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優しい魔王の疲れる日々(リメイク)  作者: n
優しい魔王の疲れる日々(リメイク)3
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第25話:魔王と芳賀三姉妹2

普通科の忍と敏腕秘書二人の活躍により、機械科の副会長である芳賀茶々の撃退に普通科は成功する。人数比で考えれば普通科が有利なはずなのだが……


 陽明学園、体育大会の歴史は40年前に遡る。

陽明学園創立当時から存在する体育大会という学園全体で行う行事は、40年の歴史の中で様々な科に栄光や名誉を齎した。

六科を生み出してきた陽明学園。最古から存在する普通科は、一度も体育大会を制した事がない。

陽明学園の歴史の中では普通科、魔法科に次いで古いのが機械科である。陽明の各科の設備や校舎の修理をする時もある。

40年も存在する陽明学園の体育大会の歴史から、世界各国で活躍するエリートが生まれている。それ自体が鮮烈なデビューと言われれば、それはまた別だが、少なくともまず、学園内で名を上げるなら体育大会での活躍が早いだろう。

魔女がいれば、博士も存在し、学者や医者も多数輩出している。その中でも体育大会の歴史の38年間、近年まで陽明学園最強の学科と称され、陽明学園最強と多数の生徒に言わしめたのが魔法科である。どの科も2年前までは、確変や圧倒的才能を持つ生徒、ひいては神がかり的な采配を持つ生徒が居なければ、どの科も魔法科に遠く及びもしなかった。だが、ここ二年では、創立からたった2年ばかりの魔王科が頂点に君臨している。

唯一、その短い様で長い体育大会の歴史の40年間、普通科のみ体育大会優勝が皆無である。二年前まで最強と呼ばれていた魔法科の優勝は40年中32回、銃器科は2回、魔王科が2回、機械科が3回、科学科が1回。

魔王科誕生までの体育大会で魔法科以外の科が優勝するのは何らかの原因やそれ相応に値する戦力が確かに存在したのである。

 例を挙げると、銃器科の優勝通算2回の要因は、現在世界で活躍している世界が誇る鉄砲技師にして最強の傭兵、陽明学園銃器科中退の雑賀(さいか)新昌(あらまさ)の存在があったからである

彼が陽明学園に居た3年間の内に成し遂げた銃器科の優勝記録。しかし今、雑賀新昌はこの陽明学園には居ない。

 彼は1年次、2年次の時。銃器科に存在する最高位のサークル雑賀衆という、学生でありながら、傭兵として雇われる為に所属する生徒が参加するサークルである。

 傭兵だけでなく、戦場への参加や難民の救助活動なども行うサークルで陽明学園の銃器科と言えば、雑賀衆と口を揃えて発言されるレベルだ。

 彼の3年次に魔王科が発足し、新昌が率いる雑賀衆を魔王科創立時から生徒会長を務めた望月結によって打ち破られ、3連覇の願い空しく、彼は卒業した。

彼は今、世界の戦場で活躍している。陽明学園を卒業するとともに、世界の戦場を練り歩く旅に出た。

時折、銃器科新聞部が刊行している銃器科新聞に彼の様子が戦場カメラマンによって収められている事がある。魔法科最強と呼ばれた長き時代の中で魔王科が創立しなければ体育大会3連覇の悲願を手中に収めていた新昌は銃器科最高にして最強の指揮官兼射撃の達人と呼べる。

一方で士気を高める事と、射撃を得意としていた彼だったが、そういった指揮系統と射撃の腕は確かなのだが、銃や弾丸を製造する腕はからっきしと言った男だ。

更に、銃器科だけでなく、普通科以外には30年の歴史の中で少なからず一人は英雄視される様な生徒が存在する。

科学科の一度きりの優勝は、圧倒的な指揮系統が居た。という訳でもなく、まさにワンマンチームと言った形で優勝した時の記録だけである。

加添(かぞえ)(まき)()という生徒の異能が科学科至上最強と呼ばれる物で、それが最高学年になると同時に覚醒し、本領を発揮した故に科学科は優勝できたという。

機械科が過去に3年連続体育大会を優勝した理由は、銃器科の様な黄金期の存在である。新昌の様に機械科が黄金期を迎えた時代には沙耶の母親である金城(かねしろ)九重(ここのえ)

機械科と陽明学園の記録にしか彼女の情報は記載されておらず、現在の所在などは秘密裏にされている。

勿論、それは彼女の愛娘であるはずの沙耶にさえも、年齢は44歳。鋳鶴の母、雅の同級生であり、ジャンヌの友でもあった。彼女が陽明学園にいた3年間、機械科は負け知らず。当時、彼女は雅とジャンヌの不参加が優勝の要因と謳っていたが、機械科の記録には、九重が会長であった時代が、最強軍団とも言われ、技術力もともに日本どころか世界最強の機械科と謳われていた。しかし彼女が陽明学園を卒業してからは、機械科も人材不足という訳ではないが比較的衰えた。

