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第七十一話 「夕日、空欄」

《セドリック視点》


「逃ぃがぁしぃたぁだぁああああ!!!???」


 村のはずれ。

 一応、人目を忍んでここに居るのだが。

 まぁ関係ない。

 これだけ怒鳴りつければ誰かの耳に留まるだろう。

 だがそれも関係ない。

 いざとなれば殺せばいいだけだ。


 報告してきたケーシーの私兵をいら立ちのままに殴り飛ばす。

 ユリウスと同じくらいのガキの集まりだ。

 人族と耳長族と四つ腕の魔族の3人。

 ベルガーではすっかりと廃れた奴隷という奴らだ。

 テルス大陸から買われてきたこいつらは殺し屋でもあるのだという。

 命令すればあとは黙々と仕事をする。


 ただし、泣いたり喚いたり、怒ったりなどはしない。

 黒ローブを掴んで締め上げても、先のように殴り飛ばしても変化なし。

 まるで感情を潰されたように無表情だ。

 地面を転がったあとも、眉一つ動かさずに立ち上がろうとする。

 その背中を踏みつけて。脇腹を蹴り飛ばした。


「セドリック様。ほどほどに、そやつらは我々の仲間です」

「しくじったら罰を与える。当然のことだろぉが」

「彼女の()()なのです。どうか丁重に」


 小声でケーシーに止められると、不思議と体が強張って動かなくなった。


 あぁそうか。

 ガブリエラか。

 納得だ。


「……てめぇん所のガキを殺さないだけありがたく思え!」

「それはその通りでございます。恩寵、痛み入ります」


 フジとかいうガキは牢に入れられた。というより自分から入った。

 獣人族の者たちはそろって「何故あのおとなしい子が……」と首をかしげるばかり。


「そろそろ族長が、息子の処遇を決められたころかと。牢に向かいましょう」

「……チッ」


 薄気味悪い人形のような黒ローブのガキを置いて、牢へと向かう。

 本来の主が居なくなった檻の中に、フジはおとなしく繋がれていた。

 項垂れたりせずにまっすぐに空を見上げながらそこにいる。


 コイツもコイツで気味が悪い。

 全部を見透かしたような眼つきで物を見て居ながら口を開かない。


 そしてその牢を囲む人だかり。

 皆一応にひそひそと、なぜフジがこんな暴挙に走ったのかと首をかしげるばかり。

 ある者は罪人に言いくるめられたと言い。

 ある者は責め苦の悲鳴に心を壊したと言う。

 いつかは何かおかしなことをすると思っていたと毒づく者も居るし。

 フジには神のお導きが見えているのだと頓珍漢なことを言う者もいる。


 だが、その言葉はどれも空想でしかない。

 この一族の真実を決めるのはそこの男だ。


「静かに!!族長からお言葉を賜る!!」


 黒い艶のある毛並みの獣人族の女が声高に告げる。

 腕と足だけに鎧を纏った刀を持つ女戦士。

 聖域の奥地を守護する存在であったはずだが、里の騒ぎに一度引き上げてきたらしい。

 この里最強の戦士。ジルフリーデ。

 堅物で、実直なその女に道を譲られながら牢への階段を壇上替わりに族長が重々しく口を開く。


「……皆の者。騒ぐでない。ことは単純だ。我らが同胞であるフジは賢明で慈悲深い男児である!ケーシー!そうであるな?」

「そ、そうです!我が子は素直で物分かりの良い子です!決してこのような奇行をするような子ではありません!ディトーン様に誓って!!」

「ふむ。それは皆も知るところであろう。だが、フジは何も言わぬ!」


 族長は腕を組んで続ける。


「理由も信念も何一つ言わぬ!こうあっては魔術師の卑劣な罠にハマったとも思えてならぬが、本人の意思であると取られても何も言えぬ!そうであろうなフジ!!」


 牢へ言葉を投げかける。

 だがフジは何も答えない。

 ただ檻の中から空を。神樹を見るばかりだ。


「聞こえているな!!!罪人!!ユリウス!!近くにいるのだろう!!」


 族長が更に声を張り上げる。

 森全体に響かせんとするその大声に、民草はみな耳を覆う。


「フジは貴様の身代わりとなった!!!予定は変えぬ!!貴様が罪を認め戻って来ぬのであれば!」


 そこで一度言葉を区切る。

 もう一息大きく吸い込んで、族長は高らかに宣言した。


「このフジを!!身代わりとして処刑する!!!!」


 途端にざわつく獣人族たち。

 ケーシーが血相を変えてその人垣をかき分けて壇上に登る。


「オージェイル!!!!」


 族長に掴みかかろうとケーシーは両腕を伸ばす。

 それをジルフリーデが鞘に収まったままの刀で制した。

 しかし力任せにケーシーが族長へと詰め寄っていく。


