366日目 ホワイトビックマドール
ログイン366日目
それではユキちゃん用のオモチャを作っていこう。
ベースにする型紙は【クマのぬいぐるみ・特大】だ。私作のレシピ【コグマドール】の基になったのが普通の【クマのぬいぐるみ】で、その特大バージョンってことになる。
通常サイズだとユキちゃんのでっかい鉤爪付きの手には野球ボールくらいの収まりにしかならなくて、それこそ投げたり叩きつけたりするくらいしか遊びがいがなさそうなのでね。
特大サイズは、足を伸ばしたら私より頭一つ分小さいくらいの大きさだ。
私の1.7倍くらいデカいユキちゃんからすると、小脇に抱えるのに丁度良いくらいの塩梅なんじゃないかな。これならぶんぶん振り回したり枕にしたり、もっと使いようもあると思うんだ。
テーマは“ユキちゃんのお友達”ということで、ユキちゃんと同じ色、真っ白な【クラウドウールヾ( •ω• )/】を使うよ。手触りの良いボア素材である。
でね、ユキちゃんは力の強い子なので、あまり繊細そうな子だと気が合わないと思うの。やはり逞しい、ユキちゃんとお相撲を取っても負けなさそうな子が理想的なお友達だろう。
よって思いっきり太ましい体型にしちゃうよ。肩幅も笑えるくらい広くしちゃうもんね。
オモチャのキャラクターなので、このくらいのコミカルさで丁度良いでしょう。ふふふ、どことなく某天空の城のロボット兵を連想させるフォルムだ。
手足は短く顔はちっちゃくして、その分胴体をうんと大きく作る。安定感のある良い枕になりそうだ。
おバカっぽいキャラクターデザインだけど、お顔は丁寧に可愛く作るよ。丸く磨かれた黒曜石のつぶらな瞳に、刺繍で描く口元はにっこり弧を描かせてっと。
ここでちゃんと真面目にきゃわわな表情を付けてあげてこそ、一見適当でポップなシルエットが活かされるのだ。ゆるキャラは“ゆる”と“かわ”のバランスが命なのです。
そうしたら綿をぱんっぱんに詰めて閉じる。愛情込めて、それはもうぱんっぱんに詰めるよ~。
最後にこちらを忘れちゃいけない。じゃーん、大量の【プリザーブカルタ】!
残念ながらワールドマーケットのお店を行き巡っても50枚ちょっと集めるのが精々だったため、幾つかのお店には発注までさせてもらっている。それでも短期間で材料を工面するのは難しいらしく、追加で集まったのは20枚。
ま、そこまで完璧にやることでもないかあって思って、今回は一旦これで妥協することにした。
それじゃ70枚強のカルタも作業台に乗せて、【裁縫】発動。すると、いつもの道具や資材がひとりでに動きだすというモーションと共にカルタも次々と宙に浮かび上がり、クマちゃんの体内に溶け込んでいった。
てぃんとーんと、お馴染み完成のSE。
さあできた! ユキちゃんにぴったりな、ガチムチフレンド誕生だ~~!
【ホワイトビックマドール】
品質:★★★★★
クラウドウールで作られた人形。
主な使用法:遊具
ギフト効果:絆上昇(大)
プレイ効果:絆上昇(大)
消耗:4220/4220
習得可能スキル:口笛 大地の囁き
(口笛:任意発動スキル 消費30~ 周辺にいる野生の友好幻獣を呼び寄せる)
(大地の囁き:任意発動スキル 消費10 地中深くに埋まるアイテムの気配を感知する)
おおう、さすがの[消耗]値。普段の自分の装備品なんかの感覚でいくと、もう修理しなくとも次の上位互換アイテムに換えるまで使い続けられるんじゃないのって数字が並んでいる。
でも油断は禁物だ。私にとっての“備品”はユキちゃんにとってそれこそ“消耗品”なのだから。
こまめな【修繕】、忘れないようにしないとね。
因みにとっても便利な【プリザーブカルタ】だけれど、本来はこの素材、一つのアイテム生産にあんまり幾つも使うと成功率が下がるらしい。でもそこは【ソーダ】にカバーしてもらっているので、思う存分詰め込むことができたというわけだ。
毎度のことながらソーダ様様である。
冷静に考えると、カルタ一枚6万キマなのに対して、もも金さんから購入するソーダは一本2万キマなんだよね。絶対ソーダのほうが価値が高いだろうに、破格の値段である。
一般的なゲーム世界の宿命に違わず、きまくら。でも徐々にインフレが進んでいる。でも私に提供してくれているソーダの価格は、取引を開始したときから今に至るまで全く変わっていない。
これだからもも金はやめられないんだよね。「私荒稼ぎに利用されてんな……」って思うことも多少あるけど、こういうご厚意を考えるとね、まあいっかってなる。
この辺のバランス感覚も上手いこと計算してるのかなー。
いーさいーさ、快適な生産ライフのためだもの。もも君の手の平の上でくるくる踊ってあげるさー。
さて、今回付いた習可スキルは【口笛】と【大地の囁き】か。
どちらも以前に付与したことがあるものだから、新鮮味はない。まあ結局無駄になっちゃうものだし、ある意味良かったようなそうでもないような?
と思いきや、遊具や特装アイテムに付いたスキルは眷属獣が取得することもできるんだって! これは嬉しい。
……あーでも、今のところ凶暴なユキちゃんを遠征に連れて行ける目途は全くついていないから、やっぱり宝の持ち腐れになっちゃうかな。ま、持ってて損になることは絶対ないし、きっといつか役に立つ日も来るでしょう。
ぬいぐるみ作りは決して得意ではなくて、このビックマちゃんもあまり洗練されたバランスとは言えない。でもそこが味になってて、愛嬌があるようにも見える。
私は試しに、ぱっふぱふに膨らんだクマのお腹に顔を押し付けてみた。
うーん、いいかんじ。自信のお腹だ。
よっし、明日早速ユキちゃんに持ってってあげよーっと。