と言われ、現在は普通科とほぼ同じ、受験者人数な上。発明のレベルも九重が居た黄金期に比べると革新的なものがないと言われてしまう程である。世界的に見ても中堅程の技術力で可もなく不可もなし、と言った具合だ。

しかし、三年前機械科に希望が現れた。理由は単純明快、金城九重の娘である金城沙耶が機械科に入学したからである。沙耶が率いる機械科は、彼女が来てから、体育大会への取り組みが積極的になった。

だが、現実は厳しいもので、沙耶が率いる機械科は、泣かず飛ばずの2年連続3位。

九重が機械科を率いていた時代よりは、魔法科を一瞬でも超える様な地盤さえあれば、魔法科を退けて優勝する事は不可能ではなかった。

沙耶が生徒会長に就任した今年こそ、彼女が育てたと言っても過言ではない芳賀三姉妹が揃った今年こそ。と彼女は常に頭に思い浮かべながら、呪文の様にそれを唱えている。

彼女が会長になり陽明学園高等部、最後の在学年になる今年に全てをかけた。

そして彼女は、芳賀三姉妹とは別に、機械科の革新的傑作である最高傑作を作り上げる。母である九重が作り出したマザーシステムの力を用いて。






「ったく!あたしたちはいんのかよ!」

「全くだ。なんで好き好んで詠歌と一緒に会長を警護しなくちゃならねぇんだよ」

「えー、私は楽しいから全然いいんだけどなー」

「お前はな?俺は嫌だ」

 麗花、桧人、詠歌の3人が会長から少し距離を取った所で雑談をしていた。

 そこに混ざりたい。という気持ちを押し殺しながら、一平は舞台上等で床に貼られるテープの印、通称バミリを涼子に貼られ、無表情で「そこから一歩も、とは言いませんが5メートル以上は離れないでくださいね。緊急時や近衛の御三方を救援するためとかは別ですがね」と真顔で言われ、一平はその言いつけを守り、じっとバミリの上から一歩も足を出すことすらしなかった。

「会長!バミリから離れないでくださいよー」

「会長がやられちまったら俺たちの負けだからな!絶対に動くなよ!」

「そうだぞ。あんたが一番弱いって副会長も言ってんだし、勝手な行動されると困るってのも習ってる」

 3人は一平を他所に三角形の様に陣を組み会話を続けている。

「初、作戦開始するよ!」

 初が普通科の本陣、会長の一平と3人の護衛の陣地に侵入する。初は全身を光学迷彩でカモフラージュし、涼子と影太が各通路に仕掛けた爆発物はサーモグラフィー機能などを搭載していなかった為にそのまま初の通過を許していた。

 現在、茶々と江、マザーシステムが戦闘中で沙耶は本陣で全員の作戦進行度合いを本陣中央に出現させたモニターで確認しながら、出陣の時まで待機している。

「さてさて、どうしたものですか。普通科の皆さん、敵が目の前に居るのにこうも簡単に潜入出来てしまっては、光学迷彩様々というものだよ。まずは……!」

 彼女の腰部のクリップに付けられた小型の箱は光学迷彩発生器になっており、機械科特製である上、技術の結晶とも呼べるものだろう。

 隠蔽するのは初だけでなく、彼女自身が手に取っている槌でさえも風景と同化し、透明になる。という代物だ。

 しかし、その隠蔽機能にも限界はある為、彼女が製作した特別製の槌を背に携え、対象に近寄り、その対象を背後から急襲するという作戦である。さらに掌と同等の大きさになる小銃も腰の光学迷彩機の隣に備え付けたホルスターに挿入されている。

まず、初は槌ではなく、小銃を手に取った

 勿論、彼女の小銃はサプレッサーで極力射出時の音が軽減されるもので、機械科陣営は沙耶以外の生徒がこういった小型且つ、音を抑制した銃を所持している。

「大丈夫。落ち着いて撃てばいけるよ……!」

 初は耳に掛ける様な形で極薄型のガラス面の様な眼鏡に近い物を装着している。そのガラス面にはそこに映り込んだ普通科の面々の体調などのデータを現す。

 中でも一番重要なのは星の位置。初は3人の星の位置を確認する。桧人と詠歌は左手首、麗花は腰部の狼を模したポシェットに星を括り付けていた。

「私が担当する場所で茶々姉が言ってた要注意人物は、会長さんだけかよ……。他の3人はサクッと片づけますよ!」

 初は小銃を構えてまずは桧人の左手首に照準を合わせる。星に当たらなかったとしても手首に弾丸が直撃すれば、星の負傷による強制送還の機能により、中央保健室に送還される。それを見越して、初は即座に2回引き金を引いた。

