197・198日目 静かなる湖畔の淑女のドレス
ログイン197・198日目
クリフェウスは線の細い文学青年といった出で立ちで、おぼっちゃん然とした雰囲気がある。
プラチナブロンドの髪はおかっぱ、肌は白く、猫のような大きな瞳はアイスグレー。そして普段着ている服は白いフリル付きのシャツに黒いリボンタイ、黒のトレンチコートを羽織るという、英国紳士のようなファッションを好んでいる。
因みにシエルちゃんシャンタちゃんはしょっちゅう衣装替えをして登場するけれど、あれはきまくら。キャラクターの中でも結構例外のようだ。
NPCの格好は基本的には固定されている。
変化が見られるのは、イベント時、または装着アイテムをプレゼントしたり装着アイテムをショップで扱っている場合、それと季節ごとの衣装チェンジ、大体こんなかんじかな。キャラクターによって大分格差があるっぽいけどね。
人気度やら運営の匙加減やらで、衣装がしょっちゅう変わるリル様のような子もいれば、衣装を一着しか持たない子もいるってわけ。
その点シエシャンはお洒落っ子設定があるっていうのと最初のコミュミッションがあれなせいだろうけど、相当恵まれてるなあって思う。
反面、代表的なコスチュームがぱっと頭に浮かばないのはちょっと寂しいかも。公式サイトとかで出てるあの衣装がいわゆる恒常バージョンなんだろうとは思うけど、あんまり記憶に残ってない。
まあシエシャンは衣装に頼らずともそれ以外でキャラが立ってるから、存在感は全然他に負けてないけどね!
何はさておき、マユさんの希望はクリフェウスのこの恒常服秋冬バージョンに似合うパートナー服、ってことでまず間違いはないだろう。
で、マユさんのアバターはというと、三つ編みにした黒髪を腰まで垂らしたツインテール、赤い瞳、猫耳、そして黒を基調としたメイド服。うんうん、分かりやすくていいね。
本人もこの系統だしクリフェウス推しだしで、ゴシックだとかロリータだとかクラシカルだとか、その辺好きそう。あと二次元チックな要素も。
イメージはすぐ湧いてきた。
紳士といったら淑女だもの。というわけで、淑女、黒、シック、そんなテーマで作っていこうと思うよ。
デート本番は日曜日だそうなので、今日入れてあと三日の内に作らなきゃならない。余裕を持って届けたいし、早速さくさく作っていきましょう。
まずは淑女の鎧、ドレスを手がけることに。
秋冬用衣装なので、露出は控えめにいこうと思う。
あとクリフェウスの性格的にも派手な子はあんまパートナーとして選ばなさそう。彼のキャラクター性からの解釈も混ぜつつ、彼女服を仕立てていくとする。
チョイスした型紙は【バッスルドレス】、【ディアンドルワンピース】、【バルーンスカート】の三つ。自分のイメージした形にしっくり合うレシピが見つからなかったので、これらの型紙から部分部分パーツを抜き取りつつ、新たな型紙を作っていくよ。
バッスルドレスはプリンセスラインのドレスで、尚且つスカートの背面が何層ものフリルでふっくら膨らむデザインとなっている。腰はきゅっと、お尻からぶわっとな、バックスタイルが華やかなやつだ。
全体の形はこのバッスルドレスに合わせつつ、ディアンドルから取ったネックライン、ボリューミーなバルーンスカートを融合させていこう。
正直被服製作で一番力が要るのは、この型紙調整時間かも。ゲームシステムによりかなりスムーズに行えるとはいえ、やっぱ仮縫いと修正を繰り返すのはそこそこの根気強さが求められる。
こと“ドレス”ってなると、シルエットに手を抜けないからね。形作りにはより一層の気合が入って、集中してたら二、三時間、あっと言う間に過ぎてました。
というわけで製作二日目。昨夜頑張って完成させたドレスの型紙を使って、実物を仕立てていくよ。
メインの生地に使うのはこちら、純白の【ロイヤルシルク(*//ω//)】。すべすべ滑らかな、肌触りのよい高級クロスだ。
スカートの丈は膝下くらい。ディアンドル風の広いネックラインには金のブレードで装飾を施す。
そしてバックや裾から見せる形のインナースカートには、黒のチュールと黒地に金色アラベスク模様の入ったクロスを使用する。これらにギャザーを寄せて、何段か重ねて、ゴージャスにして品のあるバックスタイルを演出する。
オーバースカートの重なった前裾部分は、下から見えるインナースカートの裾と一緒に絞ってしまおう。こうすれば色の違う複雑なフリルが、滑らかでシンプルなフロントスタイルにも華やかさを添えてくれるでしょ?
これで表は清楚キュート、裏は小悪魔シックなドレスの出来上がり。次は大きなフード付きの【ケープ】を作るよ。
使う生地は黒の【ホエイルアクリル】。そこそこの厚みがありつつも柔らかな質感を持つクロスだ。
これをドレス装飾の邪魔にならないよう、且つ動きが出るようゆったり感を意識しつつ、形を調整していく。おっきいフードって、それだけでファンタジー感やミステリアス感が醸されるから便利よね~。
留め具は小鳥を模した金属製のパーツを二か所付けておこう。メルヘン感がでていいかんじ。
あとは下に着る用のブラウスと、厚底黒のスクエアトゥパンプス、黒のタイツを用意すれば、はい出来上がり。
【静かなる湖畔の淑女のドレス】
品質:★★★★★
ロイヤルシルクで作られた服。
主な使用法:装着
効果:[混乱]無効 水属性付与 手際+220
消耗:650/650
習得可能スキル:一蓮托生
(一蓮托生:任意発動スキル 消費50~ 一定時間自身に加えられた回復・ダメージ効果を仲間全員にもたらす)
チャレンジスキル:ビアンカネーヴェ
(ビアンカネーヴェ:任意発動スキル 消費50~ 一定時間自身を[毒]状態にし、対象を[魅了]状態にする(範囲・中))
おっ、習可のちょっぴりめんどくさいバージョン『チャレンジスキル』が付いてるじゃん。品質は問題ないし通常の習可もちゃんと付いてることを考えると、多分これは“おまけ”かな?
今回ドレスの型紙作りにかなりこだわったからね~、そのご褒美と勝手に予想。分かってるじゃないきまくら。システム君。
とはいえスキル自体はどっちもクセアリで、上級者向けなかんじがする。私だったら使いこなせないだろうな。
まあマユさんきまくら。廃人っぽいし、案外上手に駆使しそうかも。
デザインそのものも大変満足。
クリフェウス氏、こういう女の子好きそう~~。物静かで楚々としてそうなこのかんじね。
でもリアルのクリフェウスタイプって、そう思って付き合った子が実はかなり強かで計算高い女の子で、気付いた頃には何だかんだ押し切られて尻に敷かれてる、みたいなパターンも多かったりするけどね。
その辺含めてもこの衣装、そしてマユさん、クリフェウスにお似合いかもしんない。恋する女子はね、フロントスタイルがすべてじゃないんですよ。
よしよし、いいペースで仕事を完成できてすっきり、創作意欲も満たされてすっきりだ。マユさん、気に入ってくれるといいな~。