「貴様!オージェイル!!娘を亡き者にされた腹いせに私の息子まで道連れにするつもりか!!」

「落ち着けケーシー。これはフジの問題だ。親の出る幕はない」

「無いものか!!貴様が仕込んだのだろう!!でなければあのようなことを息子がするはずない!!断じてだ!!後継ぎが居なくなったからと僻んだのだな!!!」

「やかましい!!!!!下がらぬか!ケーシー!!!!」


 再び族長が吠える。

 ビリビリと森を揺るがすその咆哮に、ケーシーは顔を真っ青にして一歩二歩と下がった。


「食って掛かる暇があるのであれば、罪人を探すが良い。この島からは出てはいまい」

「……御身の言う通りです。取り乱しました。申し訳ありません」


 ゆっくりと階段を下り、獣人族の若い衆に捜索の指示だすケーシー。

 耳が垂れ、尻尾をヘタンと地面すれすれにまで降ろした彼はトボトボと俺の横を通り過ぎていく。


 おいおい。

 なんだいこの茶番は。

 あくびが出るぜ。


 そう思いながら俺はことの成り行きを眺めていることにした。

 所詮は人外の内輪もめだ。

 ユリウスを殺すこと以外は興味が無い。

 その後には《赤角》も控えてるのだ。

 たっぷりと楽しむためには、こういう箸休めも要るかと自分をなだめる。


 なにやらジルフリーデに睨まれているのを小さく会釈をしてやり過ごす。

 貴族礼節の簡易礼の後にケーシーの後を追った。


「……ケーシーよぉ。どうすんだ?」


 足早に神樹の方へと向かうケーシーの後ろから声をかける。


「何も事態は変わっていません。やることは同じ。魔術師を捕まえて族長に差し出すだけのことです」

「でもそれまでにアイツがこのでっち上げの証拠を掴んできたらどうする?」


 ピタリと足が止まった。

 その背中を呑気に眺めながら俺は続けた。


「あいつはあれでいて目ざといし、運が良い。運よく流れて島の外に出てるかもな?もしかしたら川の底でくたばってるかもな?どっちにしても連れて帰らなきゃお前の息子は俺が斬首するが」

「わかっています。そのためにすでに若い衆に捜索を指示してあるのです」

「いいや、わかっていない。万が一、ユリウスが戻ってきたとして。順当に勇者一行を皆殺しにできたとして。お前の息子はもう族長になるだけの信用が無い。なれたとしても三日天下だ。お前の計画はここでとん挫してるな」

「……なれば、ガブリエラ様にご助力を頂くまでです。すぐには無理でも1人ずつ魅了魔術で掌握すればよい事」

「あら?それは無理よ?」


 建物の陰。

 先ほどまで何もなかったはずのそこに彼女が現れた。

 《微笑》のガブリエラ。


「ガブリエラ様」


 ケーシーにも見えているとなると幻覚ではないらしい。

 ……いや、集団幻覚というものも捨てきれないか。


 だが、彼女の顔をみてホッとしている自分が居るのも事実。

 うんざりする。

 さっさとユリウスを殺しておさらばしたいものだ。


「ケーシー?貴方の望みはそうじゃないでしょ?貴方の本当の。心の底の望みをもう一度言ってみなさいな」

「息子を。フジを族長にし、フジを通じて一族の繁栄を……」

「いいえ?違うわ?もっと単純だったじゃない。あなたの、本当の望み」

「……神樹を……神を亡き者に……」


 徐々にケーシーの雰囲気が変わっていく。

 陰鬱で、うつむいていながら、牙をむき出しにした壊れた笑顔が張り付いている。


「そう、貴方は神を殺すのでしょう?そのためにセドリックをつけたの。頑張ってねケーシー」

「はい。ガブリエラ様。全てはあなたの御心のままに……」


 身を屈めたまま、彼はガブリエラに縋るように頭を垂れた。


「そこ!誰と話している!」


 後ろからそんな明瞭な声が聞こえた。

 先ほど居た女獣人族。

 黒髪の剣士ジルフリーデだ。


 そちらに眼を向けた隙にガブリエラは消えた。

 まるで最初からいなかったかのよう。


「いいえ、ジル。すこしセドリック様と話していました」


 作り笑いの張り付いたケーシーはいつもと変わらぬ口調で話す。


「捜索隊はすでに発った。貴殿はどうする。よもや息子を見捨てる気ではあるまいな」

「とんでもない。フジは私の大切な子供です。必ずやかの重罪人を見つけ、救い出して見せます。ですが、そのまえに神樹の警護が気がかりです」

「大事ない。我が手練れの者たちが警護に当たっている。今は罪人の確保が優先であろう」

「おっしゃる通り。私はセドリック様も探索を始めます。すぐに発ちますとも……。時にジル」

「なんだ?」

「もし、あなたの弟君。アルフリード殿が重罪人を庇っていたら、貴方はどうされますか?」

「……決まっている。そんな不埒者、弟などでは無い。斬り捨てるのみだ」


 急げよ!