 狙いは桧人と詠歌。麗花と一平は後回しにし、二人を狙い、本陣の指揮と戦力の低下を狙う。

「だから詠歌、あんまり近づくな。二人で纏まってたら、二人とも纏めて敵にやられちまうかもしれねぇんだぞ?」

 桧人が詠歌を追い払おうと、左手を振るった途端、彼の左手首に付けていた星が何らかの衝撃を受け、破壊される。

「桧人!?えっ!?」

 星を破壊された桧人に歩み寄ろうと、一歩踏み出した詠歌も左手首の星が突如、甲高い金属音を立てて、破壊されてしまう。

桧人の腕を掴む前に彼は黄金の光に包まれて、その場から姿を消す。

「麗花!気を付けっ……!」

 詠歌も一緒に居た唯一の生き残りである麗花にそう告げて桧人と同様、光に包まれて消えて行った。

 瞬時に普通科本陣は見えざる侵入者によって緊張の糸が張る。

「荒神君!?」

「まだあたしが居るからそこから動くな!」

 一平はバミリの上に体育座りをしながら眼前の麗花の様子を眺めていた。生徒会長として彼女の助けに向かいたいのは山々だが、麗花のあまりの剣幕に一平はその場に座り込んだまま動かない。

「まずは、二人ですよ」

 初は光学迷彩を起動したまま、小銃をホルスターに仕舞い、背中に携えていた槌を両手に握り、麗花の背後から彼女のポシェット目掛けて鎌を近づける。

「誰か居るよな。あたしの後ろに」

 麗花は自慢の長髪が顔面にかかってしまう程素早く、初の居る背後に振り向く。

 目は合っていない。光学迷彩を起動している限り、何等かの特殊な探知能力でも無ければ、探知される事も無ければ、麗花が初の存在に気付く事はない。

 茶々は注意すべきは会長の一平と望月鋳鶴、城屋誠の3人だ。と言われている初にとってこれは想定外の出来事であり、彼女の事を分析していなかった事の焦りから、鎌を持つ腕が小刻みに震えている。

「何か感じるのかい?」

「あぁ、何か感じる。というか、あの二人も不意打ちでやられたみたいなもんだろ。それに何か火薬臭いしな」

 火薬の臭いを辿って麗花は初に歩み寄っていく、徐々に距離を詰め、手を伸ばす。

 此処で初は小銃に入っていた弾丸をリロードする形でそれを地面に落とし、光学迷彩の恩恵を受けられない様にその場で散乱させる。

 音を出しながら転がる薬莢を麗花は目で追う。

「何だ?」

「はっ!?荒神君!?後ろだっ!?」

 一平の叫び声に、麗花は弾丸から目を離し、背後に向かって拳を振り抜く、初は屈みながら槌を突き出し、麗花のポシェットに付けられていた星を槌の鋭利な棘の様になっている部位を用いて僅かな隙間を駆使し、そのまま振り下ろして破壊する。

 彼女の槌の底は刃の様に鋭く研磨された鎌の様に触れた物を切り裂く湾曲した刃になっている。

 拳は初の頭頂部擦れ擦れで止まり、彼女はあまりの緊張と恐怖から額に脂汗を浮かべながら麗花を打倒した事に安堵の表情を浮かべ、その場に座り込んだ。

「あ、危なかったよ……」

「クソっ!」

「相手の事は大体わかったよ?僕に任せてほしいな?」

「役立たずですまねぇ……。先に戻ってる……」

 麗花は鬼の形相で唇を噛み締めながら光に包まれて会場から強制送還された。普通科の本陣に残るは2人。

一平と初のみである。

「あとは会長だけ、こっから勝負よ!」

 初は麗花によって与えられた恐怖を即座に払拭し、鎌を背中に戻し、弾丸を取り出した小銃をリロードする。

 射撃時ならまだしも、初の小銃はリロードの音さえ軽減するタイプのもので、一平が如何に話さずともリロードの機械音が周囲に反響する事はほぼ0に近い。

「まぁねぇ?バミリが此処にあるってことは?雛罌粟が僕の事を気遣ってか?または、相手の攻撃方法の大体を予測して此処にバミリを付けたと思うんだよね?」

 一平はバミリの上で立ち尽くしたまま、その場から微動だにしない。初は一平がどういった方法で自分を探知するのか、また、先程の様に味方に対処させようとするまでに至ったのか、模索する前に小銃を構え、6発の弾丸を連射で射出する。

