸せになれるだろうな。」
と竜二さんが言ったので、私はすかさず
「だったら先輩、私の旦那さんになって下さい!」
と思わず逆プロポーズをしてしまった。
言ってしまった後、顔から火が出たかのように真っ赤になり、恥ずかし過ぎで俯いてしまった私の頭に降ってきた言葉は、
「いきなり旦那は無理だけど……なら俺と付き合ってみる?」
という願ってもない言葉だった。
私は真っ赤な顔で口をパクパクさせながら竜二さんを見上げ、
「い…いいんですか?」
「良いも何も、付き合って欲しいんでしょ?」
そう言って笑顔で右手を出して来た竜二さんの大きく温かい手をぎゅっと両手で握った私は
「これからよろしくお願いします 。」
とお礼を言った。
お仕事が忙しい竜二さんは、土日も接待やら出張がやらが入る為、あまりデートも出来ずにいた。けれど毎晩LINEで会話をしたり、曜日と時間を決めて通話をしたりする楽しい時間を過ごしていた。
竜二さんは本当に優しい人で、いつも私を気遣ってくれる。
彼に会うと緊張してしまう私は、彼を名前で呼ぶことが出来ず、どうしても『先輩』と呼んでしまうのだけれど、そんな私を竜二さんはいつも笑顔で見てくれていた。
私達はとても上手くいっていた。
いや…いっていると思っていた。