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   運命の改変


 ………「あれ、ここどこだ」 



 目が覚めた。俺が知っている世界ではない。辺り一面水平線が見れる程に何もなく、まるで灯台から見下ろした海のように綺麗な青色で透き通っている。


「俺は確か、車に撥ねられて、、、無事なのか、、俺スゴいな」

 とりあえず思考を放棄して自分自身を褒めてみた。


「フッ、、、、、、」


「!!!」 


 何故か分からないが笑われている気がした。少し気になったが気にしたら負けだと思い~決して怖いという意味ではない~、無視して辺りを散策し始めた。

 もう10kmくらい歩いただろうか、、。誰にも出会わない。


 この空間はしばらく歩くと、とてつもなく広くて長い一本道になっている。その最果てには扉があった。現在、扉を開くかどうか絶賛悩み中である。。


「この扉を開けたら絶対閻魔大王様いるやつだ、正直怖い。舌とか抜き取られたくないなー」


 実際にあるのか分からない裁判の様子を思い出し驚愕しつつ、自分の生前の人生を振り返っていた。


「悪いことをしたと言えば、バスの運賃を格安で乗ったことくらいかな、、、あの頃はませてたから仕方ない」


「うん、そんな悪い事してないよね。天国で楽しく過ごせるよね」


 自分を強引に納得させて扉を開ける決意を固めた。


 ガ、、、チャッ、、扉をゆっくり開ける。

 扉の先は案の定、閻魔大王様のいる部屋の様だ。しかし、左右に閻魔大王様が座るであろう椅子と同様な派手な椅子がある。疑問に思ったがよからぬ事を言ったら良くないと即座に思ったので言わない事にした。


「あの、、、すいません。誰かいらっしゃいますか??」


 当たり一面に沈黙の時間が流れる。


「グワッハッハッハ、よく来たなスミレよ。」


 中央の椅子から黒炎が吹き出したと思えば誰かが座っている。


「そ、その冠をしているということは閻魔大王様!!?」

「有無、我こそがこの世界の絶対的裁判長、閻魔大王でばぶ、、、」

「・・・噛んだ・・・」


 しかも、、絶対的裁判長、え?言えないけどダサい。


「噛んではおらぬぞ、君の緊張をほぐしてあげただけだぞ!」

「あ、ありがとうございます」 


 意外と優しい方だったりするのかなと心の中てざわつきを抑える。


「誰が意外じゃい!!!」

「ひっ、、すいま、、、」


 謝罪の言葉を遮る様に右の椅子から眩く、けれど優しい光りが輝き出した。。


「ちょっとちょっと、幸先悪いですよ。最初に噛まれると」


 光が消えると美しい女性の姿をした天使が優雅に座っている。


「五月蝿いぞ、ミカ殿、久しぶりの登場なのだから許せ」

「ミカってもしや、あのよくゲームで出てくる天使の??」

「あらあら、閻魔には様をつけているのに対して、私にはタメ口ですか、、、」


 まずい、非常にまずい。天国での生活が潰えてしまう。


「ミ、ミカ様、誠に申し訳ございま、、、」



「ヒューーーーン」


 仕組んでるのかと思うほどのタイミングでまた、遮られた。

 左の椅子に向かって流星群が流れてくる。俺は絶句しながら、それを眺める。

 流星群は椅子の前で獅子の形になると獅子の如く激昂し、光で満たす。光が消えると、そこには厳ついイケメンが椅子に座っている。


「やれやれ、やっと我の者が選ばれたのか。これで少しは暇つぶし出来るだろうて」


 選ばれた?俺が?何故? しかも我の者って何を言ってるんだ??


「それに此奴は中々面白く出来そうよな。良い程に心が透き通っている」

「へえ、貴方が言うのなら期待出来そうね、レグルス」

「久しいな、ミカに閻魔よ。君たちの戯れに付き合ってやろう」


「いや、レグルス殿。何かと1番楽しんでいるのは君ではないか」


「はは、そうかもな」


 何だこの状況。レグルスっていう名前に獅子ってことは俺が獅子座だからレグルスは出てきたってこと?だから、我の者って言ってたのかな。


「悪魔の王におそらく7天使の1人と王道十二宮の1人か、、、。俺は何をされるんだ」


 誰にも聞こえないように呟く。


「あの、、、再会されて束の間申し訳ないのですが、僕を此処に呼んだ目的は何ですか?僕を選んだってどういうことですか??」

「おっと、すまんな。スミレよ。ちょっと久しぶりに人間の前に登場するので、台詞の分担も考えて格好良く出ようと思ったのに、初手から転んでしまったのだ!はは!」


 何してんねん。神話の方達よ。暇なんか。っていうか仕組んでたんかい。


「話が逸れたな、早速だが本題に入ろう」


 3人?いや3神は眼の色を変え、神々しいオーラを放つ。


「単刀直入に言おう。スミレよ。貴様に運命を変えるチャンスを授けよう」

「え、、?」



「スミレ、貴方には2つのことをしてもらうわ。一つ、過去にタイムリープし、後悔の残らない選択をとること。選択した後の結果の未来も見せてあげる。死ぬまでのね。一つ、生きている世界での未来の運命を知り、貴方の希望を叶えること」

「そんな、急に言われましても、、、、」

「あら、折角のチャンスを逃しちゃうの??」

「くっ、それは、、、」


 俺は運命に負けたんだ。でも、もし巻き返す事が出来るなら、、、、


「俺、やります」

「そう言うと思ったよ」


 俺に与えられた事。つまり、悔いのない過去に変えるチャンスを貰い、未来を知り、俺のやりたい事ができるチャンスを貰えるということか、、。


「こんなにチャンスを頂いても良いのですか?」


 純粋に疑問に思った。


「ふふ、我々の暇つぶしのためだよ」


 閻魔達は不気味な笑顔を浮かべている。その姿は何か隠しているようにも思えてしまったが折角チャンスを貰えたんだ。頑張ろうと決意した。


「ただし、貴様は既に死んでいる。一度此方に戻ってしまえば変えた過去や未来は元通りに戻る。誰にも影響は与えないだろう」

「つまり、僕だけが見ることが出来る夢物語みたいなものということですね」



「正解だよ。つまりこれは本当に死ぬまでに見る夢を体験出来るというものなのさ。この2つの夢から1つを選択してもらう。選ばなかった夢は、記憶から消させてもらうよ。どの夢を見て君は君という名の命の灯を消すのか僕たちに見せてくれ」


 3神はオーラを消した。成程、やる事は分かった。死ぬ前に飛んだ僥倖だ。

 やりたい事をやらせてもらおう。でも、また疑問が残る、、けどまぁいっか。



「さて、理解は、、出来たようね。さぁ、まずはどの運命に抗うのかしら?」

「そうですね。まずは、未来を知って希望が叶っているか確かめてきます」


「流石スミレだな。良い選択だ。最後の忠告をしよう。お前が死んでいるということはなるべく口外せぬようにな。自分の力で叶えてこい!!」

「分かりました。ご厚意痛み入ります」


 正直何故レグルスはこんなに俺に肩入れしているのか分からない。


「有無。達者でな」


 そう言われて俺は未来への旅が始まったのだった。


 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「ねぇ、閻魔どうなると思う?」

「そうだね、予想は大よそつくけど何が起きるかわからないって言ったところかな」

「有無。他者との繋がりがスミレを導くであろうな」

「まずはスミレを見守るとしましょうか」……………


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