 そう言い残してジルフリーデは鎧を揺らしながら走っていった。


「……そうです。そうなのです。そんな不埒者。息子ではないのです。ヒヒ。ヒヒヒヒ……」


 ケーシーの中で何かが壊れた。

 強張った頬がそのまま吊り上がりっぱなしになり、笑みが止まらなくなっている。


「さぁ、行きましょうセドリック様。あの重罪人を必ずや処刑台に送ってみせましょう」


 ふらふらと、彼は足を進める。

 怪訝な顔をし、そのあとを追うのを少々躊躇った。


 俺も、あぁなるんじゃないのか?

 そんな柄にもない不安がわずかに湧いたが、数秒で消えた。


 ──頑張ってね、私のセドリック。


 あぁ。

 俺も狂ってしまったか。


 はやくユリウスを殺さなくては。


---


 《ユリウス視点》


「ぶはぁ!!!!……ハァッ!ハッ……」


 長い間水中に居た。

 と思う。

 水に落ちた瞬間は上も下もわからないぐらいにグルグルにかき混ぜられた。


 なんの授業だったか。

 人間は急に水に落ちる生き物なのだと聞いたことがある。

 だから、水の中で膝を抱えてひたすらにジッとしていた。

 しばらくして息が苦しくなったあたりで周りが見えるようになり、水面の場所が分かった。


 そしてようやく水の上に顔を出したわけだ。

 随分と流されてしまっていたらしい。

 すでに滝は見えなくなり、渓流の穏やかなところに流れ着いていた。


「ゲホッ……うわああ……」


 川から上がれば体中が痛む。

 落ちた衝撃でひどく打撲したらしい。

 それに表面も傷だらけ。

 水に溶けだした血が流れ落ちて真っ赤に流れていく。


 引きずるように川辺に上がると、すぐ目の前に横穴があった。

 崖の割れ目がそのまま掘り進められたようなそれ。


 洞……窟……っ!


 倒れ込みながらそこに入り込んだ。

 誰かがそこで一晩すごしたのか。

 古い野営道具がそのまま放置されていた。


 毛皮で出来た床敷に、薄い布のテント。

 輝照石のランプに火打石。

 そして、革のカバン。


 なんの幸運だろうか。


 カバンをひっくり返して中身を漁る。

 体を拭くための大きめのタオル。

 麻のズボンに、緑色の鮮やかなシャツ。

 見覚えのある懐かしい色のシャツ。

 手製のそれは、パオのような詰襟の服だ。

 大人の男性に合わせたサイズであろうそのサイズ。


 クアトゥ商会のユニホームだった。


「いや、そんな。まさか!まさか!嫌だ!!」


 どこまでも嫌なことは重なる。

 それでもそれが偶然であると確かめないわけにはいかない。

 震えてまともに動かない手で輝照石を掴み上げた。


「汝!道を照らせ!!」


 洞窟を弱い光が照らす。

 テントの奥には石が積んであった。


 そしてその根元には、切り取られた金髪が一房供えてあった。

 色とりどりのビーズが編み込まれたその柔らかな色の金髪。


 クアトゥ商会会長、クアトゥさんの。ククゥの父親の髪であった。


「ああぁぁぁあああ。あああああああああ!!!!」


 体を抱きかかえて、その場にうずくまって呻いた。

 何が幸運なことか。

 これ以上ない不幸の先の小さな幸運など、悲劇以外の何物でもない。


 どっちだ。

 クアトゥの墓か。

 ククゥの墓か。

 どっちでも同じだ。

 また会おうと約束して旅立った彼女たちの旅はここで終わっていたんだ。


 カバンの中身を抱きしめて涙を流した。

 これ以上泣き声をそとに漏らすと見つかる可能性がある。

 頭ではわかっている。

 だから自身の親指に噛みついて声を殺した。

 痛みがあれば。

 別の辛さがあれば、直視しなくて済む。


 そうやって、ぼやかしてきたいろんな物がここにきてあふれ出す。


 ククゥ達の事。

 テオドールの事。

 ネィダの事。

 両親の事。

 前世の事。


 泣いている場合じゃないのは理解している。

 だが、もう心も体も言うことを聞かない。


 キュウと鳴るばかりの喉が跳ねる。


 どうしてこんなことに。

 俺が何かしただろうか。

 こんなつらい想いをするくらいであれば。

 哀しい想いをするくらいであれば俺は転生などしたくなかった。

 生きて居たくなんかなかった。

 なにが魔道士だ。

 何も出来ないじゃないか。

 魔法が無ければ何も出来ない俺がどうしてこんな目に合うんだ……!


