表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

マイペースな彼女は最強でした

作者: 千雫

「一ノ瀬!姫花に土下座しろ!」


「まったく、大人しそうな顔して裏ではえげつない事してるなんて信じられない」


「サイテーだな」


「み、みんなぁ…アタシ、怖かったぁ」


これはなんの茶番なの?

私の目の前には社長の息子である錦戸誠にその取り巻きである伊達和正、そして同期の佐藤大和が鬼のような顔をしていた

顔は良いのに、ラスボスかと思ったら実は中ボスでしたっていう感じの雰囲気(小物臭)がぷんぷんする…

その後ろにはふんわりとした髪にちょっと派手な格好の女性が瞳をうるうるさせて可愛らしいことをしている


「??…えっと…何を言ってるか分からないのですが」


「惚けるな!姫花の仕事を横取りし、周囲の者に悪い噂を流していた!昨日なんか階段から突き落としたそうじゃないか!!」


何を言っているのやら…せっかく社長が社員のためにパーティを開いてくれたのに…ローストビーフまだ5枚しか食べてない…

あ、申し遅れましたが、私はこの大手企業であるアルティメット社で働くうら若き乙女の一ノ瀬照葉いちのせてるはと申します

立場的にはまだまだ低いほうですが、そこそこ能力はあると自負しております


「誠、彼女がそんなことするわけないよ」


「いくら巽でもそいつは姫花に手を出した…それに、姫花は将来社長夫人となるんだぞ!それに害するなんて許される行為ではないだろ!」


いやまだ結婚するかも決まってないのに早すぎない!?

あ、巽は私の恋人兼幼馴染です…みんなには秘密ですけど

それより私、一つ気になることが…


「巽」


「どうしたんだい?」


「えっと…彼女、誰?」


「「「「は?」」」」


鳩が豆鉄砲どころかロケラン喰らったような顔してますが、私的には彼女が誰かをまず知らない


「彼女は五十嵐姫花さんだよ…一応君と同期なんだけど…」


苦笑いしながらも教えてくれた巽にお礼を言いながら、必死に記憶を辿る…

千枝ちゃん達がたしかビッチとか尻軽女とかお花畑とか…偽乳もたしかあったかな?


「思い出した?」


「(流石にこれは言ったら可哀想だし…)うーん…フワッと?」


ごめんなさい、私人の名前と顔覚えるの苦手なんで…名前と噂は知ってるけど、顔が一致しない…


「酷い!アタシのことを虐めたのも覚えてないなんて…誠ぉ…アタシ、アタシ…」


会場のど真ん中で茶番劇を繰り広げる彼等に周りは呆れた視線しかしてなかった


「誠、そもそもどうしてそういうことが発覚したんだい?そんなに大きなことなら会社中に伝わっているはずだよ…少なくとも僕達は知らないな(全員知らないと思うけど)」


「姫花が一週間前から教えてくれたんだ…そして昨日のことは今日の朝聞いた」


「昨日…それは何時頃?」


「ろ、六時半ですぅ…アタシ、本当に怖くて」


涙目で訴える姫花にバカ共はデレデレしながら慰めていたが、彼等以外全員呆れて溜息をついていた


「昨日なら照葉は無理だよ」


「は?なんでお前がそんなこと言えるんだ…ってオイ!お前、何食べているんだ!お前のことだぞ!?」


「もぐもぐ…んぐ!?(食べながら首を横に振る)」


いや、別に関係ないから良いかなって思って千枝ちゃん達からもらったローストビーフ食べてたのに…巽はなんか微笑ましいって感じが出てる


「それに証拠もないのに何故言い切れるの「それならわたくしが証明できますのよ」紅羽」


とても美人でこの会社の会長の孫娘である紅羽は濡れ烏のような長い髪をおろして真っ赤な唇が妖しく笑みを浮かべていた


「昨日はお爺様と私、そして照葉お姉様の三人で新しくできた我が社のホテルの会食でしたの…時間は貴女が証言した時間ですわ…嘘だとお疑いならば、監視カメラでもなんでも調べてみてください」


昨日の鹿肉も美味しかったなぁ…

私は事務能力等はそこそこできると思っているけど、食に関してだったら超一流!

食べ歩き人生舐めるなよ!

