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職業、仕立屋。淡々と、VRMMO実況。  作者: わだくちろ
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172日目 バレッタ(後編)

 あたたたたたた……! ってね、読んだ瞬間ね、心の節々が悲鳴を上げちゃった。

 いやさすがにネタか? とも思いかけたけど、どうにもこうにも昨日の彼女の様子を考えるにつけ、冗談でこんなこと言ってるようには見えないのよね。

 バレッタさん、あんま冗談とか言わなそうだし。少なくとも私なんかには。


 だとしてもこんな繊細な問題をこんな関係性の薄い人間に相談するもの、って? いや時々いるんだよねー、リア充民、特に年下の子には。

 さすがにゲーム上でっていうのは初めてだけど、私の周りにもそんな子いたわ。大学の後輩とか会社の同僚とか。

 多分それだけその人にとっては“恋愛”という話題が日常的なもの、軽いもの――――悪い意味ではなく――――なんだろうね。あとどうでもいい人間だからこそ話せるっていうのもあるのかもなー。


 けどバレッタさん、振られることなんかあるんだね。

 いや、もっと驚きなのは、振られてあんなふうに分かりやすく落ち込んだりするんだね。可愛いところもあるんだなあ。

 なんて、失礼なことをあれこれ勝手に考えたり。いやあ、私もいっちょ前に人間だもので、やっぱこういうトピックって好奇心やら想像力やらが膨らんじゃうんだよね。


 それにしても元カレに会うときの服、かあ。えー、そんな発想で考えたことなかったなあ。


 どういう状況で会うんだろ。さすがに現実世界の話、だよね?

 悩んじゃうくらいなんだから、ある程度カッコは付けたいってことだよね。


 バレッタさんは振られた側ってことは……、まあ未練は、なくはないんだろうな。

 あわよくばよりを戻したいなんて考えていたり? ……うーん、それはちょっと解釈違いかも。

 バレッタさん気が強そうだから、「私をフッただなんて見る目なくてがっかり」くらいには思ってそう。思ってなかったとしても、そう思ってるって、思ってほしそう。


 ほんとのバレッタさんをあんまり知らないだけに、妄想は豊かに膨らんでいく。結論、服考えるのちょっと楽しそう、って思っちゃった。

 よし、次の製作テーマは“失恋したバレッタさんが元彼に会うときの服”で決まり。独断と偏見盛り盛りコースでいってみよ~。


 元彼と会わなきゃいけないシチュエーションの定番っていうと、やっぱ共通の知人の結婚式とかかなあ。

 でもだとしたら絶対、リクエスト内容に“ドレス”とか“フォーマル”とか入れてくると思うんだよね。それがないってことは、もっとファッションに自由が利く場面ってことなんだろう。

 じゃあそうだな、共通の友人から誘われた飲みの場、とかの設定にしようかな。


 でも結局どんな状況にせよ、一番いいのはバレッタさんがバレッタさんらしくあること、自然体で似合うものを着ることだと思う。そこを大前提として、“元彼”という要素をちょっぴり意識した装いにしていきたいね。

 もっとも私はリアルのバレッタさんを知らないので、そこはきまくら。アバターのバレッタさんで考えるとしよう。基本はリアルにも応用が利く現代(いま)風女の子のイメージでいこうかな。


 で、フラれた女子側の心境としては元彼と会ったときの一番の正解って、彼にこう思わせることなんじゃなかろうか。


「とぅんく……あれ……あいつ……なんか前よりも可愛くなった……? 距離を置いた今改めて考えると、あいつってイイ女だったんだな……。くそっ、俺と別れた後だというのに随分元気そうにしてるじゃねーか。ああ、俺のバカバカ、何であんな魅力的な女の子をフッちまったんだ……!」


 で、元彼がよりを戻そうと近付いたら真ヒーローのクールイケメンがやって来て、こう言うんでしょ。「こいつ、俺のだから」。

 きゃーっ! ……げほっ、あ、持病の発作が、ぜーはーぜーはー。


 うんうん、オッケー、ちゃんと分かってる。現場は未履修ですが少女漫画でちゃんと履修してるので、こういう要望もバッチ来いですよっと。


 えっとだから何を言いたいかというと、いつも通りのバレッタさんでありたいんだけど、いつも通り過ぎちゃあダメなわけ。そこはこう、元彼にさりげなーくこちらを意識させるくらいの“色付け”は必要なのね。

 でも変化あり過ぎも厳禁なの。それやっちゃうと彼は逆に「あれ? あいつ今日やけに張りきってね? もしかして俺のこと意識してるくさくね? 若しくは心機一転男漁りに来てね?」って気取られちゃうから。


 まあ実際のところ相手がどう思うかは当然相手次第なわけで、何を頑張ろうと向こうは何も考えてなかったりするパターンもあるだろうけどね。

 でも女子側としては、特に元彼と会うのに何を着てこうか悩んじゃうようなバレッタさんとしては、そういうところを抑えていきたいんだろうなーと思うわけです。


 じゃあまずバレッタさんの標準(スタンダード)を探るところから始めていこうか。


 金髪ツインテにトンボ(ばね)、昨日はカーキのモッズコートを着ていたバレッタさん。彼女はね、クール系、カジュアル系ってかんじ。

 ボーイッシュっていうほどでもないんだけど、めめこさんみたく分かりやすく女の子~っていうのとは違うっぽい。とはいえボトムスはスカートだったし、エーラインの衣服にタイツとブーツを合わせてくる辺り“女子”を捨ててもないんだよね。


 纏めると、かなり辛口よりなガーリィってところかなあ。髪型ツインテってところも合わせて考えると原宿系とか好きそう。


 まあリアルで着るファッションときまくら。ファッションは基本別物だろうけどね。私だってそうだし。

 でも結局ヒントはきまくら。ファッションから得るしかないので、この路線でいこうと思うよ。少なくとも嫌いではないでしょってことで。


 よし、イメージは大体掴めてきた。あとはここに“男ウケ”エッセンス、“俺の知ってるあいつと違う”エッセンスを加えるとして、私だったら彼女をどんなふうに着飾ろうか。

 そうねえ、性格としてもファッションとしても、彼女はちょっとキツそう、強そうなイメージあるから、そこをふんわり崩したいかな。

 肩の力を抜いた、落ち着いたかんじをだしていきたいかも。さりげなーくね。


 そんなときに打ってつけなのがこちら、じゃじゃーん、なーちゅーらーるーてーいーすーとー、なのです。いえす、ナチュラルテイスト。

 カジュアルにも合うし、女らしさもだせるし、気張ってなくて、やんわり辛さを抑えるのにとっても優秀な子。


 うん、決定。それじゃ、いつもよりちょっとナチュラルなバレッタさんで作ってみようっと。

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― 新着の感想 ―
[一言] > 現場は未履修ですが少女漫画でちゃんと履修してるので うっ(吐血) ビビアさん、その現実は読者の我らにめちゃくちゃ刺さるので止めてくださいオナシャス
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