 恐怖と、痛み。

 哀しさと息苦しさで体が震えだす。


「……駄目だ、ユリウス。駄目だ。考えを止めるな」


 ガタガタと震える口で言葉を紡ぐ。

 自分を奮い立たせる虚勢を吐いて見せる。


 そう、考えを止めてはならない。

 時間が無いんだ。

 時間が無い。


 はやく立ちあがらなくては。

 彼を。フジを救う手段を見つけないと。

 俺の無罪をなんとかして証明しないといけない。

 じゃないと、俺の身代わりになってくれた彼が殺されてしまう。

 セドリックの事だ。

 あいつは本当に。

 笑いながらフジの首を刎ねるだろう。


 体を起こし、洞窟の壁に押し付けるようにして足に力を入れる。

 タオルを背中に回し。水気をなんとか拭っていく。

 見る見る赤くなっていくタオルが傷の多さを教えてくれる。


 ──なぁユリウス。獣人族なんて放っておこうぜ?


 耳元で俺が語り掛ける。

 心臓が跳ねて、動きが止まる。

 冷や汗が噴き出す。

 駄目だ。耳を傾けてはいけない。

 疲れてバグった頭が聞かせている幻聴に過ぎない。


 ──あいつらのせいでこんなに傷だらけだ。そうだろ?


 心の弱い部分に、ずるい自分がズルリと入り込んでくる。

 痛い目にあった。

 辛い目にあった。

 たった3日の間にひどい仕打ちを受け、現に体はボロボロだ。


 ──いいじゃないか。大事な仲間が傷つくわけじゃなし。フジも言ってたじゃないか。


 耳をふさぐ。

 涙を流したままに、顔を背けて目をギュッと瞑る。

 獣人族たちの怒号が思い出される。

 蔑んだ目が。振るわれる暴力が。

 何を言っても聞いてもらえず、代わりに唾を吐きかけられる屈辱。

 ……フジも、獣人族だ。


 ──逃げちまえよ。家族から逃げ出したあの日みたいに


「黙れぇええええ!!!!!」


 持っていた輝照石をどことも知らぬ方向へと投げつけた。

 砕けるでもなく、割れるでもなく。

 コツンと音をたててそれは転がるだけだった。


 ヒヒヒ。

 ははははは。

 キキキ。

 あははははは!!


 どこからともなく、俺をあざ笑う声が聞こえる。

 誰しもが笑う。

 何も決められない自分を。

 何も望むことの出来なかった自分を。


 止めろ!!

 どっか行け!!

 俺はユリウス!

 ユリウス・エバーラウンズなんだ!!

 もうあの頃の俺とは違う!!

 何もない自分じゃない!!

 俺には……。


「俺には……!!!!」


 何も無いじゃないか。


 ふと、理解してしまった。


 そうだった。

 ここで、俺はなにか出来ただろうか。

 何も。

 殴られて蹴られたあの時に一発でもやり返せただろうか。

 何も。

 虫に集られて、泣きわめいたあのときは?

 何も。

 フジに助けられなかったら?

