271日目 持つべきものは(裏編)
【きまくらゆーとぴあ。トークルーム(個人用)】
[モシャ]
そうなんです、いやびっくりでしたよ!
見てくださいこの派手イケコーデ!
(画像)
[モシャ]
むっちゃカッコイイですよね!
それに何より、あのブティックさんがこの衣装を俺に似合うと思って仕立ててくれたってとこが、マジ最高に嬉しくて~
[モシャ]
いくらきまくら。デフォルメされてるとはいえ、俺にこれは敷居が高過ぎなんじゃ? って最初は思ったんですけど、
意外や意外、実際着てみるとしっくりくるんですよ
[モシャ]
いや~さすがにブティックさんの目は誤魔化せなかったってことですね!
この俺の隠しても隠しきれないタレント性、溢れ出るヒーローパッション
何せ「運命の人」ですから
分かってるな~ブティックさん!
[ゾエベル]
そーかそーか
そいつは良かったな
[モシャ]
あっ、すいません、なんか自慢ぽくなってしまって……
いえその、やはりシエビビ党党員として、推しに服を作ってもらったってことがとにかく光栄でして……
[ゾエベル]
うむ、勿論分かっているぞ
であればその喜びを自らの糧とし、これからも邁進していくがよい
シエビビ党員としての正しき道をな
[モシャ]
うす、頑張ります!
憧れのユニークスキルもいただけたことですし、今後も切磋琢磨していく所存です!
[ゾエベル]
【コントロールゼット】だったか
身に余る力なのだと弁えるのだぞ
パーティをサポートする上で、そのスキルは大いに活躍することだろう
賜りし恩寵はビビアさんのために用いるがよい
[モシャ]
うす!
[モシャ]
……へへ、そうなんですよね
この話が出たときには本来の目的に集中しててそれどころじゃなかったんですけど、
ブティックさんに服仕立ててもらうとか、普通に滅茶苦茶ラッキーなことなんですよね~
[ゾエベル]
ふむ、本来の目的とな?
[モシャ]
ああいや、その、どうやってシエビビ党の新たな一員として認めてもらおうかってところですぜ
[ゾエベル]
ほうほう成る程な
[ゾエベル]
ところでモシャよ
俺のもとにこんな写真が上がってきていてだな
(画像)
[モシャ]
え……、っ!?
[モシャ]
……あーっと、なんだ、フレのたにさんじゃないっすか
な、何ですか~、もう
俺とたにさんが喋ってるだけの写真の、何がそんなに気になるんです?
[ゾエベル]
おまえ、言ったよなあ?
悪名高き無職との関わりがビビアさんの活動と評判に陰を落とすのではと懸念する俺に、
俺の弟子になれるのであれば無職との関係はすぐにでも断つって、言ったよなあ?
[モシャ]
それはその……む、無職云々というより、たにさんとは普通に友達なんですよ
組織からはちゃんと抜けてきてるんで、安心してくださいよ
[ゾエベル]
じゃあこっちの写真については、どう説明付ける気でいるワケ?
(画像)
[モシャ]
ぐっ……!
[ゾエベル]
たに、白鳥、po
全員無職のメンバーだ
随分仲良さげにやってるのな
ちなこれ、ごく最近の写真ってのはおまえの格好からしてもう明白だよな
[モシャ]
これだから害悪トップクラン勢は……!
ことごとくeeと繋がりあるのほんと何とかしろ……!
[ゾエベル]
ん?
何か言ったかあ、モシャ君?
[モシャ]
イーエナンニモ
[ゾエベル]
ったく、おまえという奴は
[ゾエベル]
おまえという奴は、ほんっと……、無理しやがってよお……
[モシャ]
………………は?
[ゾエベル]
いいんだモシャ
分かってる、皆まで言わずとも俺には分かっているとも
おまえはビビアさんの快適なきまくら。ライフを守るため、
自ら無職の動向を探るスパイ役を買って出ようという所存なんだろ?
[モシャ]
………………は……
[ゾエベル]
そうなんだろ?
[モシャ]
………………ハイ!
ソノトオリデアリマス!
[ゾエベル]
だよなー! やっぱそうだよなー!
おまえのことだからどうせそんなことだろうと思ったぜ!
