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職業、仕立屋。淡々と、VRMMO実況。  作者: わだくちろ
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122日目 舞踏会(10)

 イケメン優男(やさお)風味の第三王子様は、まさかの共犯者でした。


「可愛い女の子の頼みだからね、僕に断ることなんてできないよ。でもキスの一つや二つ、ご褒美に欲しいな」


 しかもなんかクズっぽい! 大丈夫かこの国!

 そしてダメだよシエルちゃん! こんな男に引っかかってるようじゃ、シエルちゃん親衛特攻隊員の私の命が何個あっても足りないよ!


 けれどそんな心配も何のその、シエルちゃんは一枚も二枚も上手(うわて)だったようだ。彼女はにや、と口角を上げると、ニルアン王子を挑戦的に見据える。


「あら失礼ね。私が忠実な僕にすぐにお駄賃をあげないような、そんなケチンボに見えたのかしら。ご褒美ならとっくのとうに渡しているでしょう」

「どういうことだい?」

「だって私、あなたとテレジアとのことずっと、誰にも言わないであげてるのよ?」


 するとニルアン王子の余裕の笑みが、分かりやすく引きつった。


「オーベイビー、誰にその話を聞いたんだい?」

「内緒。それにしてもテレジアったら、さっきも様子が変だったわ。胡蝶の間で私と楽しくお喋りしていたのにね、突然さっと立ち上がって、『用事を思い出した』って、どこかへ行ってしまったの。こんな可愛いお友達を差し置いて、一体どこのどなたと逢引なさっていたのかしらねえ?」


 黙り込むニルアン王子。

 そうか、テレジアちゃんはあの時、彼と密会していたんだ。

 そしてテレジアサイドのササは、そのことを隠したがっていた。ニルアン王子の様子からしても、なんか、禁じられた恋なかんじ?


 やがてニルアン君はふうっと息を吐き、観念したように両手を挙げた。


「分かったよベイビー。僕は君のしていることを口外しないし、君も僕等のことを口外しないように。この件はこれで終わりにしよう」



【情報カード:ニルアン王子】

19:40から20:20までのひと時、テレジアはニルアン王子と密会していた。二人は恋仲のようだ。ニルアン王子には婚約者がいるし、テレジアは侯爵家の子息と交際関係にあったはず。大丈夫なのだろうか……?



 おおっ、なんか貰えた! そして想像以上になかなかな泥沼状態!

 きまくらゆーとぴあ。の人間模様、色々リアルで怖いよ……。


 でもこのカードを入手できたのは僥倖と言える。

 丁度ライバルの弱味が欲しいと思ってたところだもんね。こんなの、めっちゃ分かりやすく弱味じゃん。

 あとはこの情報をどう利用できるかなんだけど――――――と、考えていたところで、鈴の音の効果音が響いた。視界に文字が点滅する。



[ササ]さんから密談の申請が届いています。許可しますか?

・はい

・いいえ



 ぎょっとして背後を振り返ると、無機質な視線をこちらに送るダミーアバターの姿があった。ひ~っ、向こうのほうからやって来ちゃった!


 ブロックまでしていた相手だもの。私としてはやっぱり苦手意識がある。

 ……でも、シエルちゃんと私の勝利のためだものね。

 それに今、切り札を握っているのはこの私。優位に立っているのは私だ。


 よし、行こう。

 私は気を引き締め、『・はい』を押した。


 ササは近付いてくると、挨拶もなしに開口一番切り出す。


「ニルアン王子の情報カードを持っているか」


 うええっ、もうそのこと知られちゃってるの?


 いやでも、カードを取得したといっても、実際にそういう“カード”が具現化して手の中にあるわけではない。あれは共有公開や譲渡が可能な電子的なデータであって、アイテムとは違うっぽい。

 だから私が王子の情報カードを所有していることをササが言い当てたっていうのは多分、このカードの存在を最初から知っていて、当たりを付けていたってことなんだと思う。


 じゃあそのことは何を意味するか。

 答え、ササにとってこのカードはとっても重要。きっとね。


 私は弱気と見られないよう、背筋を伸ばし胸を張る。


「持ってますよ」

「譲ってほしい」




******




【きまくらゆーとぴあ。トークルーム(非公式)・ミステリーデートツアーの配信について語る部屋・話題無制限】



[universe202]

シエシャン第二調査フェーズでも接触不可か

敢えて協力できない仕組みになってるってことを考えると、やっぱ両黒が正解だなこりゃ


[賢者ビスマルクの息子]

真黒一人、片方はダミーで間違えたら失敗判定、って線も追っちゃうけどなあ


[モシャ]

いずれにせよ黒位置特定は割かし簡単なんよ

ただ狂人寄りが二人いるせいで、これ意外と確白勢力脆いかもしらん


[Peet]

トワのハンドアウト見逃した

誰か持ってたら貼ってほしス


[えび小町]

>【アントワーナのパートナー】

>

>

>あなたは容疑者である令嬢の一人、アントワーナ・アダメラのパートナーです。

>

>ミッション

>①アントワーナの容疑を晴らす

> 達成条件:投票フェーズでアントワーナを指名させないこと

>②起爆装置の作動を阻止する

> 達成条件:???

>

>ボーナスミッション

>①リルステンを犯人に仕立て上げる

> 達成条件:投票フェーズでリルステンを指名させること

>②美味しいものを沢山食べる

> 達成条件:[情報カード:レスティーナ王国三大珍味][情報カード:王族の舌]を入手すること

>③アダメラ家のPR活動をする

> 達成条件:舞踏会に参加しているすべての王族に話しかけること


[Peet]

thx!


[吉野さん&別府]

>>えび小町

降格させられてからというもの、哀愁漂うシュールなお嬢様になっちゃったよね…


[アラスカ]

ご馳走食い溜めしようとしてるとことかPR活動とか健気さを垣間見せつつ、しっかり性格悪いのが何とも…


[バーボン]

>>モシャ

狂人勢がどこまで自分のミッションにこだわるかがミソになってくる気がする

トワのリル擦り付けとか基本無理めなかんじあるから、早々に妥協しようって考えれば結構白有利なんじゃん?


[もも太郎]

マユが起爆装置発見した

これはデカい


[ハロー]

装置一点狙いでひと気のない場所攻めたのが功を奏したな

他のプレイヤー見てると大広間での聞き込みばっかしてて、城内の探索あんま進んでないもん


[つららE]

目指せハッピーエンド♪

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― 新着の感想 ―
人狼サイドの場合は、黒1~2、狂人1、狂人寄り1、村2 狂人と黒が共謀して3票固めればほぼ勝てる。 村サイドを黒2で分け合えば勝ち確定となる。 主人公の爆破物を発見させないは割と運ゲーでしかないので辛…
[気になる点] あれ?これは、「ササ君も共犯にならないか?」ですね!このカードで脅しつつ投票を固められるし、ゾエくんとの橋渡しwで相手方の票を割らせれば3票の勝ちだ〜!黒幕と狂人たちの勝利!
[良い点] 良い感じにマーダーミステリーしててワクワクする。 起爆装置を止める条件が伏せられてるのが気になるわ。
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