 何も。


「……」


 ダランと、座ったままに腕を投げ出した。

 糸が切れてしまった。


 そうだ。

 何もできない。


 魔法も、無い。

 仲間も居ない。


「……」


 ゆっくりと瞼が落ちてくる。

 駄目だ。

 眠ってはいけない。


 フジを助けなくちゃ。


 フジを。


「……」


 景色が夕日に切り替わった。

 懐かしい景色。

 もう二度と見ないであろう景色


 揺れるカーテンと、開け放たれた教室。

 眩しい夕日に照らされた学校の教室だ。

 アルミサッシに、教卓に、飾り気のない時計。

 各々の好きな文字が書かれた習字が張り出され、風に揺れていた。

 黒板には大きく「課題 将来の夢」と書かれている。


 机に置かれた紙には同じ文字と空欄。


 とっくに他の生徒たちは帰ってしまって、先生と俺だけがその場に残っていた。

 学生の頃の俺が、窓際の席についている。

 それを今の俺が後ろから見ている。

 不思議な光景だ。


 だがはっきりと覚えている。


 これは俺の前世。

 初めて俺がはっきりと、周りの生徒たちよりも自分が劣っていると自覚した日。


 将来の夢を考えて書いて来るというだけの宿題がどうしても出来なかった。

 何を書けばいいのかわからなくて、いつまでも鉛筆を握った手が動かないでいた。

 父親も母親も。

 どちらもまともに相手にしてくれなくて。

 自分が何が出来るのか。

 何をしたいのかわからなくて。

 宿題を前に呆然と座り込んだ夕日の教室。


 今思えば、適当に書いて。

 そして適当に提出しておけば終わる簡単な宿題。

 だが当時の俺は。

 多分今の俺もそうだが。

 その空欄に何も書くことが無かった。


 あぁ、そうだ。

 そうだ。

 何も無いんだ。

 出来ることも。

 やりたいことも。


 彼の後ろ姿をただ見つめ、それから視線を校庭に移す。

 部活動に励む生徒の声が聞こえる。

 校門で下校する生徒に声をかける教員のこえが聞こえる。


 ──■■君まだ残ってる。

 ──将来の夢がかけないんだって。

 ──えぇ?あんな簡単な宿題もできないんだぁ


 きゃははは。


 無邪気な声が廊下を流れていく。


 それを彼は。俺は横目に見た。

 そしてまた空欄の紙に目を送る。

 時計の分針がコツリと進む。

 空欄が埋まらぬまま。


 ──先生。


 彼が教卓を指でコツコツと叩く教員に声をかけた。

 教員は苛立たし気になんだね?と答える。


 ──将来って。なんですか?


 教員は答えない。

 答えに迷っているのではない。

 そんなこともわからないのかと、呆れかえっている。


 ──夢って。なんですか?


 教員はため息1つをついて教室を後にする。

 乱暴に教室のドアを開き、開けっぱなしたままに足音が遠ざかっていく。


 教室に残ったのは、何もわからない俺だけ。

 理解する機会も与えられない出来損ないだけがそこに残った。


 空がゆっくりと暗くなっていく。

 下校のチャイムなどとうの昔になり終わった。

 だが、椅子から立てなかった自分がそこに居る。


「もういいだろ」


 俺が彼に声をかける。

 反応は無い。

 でも俺は居たたまれなくて続ける。


「もういいだろ!投げ出しちまえよ!!そんな紙切れ、書けたところで何にも役に立たない!お前の未来はなんにも良い事が無い!苦しんで痛い目にあって!熱が出て独りで死んじまうんだ!!惨めでどうしようもないくそったれな将来なんだよ!!!」


 歩みより、彼の机をひっくり返す。

 だが彼は表情一つ変えず、ただその紙切れがあった虚空を見つめる。


「お前の人生はな!!」


 俺の人生はな。


「何の意味も無い人生だったんだよ!!!!!!」


 叩きつけるように、彼に叫んだ。


 何も意味の無い人生だ。

 誰にも愛されなかった。

 誰にも必要とされなかった。

 誰も愛さなかった。

 誰も必要としなかった。

 ただ人間のフリをして生きる。

 そんな虚しい、独りぼっちの日々。


 自分で選んだと言えば、その通りだ。

 誰とも。家族とも向き合わず、飛び出して好んで1人になって。

 結果が孤独死。


 痛い目にあい。

 ひどい目にあい。

 痛めつけられ、怒鳴られ、邪険にされ。

 それでも必死で生きた31年は。

 今目の前にいる彼のその後は。

 誰の目にも触れられずに無かったように終わる。


 そう。

 何も無い。

 最初から何も無い。

 同情されるような不幸も。

 羨まれるような素敵な幸せも。


 それをまざまざと見せつけられている。


 ──ねぇ。


 なんの反応もなかった彼が、こちらを見ている。

 宵闇色のその瞳が俺をじっと見つめる。


 ──じゃあさ。


 三角帽子を被った金髪の彼が俺を見つめる。

 風が吹き抜ける。


 ──今は、どうなのさ?


