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優しい魔王の疲れる日々(リメイク)  作者: n
優しい魔王の疲れる日々(リメイク)1
2/42

プロローグ

あらすじの次がプロローグという投稿方法になってしまい、申し訳ございません。如何せん文字数の関係で……


 僕の背中には、刺青がある。

 色は黒く、まるで太陽を模してあるような大きな円とその縁から十二本の湾曲した三角形の伸びた模様が僕の背中には刻まれている。

 生まれつきの物でなく、どうやら物心ついた時にはもうその刺青は僕の体に刻まれていたらしい。

 原因は、僕が物心つくよりも前に、一人の女の子を死の危機から救出しようとした時に、その子に巻き込まれて僕も重傷を負い、僕だけがある種族の血を輸血して貰い、その血液に僕の体が適合。驚異的な回復力によって死の淵から救出されたというのだ。

 僕が今、こうして高校生としての人生を謳歌しているのは、その種族の血が密接に関係している。はずなのに、僕はその血の種族を愛せないでいる。

 僕だけではない。世界そのものが、それを否定し、それを嫌悪し、現在の人間とその種族の険悪な関係に至る。

 この世の何よりも、嫌悪され、憎まれ、疎まれ、害成す者は人類が殺戮許可など無しに殺害しても良し、とされる種族。

 それは、「魔族」と呼称され、あらゆる魔術を使役し、それを駆使し、人間といくつもの戦争、戦乱を繰り返してきた。

 僕は、その「魔族」に命を救われた。記憶は定かではないが、そう家族からは聞かされている。だから、僕はそんな命の恩人である「魔族」を嫌悪し、憎み、疎むことが出来ない。

 けれど、人間に被害を与える様な魔族であれば容赦は出来ないと常々思っている。

 僕の一族、望月家の家系はその魔族たちと最も会合し、凌ぎを削り、人類史上最も彼らと戦い続けている一族である。

 家紋は満月に、兎ではなく鶴が刻まれている。

 そのせいか、僕にとって月とは、兎がいるというものではなく、昔から月には鶴がいると僕は教えられてきた。

 望月家が魔族と凌ぎを削り合った記録は、まだ望月家はそれほど大きい家でもなく、アメリカ留学をしていた一部の人達によってその基盤が形成されたらしい。

望月家が世界にも一目置かれる存在になった要因は、アメリカ大陸に存在した一族、グリーンランド家から始まった。

アメリカ生まれ、アメリカ育ちの勇気ある青年、カイゼル・グリーンランドと、その青年の異母兄弟であり、魔王と化してしまったスレイ・カーバンとが争った第一次人魔大戦と呼ばれる戦争が勃発する。

僕の先祖である望月(もちづき)(さくら)は当時、アメリカに語学留学として訪れており、その留学先の学校で二人に出会い、カイゼルと愛を育んでいったらしい。

二人は仲睦まじく、お互いに愛し合っていたものの大戦によって二人の仲は切り裂かれ、桜はカイゼルの最期を見れぬまま、この戦争はカイゼルとスレイの相討ちという形で決着がついている。

カイゼルは死去したものの、カイゼルの妻となった桜の懸命な活動により、カイゼルの死後、グリーンランド家の塚が築かれ、彼の名は世界を救った英雄として世界の人々に認知されるようになった。

 そしてカイゼルの死から四十年、僕の祖父、望月(もちづき)三十郎(さんじゅうろう)が誕生する。

三十郎は望月桜の息子、望月十(じゅう)兵衛(べえ)の子で、現代では人類史上最強の剣士として名高い。

孫の僕からしても望月三十郎という男は偉大で、人類史上最強の剣士でありながら人類で初めて魔王と会合し、生存した男である。

祖父の扱う武器はどれも人間の域を超越しており、どんなに鈍らだろうと、鍛冶屋が投げだす刀剣などを全て神域に到達するものにしてみせる。

祖父は、魔術には秀でていないものの、それを剣術と唐沢(からさわ)椿(つばき)という契の巫女と呼称された僕の祖母が、魔術や加持祈祷で、祖父を献身的に支え続けた。それが功を奏してか、祖父は第二次人魔大戦。人類から選りすぐられた一流の戦士四人とスレイが残した魔族の神官と呼称される四体の魔族と戦ったのである。

 四人の戦士が二名、死去したものの世界は辛くも魔族を退け、世界には再び平和が訪れた。

 だが、再び訪れた平和も十年を越えてから、その歯車が大きく狂っていく。

 十年を越えたころから世界中で勃発したのは超能力者と呼ばれる魔術を使用できない代わりに魔力や才能、血筋に関係なく特殊な能力を使用出来る異能力者と呼ばれる者たちが中心に行っていたテロ活動である。

 魔法や魔具と呼ばれる物が進化していく時代の中で、突然、何の才能もない子どもがある日、魔力で生み出すのが主なはずの電気を身体から出現させたことから始まった。

 これを魔力や才能、血筋を意識している魔法使いたちのプライドを逆なでし、超能力者は世界から差別的扱いを受けるようになる。

 その結果、差別を廃止、立場を改善させようとした魔術を使役する魔術師たちと超能力を使役する超能力者たちの友好関係に亀裂が生じ、第三次人魔大戦が開戦となる。

 三次大戦では、四人の戦士たちの生き残り、僕の祖父。望月三十郎、椛島(かばしま)(ぎん)()の二人と、十三人の青年の男女、そして一匹の犬が、魔術師側の人間として世界を再び平定した。人類同士の争いだけではなく、魔族も参入する戦乱の時代になり、混沌とした時代が訪れる。人間だけならまだしも魔族の参戦という事もあり、この大戦は歴代大戦で最大の被害を人類側に及ぼした。十三人と一匹の戦士たちは三人を残し壊滅、そのうちの二人、ルーラーと呼ばれた男、藤谷(ふじたに)(きり)()とファイターと呼ばれた望月(もちづき)(みやび)

 その二人が僕の両親で今も世界を股に掛ける父と、医者の母である。

 そして僕は十六歳、今年で十七歳の高校二年生だ。今年も僕は陽明学園という学園の高等部文武に励むことになる。

 僕の刺青は何なのか、それを僕はこの一年で知ることになる。


続けて一話を投稿しています。そっから優しい魔王の疲れる日々のリメイクはスタートです。どうか、よろしくお願いします。

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