まったく、俺は随分と危なっかしい野郎を弟子にしてしまったようだな
だが、その心意気やよし!
[ゾエベル]
相分かった
可愛い弟子の溢れんばかりの熱意、買ってやることにする
無職への探りは今後すべておまえに任せるとしよう
[モシャ]
へ……、へい……
任せて……つかあさい……
[ゾエベル]
おーし、んじゃ早速、無職関係最初の任務をおまえに委ねようじゃないか
[モシャ]
へえ……
[ゾエベル]
ん? 何だ?
声が震えてんぞ
あー、あれな、武者震いな?
まあ待てそんな急くなって
今から伝えるのはビビアさん直々に下された重要な指令なんだから、落ち着いてじっくり頭に叩き込め
[モシャ]
へえ……
[ゾエベル]
時にモシャよ、おまえがビビアさんから賜った“ハッピーセット”の中にはもう一着、衣装があったんじゃないのか
[モシャ]
へ……あ、何でそれを……?
[ゾエベル]
勿論ビビアさんから聞いたまでのこと
というのも彼女は俺のほうにも、こんなハイパープリチーにしてハイエンドなコスチュームをくださってだな
(画像)
(画像)
[モシャ]
げ
[モシャ]
リンクボーナス付き……ってことはまさかこの着ぐるみって俺が貰ったやつと……
[ゾエベル]
そう
リンクセットってわけだ
[モシャ]
あ、あー……はは……そいつは嬉しいですねえ
師弟でお揃いにしてくれたってことですか
[ゾエベル]
うむ
で、この画像の中には、二着の着ぐるみがある
ウサギのほうは俺が譲り受けたんだが、もう一着のパンダのほうは今余っている
[ゾエベル]
故にビビアさんは俺に指令を下した
「このプリチーパンダさんに相応しきオトモダチをもう一匹用意せよ」
「然してこの衣装に宿りしスキルを如何なく駆使し、三匹のオトモダチが愉快に戯れる動画をわらわに献上するのじゃ」
とな
[モシャ]
ブティックさんてやっぱそういうシュミの……ああいや、何でもないですよ
[ゾエベル]
そこで俺はおまえに最初の任務を任せる
おまえ、パンダさんに相応しきオトモダチを連れて来い
[モシャ]
はあ、そゆこと……
まあ別にそのくらいなら全然構いませんが
てかそれとこれと無職に何の関係が?
[ゾエベル]
何っておまえ、そのオトモダチターゲットがササだからだよ
[モシャ]
……はああああああああ!?
いやいや! そんなん無理に決まってるっしょ!
冗談よしてください!
[ゾエベル]
冗談ではない
これは師匠命令である
[モシャ]
ただでさえこんな見てくれのコス、クール系気取ってるササが着るわけないってのに、おまけにこのスキルってあれでしょ
多分絶対、普通のバンブーシュートの上位版みたいなやつでしょ?
こんなの……
[モシャ]
ああもう!
あの悪逆非道の女王が……ブティックさんがササを連れて来いって、そう命じたっていうんですか!?
[ゾエベル]
いいや?
彼女はキュートでファニーな画が撮れれば満足というわけで、人物の指定などはなかった
これは俺が独断で決めたこと
というのも、モシャ、おまえにチャンスを与えるためだよ
[モシャ]
チャンスって……
[ゾエベル]
君の心が本当に無職ではなく俺等のもとにあるのか、試すためというわけだよモシャ君
身を粉にしてスパイの役目を全うすると誓った君の決意表明は、俺の胸にふかあーく刺さった
ならばその忠誠が本物なのかどうか、勿論証明してくれるよな?
[モシャ]
~~~~っ!
[ゾエベル]
なーに、現に今もこうして俺と無職に二枚舌使ってのらりくらりやりおおせてるおまえにとっちゃ、朝飯前だろ
[モシャ]
二枚舌なんて使ってませんて!
[ゾエベル]
うんうん、だからそれを証明しろな
別に俺は強制してるわけじゃないんだ
無職に付くのか、俺等に付くのか、選ぶ機会をやってるだけなんだ
[モシャ]
……クッッッッソがああああ~~~~!!
[ゾエベル]
良い意気だ
ササパンダを連れてくる日を楽しみに待ってるゼ








