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    5.再開

「あ!スミレだ!久しぶり」


「みんな、、久しぶり。会えて嬉しいよ」


「なんだよ。畏まって」


「みんな、変わったなー」


「何言ってるんだ。まだピチピチの35だぜ」


 5年ぶり。いやもう13年ぶりだ。あの頃の面影はほぼないな、、、。みんな良いおっさんだ。

 サルとフジは相変わらずな体型だが、スノーは太りすぎじゃないか?確かに大学からぽっちゃりだったけども。ショウとユウは内臓脂肪が目立つな。お酒好きな2人は見なくてもめちゃくちゃ飲んでることが手に取るように分かる。


「さぁ行こうか。温泉旅行へ」

「しゃーいこう」

「3年の旅行以来じゃね」

「だね。懐かしいな」


 意気揚々にフジの車へ乗り込んだ。



 [車内]

 さぁ始まりました!今回のお題は「ヤバい」です。どのシチュでしょうか!ユウからスタートね。


 ユウ「、、、ヤバい、、」


 ショウ「ヤバい!」


 サル「ヤ、バ、イ」


 スノー「ヤッバイ」


 いや、分からん。みんな演技のセンスは乏しいみたいだな。次は俺だな。よーし、渾身の演技力を見せてやる。


 (スミレ)「ヤバいよ、ヤバいよ」


「ぷっ、それ反則だろー」

「1番分からんわ!」

 おや?俺が演技のセンスは1番無かったらしい。でも楽しいから良しとしよう。


「答え合わせしまーす。ユウのヤバいは失望したときのヤバい」


「うわ、違った」


「ショウは漏れそうなときのヤバい」


「お、あってる〜」


「サルのは怪我したときのヤバい」


「これは分かりやすい」

「みんな正解じゃね」


「スノーは不倫中に彼女と出会ってしまったときのヤバい、スミレのは告白されたときでした」


「いや、絶対違ったじゃん」

「全然違うわ」


 いやー面白い。大学の時にハマったゲームを良い大人がしているのも面白いな。

 他にも英語の単語禁止の会話やイントロドンをしているうちにあっという間に目的地に到着した。


 昼はぶらりと食べ歩きをして、温泉付きホテルへ移動した。


「さっ荷物部屋に置いたら、温泉いこーぜ」


 温泉へと移動する。俺はこの温泉中にはミッションがある。それは13年間の俺の人生、みんなの人生をありったけ聞き出すというミッションだ。俺が知らない未来を早く知りたくて、食べ歩きのときからずっと気が気でなかった。狙いは全員がお湯に浸かって程よく経ったらだな。