 風が景色を攫って行く。

 ガラガラと、教室が、世界が崩れ落ちていく。


 天井も床も無くなり、ただただ夕日とその向こうに星空が広がる星雲の憧憬。

 足元に反射して、上なのか下なのかわからなくなる。


 そこにあの人が立っていた。

 染色と脱色を繰り返したようなバサバサな茶髪。

 後ろ姿からでもわかる、たるんで肥え太った体。

 きっと顔は、オークそっくりなむくれ顔だ。


 ただ彼女は振り返らずに、そこを指し示す。

 俺の人生で、2度の人生でただ唯一俺を導いてくれた人がただまっすぐに指さす。

 星の彼方。

 俺が向かうべき場所。

 赤い星が煌めく空がそこにある。


 ──大丈夫。お前なら大丈夫


「師匠ッ!」


 ドクンと心臓が跳ねて、洞窟に戻ってきた。

 眠ってしまったことを理解するのには少しだけ時間を要した。


 それほど時間は経ってはいない。

 体の雫はほとんど乾いていない。


 辺りを見渡しても、何も変化が無い。

 本当に一瞬の睡眠だったようだ。


「……何が大丈夫なんですか。師匠……」


 ハァと息を吐いて、洞窟の天井を見上げる。


 何も変わっていない。

 環境も。そして状況も。


 ……そうか。そうだった。


 不思議と心のわだかまりが小さくなっていた。

 傷も痛む。

 体は動かすだけで軋む。

 しかしそれでも、体を拭いた。

 幸いにも出血は止まったようだ。


 その上から。カバンに入っていた服を着る。

 下着は無いからノーパンスタイリスト。

 まぁ背に腹は代えられない。


「ふぅぅ……」


 襟のボタンを締め終わって息を吐く。

 念のため、魔法が使えないかだけもう一度試した。

 だがやはりだめだ。

 魔力よりも固く、重いなにかが空間を固定しているようだった。

 火も水も出ない。


「……よし」


 パンと膝を叩いて立ち上がる。

 すこし寝たおかげか、体はとりあえず動いた。


 少しだけ立ち姿を自分で見ておく。

 うん。

 懐かしい。

 コガクゥの村でバイトをしていた頃を思い出す。

 服のサイズが少し大きいところなんかも原作再現度が高い。

 腕まくりをして、足を切らないようにゆっくりと外へ出る。

 まだ日は昇り切っていない。


 川を上っていく。

 ゴツゴツした岩は削れて丸くなっているから、裸足には歩きやすかった。

 ペタペタと、足音が渓流に響く。


 改めて見れば、本当に色濃い自然だ。

 樹々は生い茂り、葉は瑞々しくそして鮮やかな緑を湛えている。

 流れている川の水も澄み切っていて、手を浸せば冷たい。

 初夏の陽気にも関わらず、吹き抜ける風は涼しく心地よかった。


 風に伸ばした後ろ髪が揺れる。

 この髪も随分と伸びた。

 旅が始まって前髪こそ揃えたが一度も切っていない。

 すでに首をクルリと一周してもまだ余るほどに長い。


 それを指先で弄る。

 金色の細くしなやかな髪。

 髪質はサーシャ、色はデニスから受け継いだ。


 それを想いながら川をさかのぼる。


「ぃよいしょぉ!」


 大きな岩を乗り越えた。

 視界が開けて、滝も見えるまで戻ってきた。


 この世界にきて、13年、この冬には14年になる。

 何を成して。

 何を成せたのか。

 そんなもの、知り得ない。


「この辺りにいるはずだ、くまなく探せ」

「「「ハッ!!」」」


 真っ黒の毛並みの獣人族の女性が地図を片手に部下に指示を出している。

 白鞘の刀を持ち、腕と足だけ鎧固めた女剣士。

 アルフリードとどこか雰囲気が似ている彼女が振り返り、こちらに気が付く。


「居た!!」

「待て」


 部下たちが剣を抜こうとしたところを彼女が制する。

 俺はただ、ゆったりと諸手を上げていた。

 もう逃げる必要もない。


「ベルガーからの指名手配犯。魔術師ユリウス・ヴォイジャーだな?」


 彼女は俺の前に歩み寄る。

 刀に手もかけず。身構えず。


「いいえ」


 俺は彼女の問いにゆっくりと首を振った。

 そして、微笑む。


「初めまして。綺麗な獣人族のお姉さん」


 騎士礼節の簡易礼で彼女に頭を下げた。


「アリアーから来ました。《魔道士》ユリウス・エバーラウンズです」


 周りの獣人族たちがザワザワとそしてヒソヒソと何かを言っている。

 様子がおかしいとか、虫で気が狂ったのだとか。

 まぁどちらも正しいかもしれない。


「……ジルフリーデだ。この聖域の守護を仰せつかっている」


 名前もアルフリードにそっくりな彼女。

 腕を組めば、その張りのある胸が強調される。

 いやぁ、良いものを見せてもらっている。


「ことと次第、わかっているのだろうな?むざむざ帰ってきたのだから」

「えぇ。わかっています」


 今の俺に何ができて、何をすべきなのか


 岩をひょいと降りて彼女のすぐ目前にたち、両手を差し出した。

 手錠をかけてくれと自首する逃亡犯のように。

 ……そのものか。


「連れて行ってください。フジの所に」

「……いいのか」