 6発の弾丸は一平に向けて一直線に飛んでいき、光学迷彩の有効範囲などの関係で数秒後に一平の前に姿を現す。

「そりゃそうだよね?そこまで視力が良いわけじゃないけど?随分素晴らしい技術力の結晶で作り上げた銃を使ってるみたいだね?」

 本来なら、ここで6発の弾丸が一平を襲う筈だった。

しかし、初の放った6発の弾丸の全てが、彼の目の前で見えない壁に遮られ、そこに減り込み弾痕を残している。

「そう?僕の目の前には見えない盾が存在してるってね?」

 涼子が設置していたのか、殆ど透明に近い板が一平の前に現れる。それも一面ではなく、ピンポイントで一平に向けた放たれた弾丸から彼の身を守っていた。

「嘘っ……!」

 一平は完全に初の方向に向けて右腕人差し指を刺し、左腕を高らかに振り上げ、謎のポーズを決めた。

「君の動きぐらい?普通に見えてるんだよね?」

「何を馬鹿な事を……」

 一平は依然、初を指さし、笑顔を見せている。彼女は光学迷彩を信じて素早く、左右に移動して見せた。一平は腹を抱えながら、笑い声を出さない様に堪えている。

 その間も彼は彼女の動きをなぞる様に指を動かしていく。

「どうして……」

「それが普通だからさ?それでも何とかなるなら?君は僕に耳を貸さない方がいいよ?まぁ?もう遅いけどさ?」

 一平の言う通り、思い通りに事が進んでいた。

 初の光学迷彩は直接的に破壊された訳ではなく、整備不良という状態で起動不可能の状態に陥っている。

 彼女と機械科に一切の非は無い。

 彼女らは懸命に今日という運命の日に向けて、整備を怠った事は無かった。それこそ、体育大会を優勝するつもりでいた彼女らに慢心はなく、最高品質の機械科自主製作の製品で勝負している。

「でもどうして私の隠れている位置が分かったんだ!」

「いや?分かってなかったよ?ただ?そこに居るかなぁって普通に思っただけさ?だから?そこを指さしただけだよ?」

「そんな理屈が通るわけがない!」

「通るさ?それは僕だからだけどね?」

 一平の発言に両肩を震わせながら怒りを露わにする初は、躊躇う事無く、彼に向かって小銃を連射し、更に背負っていた槌を小銃のリロードついでに投擲する。

 彼は口も開かず、まるで弾丸の軌道が何処に飛ぶのか見えているかの様に、6発とも回避した。槌も口や頭が体に到達する前に、それを足蹴にして一平は回避する。

「流石、生徒会長と言ったところね」

「流石?いいや?当然だよ?」

 何処に隠し持っていたのか、一平の両手にはナイフが数本握られていた。一斉にそれを初に向けて投擲し、彼女の対応を待つ。

 一方、初は投擲されたナイフを前に槌の柄を両手で取り、投擲されるナイフに向け平行になる様に構え、扇風機の様に回転させる。

 彼が投擲したナイフは6本、初が撃った弾丸の数と同じ、だが彼女の放った弾丸との決定的な違いがあり、それらは全て彼女の正面を狙ったものであり、何の工夫もない。ただの真っ直ぐに投擲されたナイフだった。

 全て撃ち落とした初だったが、一本だけ、彼女の迷彩服を掠めて地面に落ち、甲高い音を奏でている。

「舐めているの?」

「いや?舐めるだなんてそんな卑猥な事は、今しないよ?」

「そういうことじゃない!私を舐めるなっていうのは……!」

「全力で相手すればいいのかい?僕が?機械科の君に?」

 いつの間に。という初の胸中を他所に、一平は音もなく、彼女の背後に立ちはだかっていた。時に何もすることなく、触れることもなく、ナイフを突き立てるわけでもなく、ただ悠然と、飄々とした態度で彼女の背後を取っている。

 初は背筋が凍る。という感覚を17年目の人生で初めて味わう。今まで姉と妹に囲まれ、才能という差など、見せられる事もなく、順風満帆に過ごしてきた人生の中で初めて背筋が凍る。という出来事を体験した彼女は一瞬の隙を一平に見せてしまう。

「大変だね?」

「何が!」

「背負うっていうのはとても大変なものだよ?それは、どんな立場の人間だってそうさ?背負うっていうのは?責任を伴う?という事だよ?あんまり脅すような感じで言いたくないんだけどね?金城君なら分かるけど?君が僕に勝てる道理なんてほんのちょっともありはしないんだ?普通にとかではなく?それはもう生徒会長と一般的な科の生徒の違いになるんだけどね?」