「はー。生き返るー」

「流石に35でこんなに歩いたらキツイよな」

「年取ったもんだ」


 よし、そろそろだな。


「なぁみんな、俺が事故ってからの13年の思い出を教えてほしい」


 超ド直球に質問をした。


「どうしたんだよ急に。忘れたとは言わせねーぞ笑」

「んーとね」


 聞いたのは良いがその後の言い訳を考えていなかった。本当は死んでる事は言ってはダメだと言われてしまったし。


「実はさ、大学の事故があってから忘れっぽいんだよね。折角みんなと集まれたからもう一度俺たちの人生を知ろうと思って」

「なんだ。そんな事深刻な事になってたんなら相談しろよ」


 やっぱりフジは優しいな。


「・・・有り難う。やっぱみんな最高やわ」


「えー、今日のスミレちょっとキモくね」

「それなー」

「いいから、早く教えてくれよ。」


「分かったよ。でも、自分を悲観するなよ」


 悲観するな?まだ何かあったのか。


「まずは俺たちの13年を語ろう」


 ショウがかっこよく語りかける。


「俺は大学時代付き合っていた彼女と結婚して、子供は2人いる。今は課長をしていて、順風満帆な生活だよ」


 ショウは真面目だもんな、納得だ。


「俺は35年間彼女ができませーん、泣いていい?」


 スノー、うん、どんまい。俺はスノーが一途な事など良い所はたくさん知っている。まだ運命の人に巡り合っていないんだろう。


「俺も大学時代の彼女と結婚した。子供は3人で2番目の次男はヒナちゃんと同い年だぜ」


 確かこの人とは絶対結婚しないと言っていたような気がするが言わないでおこう。


「俺は2回目の結婚を3年前したばっかりだぜ。」

 ユウはイケメン陽キャだから出会いは沢山あるだろうな。ちきしょー。


「その2番目の相手誰だと思う?」


 フジがニヤつきながら俺に質問してきた。


「誰だろう。ちょっと予想つかないわ」

「じゃー答え発表しちゃってください、ユウさん」

「正解はー、ユリでした」

「お!ユリか!めっちゃお似合いじゃん」


 ユリだったか。ユリは大学のクラストップ3に入るくらい性格が良い人だ。ユウはちゃんと人を見てたんだな。前言撤回します。ごめん、ユウ。


「次はサルだね」

「俺は、、まだ独身だよ。彼女はいるけどね」

「えっそれ、俺たちも知らん!」


 俺、サル以外の4人が驚嘆している。


「えっ誰誰、彼女?」

「結婚する時に紹介するよ」

「あぁ、分かった。楽しみにしとこ」


 みんな元気に生きているみたいだ。それにしても改めてスノーはすごいな。堂々と彼女いない事をぶっ込んでくるとは。俺だったら最後まで言いたくない。また、スノーを尊敬してしまいそうだ。


「今度はスミレだね。俺たちが知る限りを話そう」


 またまた、ショウがかっこよく語り出す。


「まず、就職して2年目くらいで、モネちゃんと別れる」

「えっマジか!俺は何で別れたんだ?」

「まぁ、簡単に言うと浮気だな。たまたま俺とフジとサルで飲んでたら、見かけてさ。ちょっと偵察したら、男と手を繋いでてさ。その場で探ってみたら一緒にいた男が彼氏だっていうからさ。速攻でスミレに連絡したのは今でも鮮明に覚えているよ」

「へー」

「他人事だな、おい」

「それで俺たちはどうやって仲を戻して結婚してるんだっけ」

「スミレがモネちゃんを信じたんだよ。俺たちはやめといた方がいいって言ったんだぜ」


 そんなことがあったのか。今のモネでは想像がつかないな。まぁでも好きな人を信じるのは当然だよな。その時の俺良くやった!俺はこの家族が好きで、モネが好きだ。だから、守るべき家族である。悲観するなよって言ってたのはこの話か。


「ていうわけだ。それぞれ家庭があり、それぞれ違うけど、皆の状況はなんでも知ってる。今までもずっと一緒だったけどこれからもずっと一緒だ」

「あぁ、そうだったんだね。聞けて良かった。でもモネの話は、もうお腹いっぱいだよ。もうちょっと明るくて楽しい話ないかな」

「おう、任せろ。いい話も沢山あるぞー」


 まだまだ思い出話に花が咲きそうだ。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「ヒナ。夜ご飯できたよー」

「はーい」

「どうしたの?ヒナ。元気ないわね」

「大丈夫だよ。ちょっと緊張してて」

「へー、もしや来週発表会とかがあるんじゃない?パパは発表の前は緊張してあくびが止まらないらしいよー。可愛いよねー。ヒナもパパとそっくりだね」

「そうなんだ!そっくり。でも、ママも元気無さそうだね、大丈夫?」

「あ、あぁ大丈夫。ちょっと寒気がねぇ。パパがママをすこぶる褒めてるからかな」

「パパ、いっつもママのこと褒めてるよね」

「あれはね、感謝しているんだよ」

「かんしゃ?何それ。乗り物?」

「それは機関車。感謝っていうのはね、相手を想うこと。そして、その想いに応えることなんだよ」

「へー!つまりパパはママが大好き!ってこと?」

「そういうこと!そして、ママもパパが大好きってことだよ」



「ところでヒナ、ちょっと風邪薬買ってくるわね。ゲームでもして気分転換しておいたら?」

「うん!分かった!いってらっしゃい」

「行ってきまーす」


 ・・ガチャ・・・

「パパ、時間がないよ。早く帰ってきて、、、!!」


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


「っっくしゅん、、。」

「なんだ。スミレ湯冷めした?」


 ユウが心配して声を掛けてくれた。


「いや、誰かが俺をすこぶる褒めてる」

「気のせいだな。そろそろ上がろうか」


「うん、、、、だね」


 俺は家族の一大事が翌日起きることを知らずに仲間と夜を満喫するのであった。



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