第8話:魔王と体育大会会長会議
すいません、所要で送って投稿遅れました。もうし訳ないです
夕日を眺めていると鋳鶴は昔のことを思い出す、まだ幼かった思い出の一日、自分がいつも下げている胸のロケットをおもむろに開けてみる。
昔から変わることなく色あせない写真、仲良しそうに笑顔を浮かべている歩と鋳鶴ともう一人の少女、懐かしい記憶だが記憶と言ってしまえばただそれだけのことそれを見ながら鋳鶴は悲しげにほほ笑むとそのまま帰路についた。
「「まだ……、帰っちゃダメ……。学園に……戻って……」」
「うわっ!なっ!何!?」
だが、ロケットを閉じて数秒、鋳鶴は何か幻聴の様な声を耳にする。
「学園に戻れ?でもうーん、戻ってみるだけ戻るかー」
鋳鶴はその幻聴を信じて学園に引き返す、幻聴と言うにはあまりに鮮明に聞こえた声を疑問に思いながら、鋳鶴は小走りで足を進めた。
「それで会議とは?何を話すのでありますか?新兵器の開発でありますか?それとももっと学園のセキュリティを向上させろとでも言うのでありますか?」
最初にこの会議への疑問を呈したのは沙耶だった。
「そういうことなら早く終わってくださる~?」
おっとりとした話し方で言う藍子にも少しだけ嫌味が含まれていた。その嫌味の様な質問も真摯に受け止めながら、結はプリントを両サイドに手渡し、六科の会長全員に行き渡らせる。
「まぁ今日はすぐに終わる予定だ。私も早く自室に戻りたいからな」
自室という言葉に違和感を覚えながらその場の6人はプリントを見た。
「虹野瀬ちゃん、彼氏はできたのかい?」
空気を読まずに一平は、隣に座っていた縒佳に話しかける。
若干、縒佳で不機嫌そうに溜息とつくと、一平をまるで養豚場に居る豚を眺める様な冷ややかな目で見た。
「あなたに話す義務はないと思うけれど?それにあなたみたいな間抜けに時間を割いている暇はないのよ。それにこうして話している時間でさえ無駄だと思っているわ。無駄な酸素と時間をとらせないで」
縒佳の冷たい言葉に一平は傷つくと全員が思っていたのだが、むしろ一平は笑顔になっている。
よっぽどのマゾヒストなのだろうか、その表情は縒佳と結以外の面々を引き攣らせるほどの身の毛がよだつ態度であった。
「今年の体育大会は、各科対抗の技術対抗戦にしようと私は考えている」
「各科対抗戦でありますか?」
沙耶が眼鏡をかけなおして疑問を返すと結は一度、首を縦に振ってその疑問に答えた。
「そうだ。各科対抗の戦いとでも言っておこう。技術といっても戦闘技術の大会だ。」
「ちょっと待ってください!それは普通科が不利なんじゃ?」
蛍がすかさず立ち上がる。
彼女自身、普通科をかばう意思はないのだが彼女の性格上、人には得意不得意の分野がある。自分たちには戦力がそれなりにはあるが、普通科には魔法技術や自分たちの様に特殊な技術を兼ね備えている人間は少ない。それを考慮しての蛍のここまでの行動、あまりの速さに会長の一平が抗議する前に彼女が講義を呈した。
そもそも抗議をする必要はなかったのが、この状況、一平には好都合である。
普通科だけの意見では通りにくい意見を銃器科の会長が意見を呈することによって、それを承認させる難易度を低下させられると一平は考えた。
「それもそうだが事実上、私の通っている学科は人数が一番少ない。ある意味、一番生徒数が多い普通科が一番有利なんじゃないか?それだけ人材も多ければ私や君たちの様に特殊な科でも普通科が勝利を収めることがあるかもしれないじゃないか」
「そうだね?僕は少なくとも勝つ気でいるよ?勿論、他の五科の皆に負けるつもりはないよ?」
「それでこそ風間一平だ。私には到底、その様な傲慢を胸張って言うことは出来ない」
一平の強気の発言に思わず笑みがこぼれる結、だが一平は見逃さない。
彼女が一平の意見に対して、彼女は一平自身が噛み付いてきたことを嬉々として受けいれたかのように舌なめずりをしたのだ。
それは、一瞬の出来事だったので他の会長たちは気付いていないが、一平だけは見逃すことはなかった。
何かを画策し、その方向に誘導しようとする女狐の様な視線。
一同は二人の会話を聞いていると、結がプリントを見る様に指示をする。プリントには体育大会のルールが書かれていた。
――――ルールブック――――