 初は、一平からただならぬ圧力を感じた。

 そう、まるでそれは沙耶ではなく、刈愛を前にした時に発せられる威圧感と酷似したものである。

 いつも飄々としていてヘラヘラ笑っているだけの男と言われていた割にはその情報が全く持って合わない事に初は恐怖していた。

「だからなんなの!」

「だから?言ってるじゃあないか?君が僕に勝てる可能性なんて?万が一にもないんだよ?それでも僕と戦うなら別だと思うけど?」

「機械科を……、芳賀三姉妹を舐めるな!」

「舐めてないよ?ただ、教えてあげているだけさ?あまり冷たくしすぎると反感を買いそうだけど?僕はそれが事実だと思うんだよね?結果はもうさっき出たよね?僕のナイフは君の服を掠めた?君の弾丸は僕を捉えることはなかった?たったそれだけの差かと君は思うかもしれないけど?それが僕と君の差なんだよ?」

 一平は余裕綽々と言った態度で、初に背を向け手を広げて体育大会を会場に放映するカメラに向かって話し始める。

「僕は全ての科に勝利するつもりでいるよ!?このメンバーで虐げられてきた普通科の歴史とさよならする時が来たんだ!?さぁ、皆武器を取れ?普通であるという事こそが?誇りであり?喜びであり?人生で重きを置くものだと!?」

 一平の演説は会場で彼らに声援を送る生徒たちの心を刺激する。

 彼の演説に普通科の誰もが立ち上がり、声を上げ、拳を振り上げ、機械科を圧倒せんばかりに叫び始めた。

「皆の声は僕の耳に入っているよ?」

 初は演説を続ける一平に痺れを切らして槌の頭で彼の頭を殴打せんと頭上に向けて振り下ろす。

 一平はその一撃を回避せずに、上体を反らし、槌の柄を掴んで目と鼻の先まで到達した槌を右手で止めた。

「背負っているものが違うだと……?そこに変わりはない!私たちだって機械科の為に戦っているんだ!沙耶会長の為に、私たち三姉妹が揃う今年が一番優勝のチャンスがあるんだ!だから負けられない!」

「そんなことは百も承知だよ?僕だって君たちに借りは返したかったよ?でもこれは、話が違うよね?体育大会で君らに負ける事が、借りを返す事って言うのは違う?むしろ?恩を仇で返すような形をしないといけないんだよね?」

「だから何だ!これは闘いだ!体育大会という名の戦いなんだ!」

 初は背後に立つ一平に向けて槌を振り回す。ハンマー投げと同様、腰と膝に力を入れ、全力で遠心力を利用し、槌を彼の腹部に向けて叩き込む。

 しかし、彼女が放つ一撃の先に一平の存在はない。

 初は槌の遠心力で身を投げ出されそうになりながらも槌を離さず、体勢を崩しながらも柄を握り直す。

「なら?僕だって容赦しないよ?」

 初の動きを明確に読んでいた一平は、自身の能力を使用し、彼女の背後に再び回っていた。二度同じ手は喰わないといわんばかりに初は一度だけでなく、さらにもう一回し一平に向けて放つ。

「もう一度来ることは読めていた!だからこそ!もう一周、私は回転した!喰らえ!」

「良いね?アイデアとしては?すごくいいね?でもまだ青いよ?それに甘いね?非常に甘い?甘さで言うと……?そうだね?ラグドゥネームっていう物質より甘いよ?砂糖の何万倍もする物質なんだって知ってた?」

「やかましい!貴方の豆情報なんて必要ない!」

「あ、そういえば?君に聞くのを忘れてたんだけどね?君は芳賀三姉妹の内でいう誰なんだい?」

 一平の煽り、それが初の心から恐怖を取り除き、瞬時に彼への憎悪という形で力に変換される。肩が震えていた彼女は、彼の煽りによって目の色を変え、まるで獲物を追う狩人の様な目つきに変貌した。

「そう?それでいいんだよ?相手をただ、倒すだけなんだから?僕という障害は取り除かねばならない?と考えるべきだよね?躊躇う必要なんて?僕に怯える必要なんてないんだ?ただ、僕を殺す?勝利する?倒す?どれでもいいんだ?君はただ、目の前の敵を倒すことだけを考えればいいんだよ?」

 再び、何処から取り出したのか、一平は彼女の槌を両手に握っていたナイフを交差させ、柄を中心に槌の勢いを止める。

槌の柄は鉄製ではなく、一平のナイフとサイズ差はあるにしろ鍔迫り合いにより、柄が削られた。彼のナイフも上等な物ではない故か、ナイフの先端が槌の柄によって割られてしまっている。

「私をコケにするな!私の名は芳賀初。貴方を倒して会長と茶々姉に栄光を!」

「君の悪いのはそういう所だよ?初めまして芳賀初さん?」

「黙れッ!」

 これ以上舐められるわけにはいかない。と思った初は衝動的に、芳賀三姉妹全員に支給されている沙耶の所持しているポシェットと同様の物を迷彩服ジャケットの内側から取り出す。