紅羽は新作の料理の感想を社員で書いたとき、私の感想が余りにも的確すぎて興味を持ったらしい…そして何度かそんなことが起き、遂に私は今の部署とは別の仕事もやってる

このことは上司も知ってるし、同じ部署の人たちも知ってる…むしろ笑われた(いい意味で)…解せぬ


「さてと、紅羽嬢から証言をもらった…そっちの証拠は何ですか?」


「…んでよ…なんでその子の肩を持つの!?」


姫花さんは鬼の形相で私に迫ってきましたが特に驚きはせず、むしろ私は彼女が隠し持っていたナイフに驚きました


「アンタを消せばアタシがヒロインよ!」


「あ、照葉はやめたほうが…」


「…せいや!!」


千枝ちゃんに皿を持ってもらい、彼女の腕を掴んで投げると彼女は受け身も取れず背中から床に叩きつけられた…まぁ、大丈夫でしょ…正当防衛、正当防衛


「あー…やめたほうが良いって言おうとしたのに…彼女、一応武術の達人なのに」


「な…あんなぽわんとした奴が達人!?」


「そうですわよ、普段ふわふわして可愛らしい方ですが、会食の時は私達のボディーガードもやってくださってるのですよ」


うふふと笑う紅羽にバカ達が腰を抜かしていると、照葉は千枝から皿を受け取りまた料理に手をつけた


「いくら貴方が社長の息子でも気をつけた方がよろしくてよ…彼女、皆のマスコット的存在ですので…それに酷いことしたなら、貴方の首が飛ぶかもしれなくてよ」


「それから照葉は僕の恋人でもあるから手を出したらどうなるか分かっているよね?」


サラッと暴露したが、周りはなんとなくそうだろうなと思っていたためあまり驚きはしなかった

巽の黒い笑みには流石に何人か視線を逸らしていたが…


「照葉、このムニエルなかなか美味しいわよ」


「もぐもぐ…美味しいけどちょっと胡椒がきつい…」


「照葉お姉様、今回の料理はどうでしたか?」


「…全体的に味が濃い目でそんなにたくさん食べれない…ローストビーフは美味しかった」


「あらあら、ローストビーフ以外はたしかあなた方が用意しましたわね」


ニッコリといい笑顔で誠を見る紅羽に誠は顔を真っ赤にして言い返そうとしたが、料理を見ると人数が多いにもかかわらず量は減っておらず、寧ろ飲み物の消費の方が早かった

周りの社員も照葉の言う通り、味が全体的に濃いめで尚且つこってりしたものが多かった為あまり食べていなかった


「今回の騒動はきっちりカメラで録画しておりますし、社員の方々も証人でいらっしゃいますからいつでもあなた方のことはお知らせできますのよ…精々首が飛ばないようお気をつけくださいませ」


素敵な笑顔で去っていった紅羽に社員達は悪役令嬢のようだと思ったとか…

そして同時にこんな空気の中食べ続ける照葉を勇者だと思ったとか

勿論このことはバレ、責任として全員バラバラに飛ばされた

その後照葉が紅羽達の推薦で社長になった巽と結婚して社長夫人になるのはこの事件の三年後である

照葉

食べるの大好きで見た目もぽわんとしてるが武術の達人

覚えるのはできるが人の名前と顔が中々一致しない

巽のことは幼い頃からずっと好き

食べ歩きのし過ぎの結果料理の良し悪しが分かるようになった

みんなのマスコット的存在


照葉の彼氏

腹黒ハイスペックイケメンで紅羽の従兄

誠達(問題児)とは友人関係だが、無能や会社の害になるやつはいらないと思ってる

照葉のことはいつか首輪でもつけて部屋に閉じ込めて愛でようかと考えてるちょっと危ない人


紅羽

会長の孫娘で接待や新開発がメイン

新しくできたホテルのオーナーでもあり、かなりのやり手

照葉のことは姉のように慕っている

巽とは似た者同士な為、阿吽の呼吸の如く敵に容赦なく攻撃する…混ぜるな危険!


問題児

社長の息子や取り巻き達で、顔とスペックは良い方だが、コロっと落ちてアホになった

後に他の場所に飛ばされた残念な人達

そこでめきめきと功績を築き出世するが、本部には戻らずそこで出会った女性と恋愛結婚して一般的な幸せを手に入れる


姫花

自分がヒロインと信じてやまない女性

乙女ゲームの世界ではないが、オタクである為乙女ゲームのやり過ぎと幼少の頃から周りにチヤホヤされていた為、乙女ゲームのヒロインと勘違いし現実との区別がつかなくなった

後に彼女は精神病棟に入るが、最後まで治ることなく何度か入退院を繰り返し、社会復帰不可能と診断された


千枝

照葉の友人であり同期

照葉の食への追求は知っている為美味しいものを紹介したりしている

武術の達人ということも知っている為、照葉が姫花を投げ飛ばしても驚きはしない

姫花が照葉のことを嫌っているのは知っており、尚且つ今日のことを事前に掴んでいた為、巽にそれとなく教えてあげた情報提供者

実は社内一の情報通

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