・人数は魔王科4人普通科10人以下まで可、他の科は五人までとすること、普通科は参加者があつまらなければ大会自体を辞退してもよい。
・大会形式はトーナメント戦の一回戦は抽選で選ばれた二科が戦う。続いて二回戦でシードされる学科の選定が行われる。そのシード権は、一回戦で最も相手の学科よりも戦力を開かせた科とする。
・勝利条件は敵対学科の大将の撃破、敵対学科の全滅、敵対学科の申告降参の三つである。大将は各科の会長が務め、指揮権は会長のものとする。
・核兵器、衛星兵器、禁忌魔法、超弩級帆船または戦艦の使用、危険性が極めて高い毒物、殺傷能力のある薬などの使用を禁止する。
・体育大会の内容は会場の様々なところに設置されているカメラから全校いたるところで大会経過が見える様に中継する。当日の学園内の映像機器はそれのみを放送するのみとする。
・会場は魔王科校舎付近に存在する旧校舎または中央保健室に隣接する中央陸上競技場のみとする。ただし、異常気象や破壊力の高い魔法や技術で会場が半壊または全壊したときは地下各議場を会場とする。
「ルールはこれぐらいだ。あと今回の体育大会には優勝賞品をつける」
全員が結に注目すると、結は曇りのない笑顔を見せた。
それと同時に立ち上がって近くにあったホワイトボードに備え付けられている水性ペンで字を書き始める。
「優勝賞品は、六科のどれかに絶対的な一つの願いを聞き入れるということでどうだろう。勿論、学園長が許容する範囲だがな。例えば、普通科が優勝したとして魔法科の虹野瀬を引き抜きたいと言えば引き抜ける。そういうことができる優勝賞品だ」
「まるで私が負けるみたいな言い草ね。魔法科の実力をご存知なくて?」
と言いながら、結を冷たい目で見つめる縒佳、結はその目の圧力に負けじと彼女を見つめた。
「そして戦いが終わるごとに相手の科の許可を必要とする約束を取り付けよう。例えば銃器科が機械科に勝つとしよう、そこで銃器科は新しい銃を作りたいと機械科に頼んでそれを受理されれば機械科と共同での銃の開発などが出来るということだ。」
会長たちは腕を組んで考える。
科の垣根を越えて協力する事は滅多にない貴重な好機ともいえるこのルール。会長たちは、それを飲まないわけにはいかなかった。
しかし、一平だけは疑問を隠せずにいる。
魔王科はすべてにおいてこの学園で優遇されている。
それこそ、他の科も嫉妬するレベルだ。普通科とたとえるなら月とスッポンと言ってしまえるほどの差があるだろう。
そんな魔王科の会長が提示した提案、どこの科の何が欲しいものがあるというのか、一平は考えた。
他の科の会長は勿論、自分たちで考えるのもなんではあるが、彼女は貰っても損はないものがあるのだろうと考える。
ただ、魔王科は学園長自ら直接指導をする授業があるほどに、学園長からの愛を受け優遇される。
他の科が出来ることは他の科にやらせて魔王科自体にはやらせないことはできるはずと、一平は考えた。
「優勝賞品は先に決めておくべきなのかい?」
一平が結に尋ねる。彼女は首を横に振った。ということは後で発表することでもよいということは決定した。
「しかしな。一平、宣言しておいて相手を挑発したり、牽制するという戦法もあるからな?」
「そういうことね?わかったよ?」
「ちょっと待ってほしいであります!」
沙耶が身を乗り出してルールに対して異議を申し立てる。
「ん?どうした金城」
「それって……学園長が許可さえすれば会長も引き抜けるってことでありますか?生徒会長が引き抜かれた場合、次にその科を率いるのは副会長になるのでありますか?それともまた新しい生徒会長を選出して決めるのでありますか?」
一斉に全員が結を見つめる。
含みのある表情を浮かべる結だが、その場の全員は暗黙の了解をしたような顔をしていた。
意見をしたくないわけではないが、反感は買いたくは無い。
魔王科というだけでまず敬遠したいところがあるのに目をつけられでもしたら尚のこと良いことではない。各科の会長がそう思う程に結には底知れぬ何かがある。が、この男だけは違った。
「そうだね?そういうことをするのであれば優勝賞品は面白いだろうね?」
「さすが一平、普通科の会長だけはあるな」
結の彼を嘲笑うような顔を見て一同は少しだけ不機嫌になった。終始不機嫌だった縒佳は尚の事不機嫌になっていた。