「行け!」

 初は取り出したポシェットの口を限界まで広げる。彼女の号令と共に数発のミサイルがそのポシェットから射出された。

 それを回避しようと、一平は着弾位置を読んで移動したものの。ミサイルは彼の行く先を予想し、着弾点を変えながら追跡していく。

「へぇ?追尾ミサイルね?でも残念だね?それも僕には普通に当たらないよ?」

 先ほどの感覚と同じ、初は瞬時にそう体感した。まるで当然と言わんばかりに目の前に佇む普通科の生徒会長は当然でない事をまるで当然かの様に成し遂げて見せる。

 普通科の人間であり、そこの生徒会長なのだから、普通である以外彼に取り柄はない。と初は考えている。が、彼女はこれまでの体感を信じ、目の前の男は普通の人間ではない。という事に気付く。

 何故なら、真正面に居る飄々と動き、微笑む男は自分を普通と宣うだけの変人なのだから、初の中で彼の能力はまだ理解できない。が、常人に出来ない事を可能にする類のものだろう。と推測した。

「どういう能力なの」

「どういう?僕は何もしてないよ?」

 放たれたミサイルは全て一平の直撃する寸前で軌道を変え、そのすべてが地面に着弾し、その周囲を吹き飛ばす。

 しかし、一平の身には火傷一つ、制服に焦げ一つ確認できない。

「僕には効かないだけだよ?それに、君もミサイルも何も悪くない?悪いのは僕さ?僕がそれを捻じ曲げているんだからね?」

「嘘をつくな!お前は普通科の生徒会長だと言うのなら!異能なんて持っている方がおかしい!」

「確かに?」

「それに、お前がそれを捻じ曲げているとしてもそれなら、どうして普通科に居る。という話になる!それは、もう異能だ!」

「いいんじゃないかな?異能が使える普通科の生徒がいてもさ?だってこの学園って基本的に自由だしさ?異能があるから科学科とか?そういう感性はあまりすきじゃないかなぁ?」

「私の視野が狭いと……?」

「まぁそういう事だね?それにそのポシェットもまた使えるものと普通に考えちゃ駄目だよ?」

 一平の攻略法は恐らく彼の話を聞かない。という事にある。と初は考える。しかし、ポシェットを手に取って確認する。

「私にポシェットの確認なんてしても無駄!風間一平、お前の声を気にしなければ、その効力は薄れる処か、無に等しい!」

「すごいね?とてもすごいよ?でもそこまで言ってしまってたらさ?むしろ滅茶苦茶意識してる事になるんじゃない?」

 ポシェットに何か起きている筈がない。

 そう考えれば考えてる程、初は彼の術中にはまり、底なしの沼に足を奪われた者の様に後は沈むだけである。

 意識してしまえば、その能力を有効にさせてしまうのも同意義。

 彼の能力の様な魔術や異能の類は全く耳にした事がない。と言っていいほど、初にとってそれは異常で異様なものだった。

 そして気付く、彼女が握っているポシェットが潰れ、中身の綿が出てしまっている事に、彼女らが使うポシェットは持ち運びの出来る倉庫の様な物だ。先ほど、初が取り出したミサイルは、機械科倉庫の中に収納されていた代物だろう。

 ポシェットを経由してこの競技場に出現させて一平を急襲した。が、そのミサイルは全て彼の能力によって撃ち落とされ、今この瞬間、ポシェットは機能を失っている。

「だから言ったんだよ?耳を貸しちゃいけないよ?ってさ?」

「ポシェットまで……!」

「君の大切な物だったのなら、今度お詫びするよ?」

「黙れ!お前なんかに同情されてたまるものか!」

 初は槌を握り締め、一平に向ける。彼女の瞳に映る炎は憎悪という次元ではない。溢れ出る殺意を抑える事が出来ない。

 ポシェットを贈与されるのは、機械科の生徒の誇りであり、何よりも大きな勲章である。初は三姉妹の中で最も結果を出した時期が遅いコンプレックスを抱えていた。

 妹の江は中等部の頃から、姉の茶々が結果を残しているのは、機械科高等部入学前からである。初は一年次から磨き続けて来た成果が今年の入学式に漸く芽が出た。

 初が主に手掛けた機械科の発明は兵器の製作。

その中でも小型のロボットやその部品の作製である。日本の各社企業が彼女との成約を結びそれが今年度になってから形になった。そして今年度から沙耶から伝統のポシェットを授かり、機械科での立場を得た。

彼女にとってそのポシェットは勲章であり、誇り、大企業からの労いよりも金城沙耶という一人の人間に認められた。という事実が彼女にとって何よりの思い出であり、記憶に焼き付いている。