「はい。俺はもう逃げないと決めたので。せめて、優しく殺してください」


 彼女は何も言わず。縄もかけずに俺の背中に手をやった。

 エスコートするように、付き添うようにしてそっと足を進める。


「道をあけろ。処刑台に。神樹の御許まで連行する」


 ---


 影はまだ斜め。

 それなりに時間が経ったように思えたが、正午にはまだ早い。

 ジルフリーデに抱えられて、森を風のように走り抜けて行く。


 結局縄はかけられなかった。

 手錠も無い。


 彼女の部下たちも何も言わずについて来る。


 通り過ぎていく樹々の上。

 枝葉の奥に大きな樹がそびえ立っている。

 あれが大いなる神の樹。

 ディトーンが眠りについているという神樹。

 元気がないのか、枝には葉っぱがあまりない。

 枯れているわけでは無いようだが、少し寂しい頭をしている。


 しかし聖域。

 イーレを送り届けるつもりが、俺が一番乗りか。

 なんだか笑いがこみ上げてくる。

 思えば、エレノアも送り届けたのは途中までだ。


 ほとほと、何も成すことの出来ない魂でできているらしい。


 開けたそこにつけば、ジルフリーデが降ろしてくれる。

 巨大な樹をぐるりと囲む尖った丸太の柵。

 そして古びた物見やぐら。

 屋根が無いそれは物見やぐら兼処刑台と言ったところか。

 すでに人だかりが出来ている。


 やぐらのてっぺんには、灰色の毛並みの彼がペタンと座り込んでいた。

 大きな首枷をつけられた彼はぼんやりと空を見ていた。

 フジだ。

 彼は生きている。


 遠くの彼と眼が合った。

 だが、彼は仰天というような顔でこちらを見る。

 唇が小さく動いた。

 今度はどうして。か。

 そういうところもしっかりと見てしまう。


 彼を筆頭に民衆もこちらに気が付いた。

 喧騒がじょじょに立ち昇ってくる。

 どれも俺に向かっての罵倒だ。

 卑怯者。変質者。汚らわしい魔術師。人殺し。

 シエナの罵倒と違って愛が無い。

 残念ながらどれも俺の心を撃たなかった。


「ええい静まれ!!神聖なる神樹の御前だぞ!!わきまえろ!!」


 ジルフリーデがそれらを怒鳴りつけて黙らせる。

 すぐに静けさを取り戻した民衆ではあるが、その冷たい目線は収まらなかった。


 ゆっくりと、彼女に支えられて前へ。

 うつむいたまま。石でも投げてくるんじゃないかと怯えながら民衆の中を進む。

 誰しもが俺を汚いものを見る目で見ていた。

 それらを無言のままにかき分けてやぐらの階段を上る。


 上にはすでにセドリックがスタンバっていた。

 お得意の斧は黒鉄の処刑斧。

 ゴキリと首を鳴らしながら彼は不敵に笑った。


 それをあまり見ずに、やぐらからの景色を眺めた。

 なんだかシエナの誕生日を思い出してしまう。

 全然ちがうのに。

 あの時みたいな、素敵な思い出とは比べ物にならないのに。


「ほら」


 セドリックがジルフリーデに鍵を投げる。


「外してやれ。重そうだろ?」

「……」


 ヒヒヒと彼は笑う。

 自分の出番を今か今かと待っているのだ。


 ジルフリーデは受け取った鍵でフジを開放した。

 彼は身震いをひとつだけすると、俺の方に向き直った。


「無罪の証左。見つかったんだよね?」


 そうだよね?と彼は希望溢れる答えを求めた。

 だが俺はそれに小さく首を振った。


「じゃあなんで戻ってきたの。君は縁の人だ。僕よりも大切な命なんだよ?」


 彼はやさしく俺の肩を揺らした。

 ジルフリーデはそれを止めない。

 ただ少しだけ時間をくれる。

 優しい人だ。

 こんな人ばかりであればいいのに。


「いいやフジ。それは違う。何を成し、何を成さなくても。命は等価値だ。そして替えは効かない」


 ジルフリーデの手から俺は首枷をそっと奪った。

 何も言わず。誰にも言われずにそれを自分で自分につけようとする。

 あぁ、これ自分でつけることが出来ない仕組みなのか。

 そりゃそうだよな。

 でも許してほしい。

 こんなものつけるようなことは一度もしてないのだから。


「……よこせ」


 ジルフリーデが再度奪い返して、丁寧に後ろ髪が巻き込まれないように鍵をかける。


 見事に首と両手を固定された。

 まさに斬首を待つ死刑囚。

 これは簡単に抜けだすことはできないな。

 ごめんよフジ。

 苦しかっただろうに。


「……これで元通りだ。俺が思った通りの結末にはならないけれど。フジが犠牲になるよりも何倍も良い」

「それじゃ等価値じゃないよ。言ってることとやっていることがアベコベじゃないか」

「そうだね。でもそれが俺なんだ。今のユリウスはそういう男なんだよ」


 そういうと、時間になったのかジルフリーデはフジを連れて壇上から降りた。

 やぐらの下でフジが女性に迎えられている。ルビーだ。

 最初に俺を蹴飛ばして、食事をぶちまけてくれた彼女。

 涙ながらにフジを抱きしめて、叱りつけている。


 そうだよね。

 家族って。

 そういうものだよね。

 うん。


