3.未来での目覚め
・・・・・13年後の世界・・・・・・・・・
「あなた〜~~~、朝ご飯出来てるよー」
「パパ、起きてってば」
「ん~起きたー。今日も二度寝は最高ですな」
「はいはい。早く朝ご飯一緒に食べましょ」
幸せな会話が聞こえてきて幽霊体の俺は目を覚ました。どうやら未来の俺は結婚して、娘がいるらしい。真下にいる本体の俺に羨ましいと嫉妬の冷たい視線を送るが気付くはずもない。
「いただきまーす」
「モグッ、モグッ」
「こら、ヒナ。いただきますは?ちゃんと言いなさい!!」
「はーい。いただきます〜」
付け加えるかのように娘が言う。
そうか。娘の名前はヒナって言うのか。どういう考えでヒナにしたのかな。大学生の頃の俺が考えていた子供の名前は可愛いらしくて、さらに美しいからとって可愛美だったから、大分ネーミングセンスが上がったな。
それにしてもどこか懐かしいな。俺もよく母さんに同じことで怒られたな。流石、俺の娘!!やる事は一緒だね。
「ヒナー、ちゃんと食べれることに感謝するんだぞー」
「わかってる。あ、パパ、ピーマンあげる」
「こら、ヒナ。パパにあげない。ちゃんと食べなさい」
うん、この会話も聞いたことある。うん、血のつながりを凄く感じる。
俺は幸せに暮らせているみたいだな。とりあえず良かった。
それにしても、俺の妻、誰なんだろう。何となく見たようなことはあるが、顔を見てもさっぱりわからない。
「はい、スミレ君。今日のお弁当」
「ありがとう。毎日毎日助かっているよ」
「どういたしまして。はい、行ってきますのチュー」
…………チュ…………………
「いいなー。パパ。ママ。ヒナもヒナも!」
「はいはい。じゃあ行ってきますの?」
「チュー!!」
…………チュ…………………
「じゃあ、モネ。ヒナ。先に行ってくるね」
「いってらっしゃい」
「パパー、いってらー」
???モネ???
モネって同級生のモネちゃんか!モネちゃんと結婚したんだ。俺なかなかやるじゃないか。
上からちょっと尊敬の視線を本体の俺に向けた。それにしても、俺が知ってるまではただの友達だったのに、いつ付き合ったんだろうか。どっちから告白したのかな。んー、気になる!!
まぁ、とりあえず今日は本体に付いて行ってみよう。
「おはようございます」
「おはようございます。室長」
「聞いてくださいよ、室長~。また、妻と喧嘩してしまって」
「ユージくん、またかよ~。どれどれ話してみな」
俺は慣れた手つきで仕事をこなし、職場の同僚の相談を聞いている。どうやら、そこそこ昇格してるっぽい。職場の雰囲気も良いみたいだし、順風満帆のようで良かった。
それから無事に仕事が終わり、19:00頃家に帰ってきた。
「ただいま」
ダッダッダッダ!
「パパー!お帰り!!」
「おかえりなさい。スミレ君」
「ただいまー。今日も疲れたー!」
「パパ!いつもありがとう!ヒナのマッサージ屋さん開業中ですよー」
「お、まだやっているのですか。じゃあ、お願いします!」
「分かった。チケット見せてください!」
「はい、この肩叩き券で」
「では、こっちへどうぞ!」
ダッダッダッダ!!ヒナが元気に迎えてくれる。さらに労ってくれるなんてヒナは良い子に育ってくれているんだね。
「スミレ君。夜ご飯は、ヒナのマッサージの後で?」
「うん。モネ。それで頼むよ」
「分かった。今日のヒナは気合い入ってたよ。気を付けてね」
「それは困ったな。まぁ、なんとかなる!」
気を付けてね?娘のマッサージに気を付ける所などあるのだろうか?結果はすぐ分かることになるのだけど。
「よいしょー!!!!」
「あいたたたた!ヒナ。ちょっと強すぎ」
「かーらーのー、肘でぐりぐり!」
「痛いって、ヒナー!モネ。助けて!」
「良いわねー。パパはヒナのマッサージを受けれて。ヒナもっと優しくね」
「うん!分かった!パパが終わったら次はママね!」
「さっ、ママ夜ご飯作ろうかな。今日はパパにしてあげて」
「ちょっ、モネー」
「ふー。ヒナのマッサージ屋。今日はこれまで」
「あ、ありがとう。ヒナ。疲れが取れすぎて少し痛いくらいだよ」
「あざっした!!!ママ!お腹すいた!」
「はいはい。ご飯にしよーか」
ヒナ凄い元気だな。でも家族で仲良く過ごせているようで、とても幸せな気持ちなった。まさかこんな未来が待っていたなんてね。
さて、とりあえず情報を整理しないとな。ここにいられる期間についても調べないと。今のところ濃厚なのは、「願いを達成したと感じた時」という感じだろうか。
大学の親友たちやユウキについても知りたいし、流石にまだ戻る事はないだろう。明日から、本格的に情報収集だな。