それを少なくとも破壊されたとなっては、殺意が芽生えるのも納得のいく理由だろう。姉の茶々だけでなく、三姉妹は誰しも会長の沙耶を神格化している。

勿論、彼女たちだけではない。機械科は沙耶を基盤として成り立ち、誰もがそのポシェットの贈与を目指して活動している。

「おめでとうであります。初はずっと頑張ってたでありますからな!茶々や江と比較されて嫌な思いもしたでありますが、本当によく頑張ったであります」

 初は今でも覚えている。自分より背の低い沙耶が、わざわざ初の身長に合わせるために作った土台に立ちながら、頭を撫でてもらったという記憶を。

 母よりも姉よりもポシェットを貰ったと同時に沙耶が初に行ったその頭撫を今でも鮮明に覚えている。

 完全に破壊された訳ではない。一時期の整備不良だったとしても一平が引き起こした事には変わりない。

「何故、何故お前なんかが!会長と同じ立場なんだ!あの人とお前が科は違ってもその立場なのが納得いかない!」

「そりゃあ、誰だってそう思うさ?僕も思ってるよ?君らの生徒会長と同じ立場だなんてもったいないし?何より申し訳ないなぁってさ?でも僕は最強じゃなくていいんだ?僕が最強!?っていう科だったら?それは僕という普通の人間がその科でいう限界だろう?でも僕は普通の人間だからこそこの科は強いんだよね?」


「城屋誠……。望月鋳鶴」

「そう?あの二人だけじゃないよ?皆強くて、皆何かが出来る?それがうちだよ?むしろ?最弱は僕かもしれないしね?」

「どうして、どうしてそこまで自分を卑下できるの」

「だってその通りじゃない?僕の能力なんて限られた用途しかない様なものだしね?あと?デメリットも大きいものなんだ?」

「貴方は会長とは違う」

「そうだね?」

「でもどうしてだろう。思いたくないけれど、私は貴方に絶対勝てない気がする」

「大丈夫さ?僕は不確定な事を普通と嘯いたりは出来ないからね?僕に限界はないけどね?君たちよりは出来る事は少ないよ?僕に出来るのは、彼らがやりたくない?って思う様な事を肩代わりしてあげるぐらいさ?」

 敵の態度は依然として変わらない。

 普通科が体育大会であれほどの人数を集める事など、奇跡に等しい出来事だと、初は思っていた。

 弱く、他の科に比べ異能どころか、特徴すらないと思っていた彼らは、一平のいう事を聞いているとその考え方も覆されてしまう。

 彼女が尊敬する機械科生徒会長も謙虚な姿勢だが、彼ほど謙虚というよりも最早会長としての信頼を自分から欠落させてしまいそうな程の謙虚さを持ち合わせてはいない。

 ただ、戦意はある筈、ポシェットを破壊されてはいないにしろ。整備不良を起こされたのは事実であり、怒りも存在している。

しかし、その感情が少なくとも薄れているのが、初も理解していた。

 怒りを剥き出しにした所でこの男には勝てない。感情を悟られれば悟られる程、深みにはまり、あの男の思うつぼなのだから、初は槌を手に取り、一度目を瞑った。

「心を無にする。それが貴方に勝つ一番の近道ってことね」

「えぇ!?そりゃそうかもしれないけど!?でも意外とこういう時に心を無にするって滅茶苦茶難しいもんだよ!?」

 相手にヒントを与え、自分が追い込まれる様に仕向ける。それが普通科会長のやり方か。と初は考えた。

 心は読んでいない。

 頭の中も見る事は出来ないだろう。

 ましてや本人の言う通り、圧倒的に有り得ない現象や本人の許容範囲外の事ならば、彼を打ち倒す事も可能だ。

 初は目を瞑ったまま、深呼吸をした。

 今回の大会への意気込み、沙耶の事、茶々の事、江の事、機械科の事。全ての者たちの期待を裏切らない様に、ではない。機械科の名誉の為に、初は目を開ける。

「自分の為に戦わないと?僕みたいなのには勝てないよ?」

「えぇ、そんな事は分かってる。だから、私は私のこれからの為に戦う。私のための一瞬。三人で闘う最初で最後の体育大会なんだから、悔いなくやりたい」

 最初に向かい合った時の彼女とは明らかに意識が違う。一平は嬉々とすると共に若干の後悔の念を抱いた。

 眠れる獅子を起こしてしまったとでも言えばいいのだろう。しかし、それはまた来年の事。一平は今年で自分は卒業だ。という無責任な事を考えながら、彼女の攻撃に備えるべく、構えをとった。

「ダイシンの扇風機みたいにしてやる……!」

「槌で僕の体に穴でも空けるの!?」

 無表情のまま、彼の発言に耳を貸さず、極力相手の目を見る事なく、初は一平に接近し槌を振るいながら、槌の切先を交互に向ける。

「くっ……、流石の僕も無口、無表情で来られたら対処方法が限られるなぁ……?」

 一平の身体能力にも限界がある。初の攻撃を回避しながら、辛うじて反撃のナイフを投擲するも彼女はそれを丁寧にこそぎ落とし、回避せずとも自身には直撃しないであろうナイフは僅かに身を反らすだけで服を掠めている程度に収まっている。