 腕の中から身をひねってこちらを見るフジの目線に同じように目線で答える。

 セドリックが俺の肩を掴み、そのまま膝を突かされる。

 大丈夫。

 覚悟はできてるよ。


「罪人!魔術師ユリウス・ヴォイジャーよ!!」


 やぐらの下。

 物見席に座った族長が声高に語り掛ける。


 その脇には側近らしき男。

 灰色の毛並みの獣人族の男が固唾をのんで事を見守っていた。

 ケーシー。

 そいつもそこにいた。


「神の慈悲の下、最後に申し開きの機会を与える!だが、罪状は変わらぬ!言い残すことなどあれば申してみろ!!」


 族長はそういう。

 なるほど。

 好きにスピーチしていいのか。

 いいね。

 そういうの一度してみたかったんだ。


「命乞いでもしてみろよ、ユリウス・ヴォイジャー。今度は《赤角》の助けに来ないぜ」


 斧を握る手に唾を吐きながらセドリックは笑う。

 その場にいる誰しもが俺の死を望んでいる。


 まぁそれに応えに戻ったわけだ。


 何も出来ない。

 何も無い。

 それは変わらない。


 必死でかき集めて、得ようとした何かは指の間をすり抜けて砂へ戻る。

 前世も今生も最終的には変わらなかった。


 でも1つだけ持っているものがあった。

 この生命だ。

 幸いにも俺はその事実に気づくことが出来た。

 これだけは他人には扱えない。


 親にも。

 担任にも。

 クラスメートにも。

 何人たりとも俺の命の使い方に文句は言わせない。


 そしてその命を差し出せば、彼が助かる。

 誰もが疎んで憎んだ俺に救いの手を向けてくれた彼を救うことが出来る。


 それに気づくことが出来た。


 だから、最後に叫んでいいのなら。

 叫ぼう。


 すぅと、息を吸った。


「我が名は!!ユリウス!!《魔道士》!ユリウス・エバーラウンズ!!《剣豪》アレキサンドルス・エバーラウンズの孫にして!王宮魔術師!ネィダ・タッカーの弟子!!ここに無実の罪により処刑される!未練はない!!悔恨も何一つない!!俺は自分の良心に生き!!魔道に生きた!!よって!!!」


 もう一度、肺一杯に空気を吸う。

 これが最後の空気。

 もう世話になることの無いそれを最期の声へと変える。


「我が人生に!一片の悔い、無し!!!!!」


 森に俺の声がエコーしながら響く。

 静まり返った民衆から眼そらし。そして瞼を落とした。


 ゆっくりと項垂れて。

 その時を待つ。


 あぁ。

 スッキリした。

 さよなら。異世界。

 また生まれ変われることは流石にもう無いだろう。

 素晴らしい幸運だった。


 でも。もういい。

 何も成せない魂だとわかった。

 愛なども、知ることの出来ないのだとわかった。


 次の生まれ変わりはもういい。いらない。

 どうか闇に葬ってくれ。

 二度と目覚めないように。

 この惨めで救いようのない人生が、ひとつでも減るように。


 ……あ。でもユリウスはきっともっと良い人生を送れただろう。

 すまない。ユリウス。

 付き合わせてしまった。

 恨んでくれ。


 髪の一房くらいは故郷に返してやりたかった。

 デニス。サーシャ。イリス。

 もう会えないけど。愛してる。


 エルディン。

 どうか世界とやらを救って、あわよくば元の世界に戻ってほしい。

 是非とも輝かしい青春生活を送ってもらいたい。

 お前の力になりたかったが、ここまでだ。

 親友として応援してる。


 ロレス。

 お世話になりました。

 シエナが色々迷惑をかけたと思うけど。

 どうか末永く彼女を見守ってあげてほしい。

 本当は寂しがり屋のいい子なんです。

 ご存じだとは思いますが。


 イーレ。

 イーディルン。先に君の故郷についてしまった。

 ここで果てることになってしまったけど。気にしないでほしい。

 君は君の旅路を歩んで、ここに戻った。

 それを誇って、綺麗な美猫になってほしい。


 シエナ。

 ……シエナ。

 あぁ。心残りだ。

 でもごめん。

 いま君を想えば未練が残る。

 幸せになってくれ。君はお嬢様だ。

 剣じゃなくて花を、鎧じゃなくてドレスを

 ……本人が嫌がるかな?

 でも、伝わらないけども伝えたい。

 大好きだ。

 誰よりも。


 そして師匠。

 あなたの弟子は幸せ者でした。

 おかげで、夢を見れた。

 行く先を定め、歩み。立ち直れた。

 心から、感謝しています。


 こんなところか。

 いい人生だった。

 短かったけど。もういい。

 十分生きた。

 合計精神年齢、約50歳。

 織田信長の歌にもある。

 人間50年。

 下天のうちをくらぶれば。

 夢幻の如くなり。


 ……だったか?

 人の生涯なんてすっごく短いって意味だよね?


 でも俺には長すぎた。

 ちょっと疲れてしまったよ。


 ガシャリ。

 斧が振り上げられる音が聞こえた。


 俺は、息を止めた。

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