「なら、仕方ないね?非難轟々は承知の上であれをやるしかないかな?」

 一平は生徒会長の腕章を取り外し、部屋の隅まで投げ飛ばした。

 初の攻撃を回避しきって彼女の背後に移動すると、一平は彼女の両腕を掴み、背中を向けさせて拘束する。

「くっ!?流石の暴れ馬だね!?僕じゃあ吹き飛ばされてしまいそうだっ!?」

 槌を振る彼女の手は、一平目線ではとても華奢でか細い腕だった。が、彼は彼女の腕を取って気付いた。その腕は華奢でか細くはあるが、まるで中まで筋肉で出来ているかと錯覚する様な程、筋肉質で重厚感に満ち溢れている。

 肉体という実力では、到底勝てない。

 そう考えた一平は脳裏に浮かんだ作戦を実行せんと口を開く。

「えぇい!?ままよっ!?」

「離してください……!」

「気付かない?」

「私は……もう貴方に耳を貸さない!」

「まぁまぁ?そう言わないでさ?」

「うるさい!」

 初は一平の拘束を無理矢理剥がし、背負い投げで彼を宙に放った。彼は空中で体勢を立て直し、初の追撃に備える。

 彼女は、一平の着地に合わせて槌を叩き込もうと、足の筋肉が隆起する程の脚力で彼の元へ一目散に駆け抜けた。

 駆け抜ける途中で初は槌を振り上げて地に足を着ける前の一平を宙で捉えようと、彼の着地点2メートル前で止まる。

「かなりマズいね?本当に本当にマズいよ?誰かに助けを軽く求めたいくらいにはマズいね?」

 ただ、風間一平という男は此処でも極力冷静で居る。この体育大会で生徒会長が敗れる事は、その科の敗北を現す。決して優秀な人間を集めて侍らせた所で生徒会長が虚弱なのであれば、そこを突かれ、科という纏まりの石垣が崩れる。

 一平は顔を顰めながら考えた。

 此処で潔く、彼女の一撃を受けて勝利すれば、生徒会長としての格と人気は揺ぎ無いものになるだろう。ただし、それで許容範囲以上のダメージ受ければ普通科の敗北は必定である。

 故に一平は此処で覚悟を決めた。

 普通科の全女性陣と機械科陣から嫌悪される様な手を思いついていた彼は、それを披露する為に目を見開く。

「あのさ!?芳賀初さん!?」

「……………」

 初は一平の言葉を無視し、彼の落下を待ちわびている様子だ。

 彼女の表情は嬉々としているのにも関わらず、無表情で彼を待つあたり、何処か狂気を感じるのは言わずもがなである。

「一つ大切な事を忘れてるよね!?」

「……………」

「何故君が?服に攻撃を受けてもその服が破れずに居たのか?どうして服が破れないのか?それっておかしくないかい?裾とかもう僕のナイフでビリビリになってるしさ?だからおかしいんだよね?君の服が破れてないって言うのがさ?普通じゃないよね?」

「はぁ?何言って……はっ!?」

 初は彼の突拍子もない発言に反応してしまい、彼の方向に目を向けてしまう。

 同時に一平へ視線を向けると、彼女の服は上半身からゆっくりと、玉ねぎの皮を剥かれる様にバラバラになっていく。

 彼女の迷彩服は宙に舞って徐々に消え去って良き、虚空のみが二人の視野に広がる。

 初はポシェットと槌と小銃を残して他には何も纏っていない。

 二人は数秒間見つめ合った後、事の次第を理解した初は赤面しながらその場に屈んで一平はそんな彼女には自身の制服を覆い被せる様に羽織らせた。

 会場の男性陣からは歓喜の指笛と歓声鳴り響き、機械科と普通科の女性陣は親指を下に向けながら地獄に落ちろと言わんばかりに凄まじい剣幕をしている。

「降参しようか?」

「うるさい!最低!降参します!」

 初は赤面しながらそう叫び、自らの星を砕いた。一平は申し訳なさ半分、嬉しさ半分といった態度で、背後で腕を組み、他の様子を見ようと、本陣に備え付けられている戦況を閲覧する端末を起動した。

 一平が一人で佇む本陣の部屋は、他の小部屋や通路から響く、激しい戦闘による爆発音だけが空しく鳴り響いている。



一平の能力って難しいんですよね。強すぎる上に描写も大変で……今回はその部分を頑張ってみました!明日も投稿します!お楽しみに!

感想などあればおねがいします!

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