「それでは今日は解散、各自メンバー等を決めておくように、それでは諸君らの采配に、幸あらんことを」
各々が話を終わると同時に、魔法陣による瞬間移動を行使し、専用の乗り物を呼び出して部屋から出ていく、最後に一平と結だけが残っていた。
「どうした一平、戻らないのか?」
「まだ戻らないかな?それと聞きたいことがあるしね?」
一平は重い腰を上げて椅子から立ち上がった。
一平は結に近づくと、結を指さした。結はその指の先を見て、自分の背後を確認したが、そこには何もない、自分に向けられていることを確認する。
「もしかしてだよ?本当にもしかしてだよ?君は、僕や他の皆を引き抜こうとはしていないと思ったんだよね?」
「ほう。それで?」
「君は……なんでもできる。正直、魔王科の揃っている人材なら、他の科でもできることはしそうだからね?君が欲しい人間はズバリ?」
一平は指を大きく振り上げて一気に振り下ろす。
結は少しだけ妖しい笑みを浮かべる。それは何か、その笑いの正体を考えるとともに一平は自分の心の中で念じた。
望月結の攻撃は自分に当たらないのは普通。と
「望月……、望月鋳鶴君だよね?君が欲しがっているのは、彼だ。いや、彼しかいない。君の欲しいのは彼で間違いないんだ。君が欲しているのはそれしかない。むしろ、それ以外は、いらないんだろう?」
一平の発言とともに結がいつの間に出したか分からない木刀で一平を斬りつけようとした。だが、結の木刀は一平に触れるのを嫌がる様に目標を逸れて先ほどまで六科の会長たちが使っていた机に打ち付けられた。
予想はしていた。が、あまりの衝撃に一平は少しだけ物怖じしてしまう。会長と言っても一般人の一平には、結の一撃に殺気がこもっていたのに感づいたのだ。
しかし、会長として一応は対等の役職の人間として、普通科会長、風間一平は悲鳴の一つも上げなかった。
「やはり、お前が一番厄介だな。一平、先に処理しておく方が、私にとっても都合が良い。元より、お前という存在がなければ、私が鋳鶴と戦う可能性はなかったんだ。お前のせいで私は、愛弟と戦わねばならん」
「お褒めの言葉かな?感謝するよ?申し訳ないけど、彼は貴重な戦力なんだ。彼のことを君ほど知っているわけではないけど」
一平の頭の中では自分が彼女に勝利するというビジョンが見れていなかった。
というより、想像を見ることもさせぬ様に彼女は木刀を一平に向けて一目散に振りぬいている。
「僕もね?君が一番厄介だと思ってるよ?」
「そうか、褒められるのにはあまり慣れていなくてな」
いつの間にか間合いを詰められた一平の後ろには、会議室のモニターがあった。
一平は何か閃いたのか、自分の能力でずっと結の攻撃を回避しつづけていたのだが、それを解除した。結は一平が諦めたのかと思い。一瞬だけ木刀を振る速度が鈍った。その一瞬を一平は見逃さなかった。
「僕がモニターの前に立ったら突然、電源が入るのは普通だよね?」
一平が背にしていたモニターから光が溢れる。
それは結を直撃して、目くらましの要領で視界を塞いだ。たまらず目を手で覆う結だったが片手でも一平を捉えようと一平の方向に振られていたが、一平は会議室の窓から抜け出した。
一応、涼子から預かっていた護身用の持ち物はあったのだが、護身用の持ち物には際限があり、一々使っていては予算がかさむ。
勿体ないという精神が働いた一平はそれを使わなかった。まさかこんな展開になるとはなど本人も思っていない上に焦っていたため、詳しく言うと使わなかったのではなく使えなかったのだ。
「私から……逃げられるとでも思っていたのか?」
息つく間もなく、結が一平を追って窓から現れる。一平は急いで体勢を立て直して迅速に普通科の校舎に戻りたいところなのだが、周囲には保健室ぐらいしかない。
走力では結には確実に勝てないだろう。そして能力を使える程に落ち着いている状態ではない。何よりも彼女相手にそれを行使するには、消費も激しい上に今の一平では結相手にここまで立ち回れて優秀と自己評価したいレベルと言えるほど、彼女との実力差がある。
「カズ君!伏せて!」
聞き覚えのある声を頼りに一平はその場に伏せる。
結が迫っているところで伏せても一平の身に危険が迫っているのは確かだ。寧ろ、走りを止めたことによって尚のこと危険なのは明白、しかし一平はその声を信じた。
なぜなら彼が誰よりも頼りにしている人物、涼子の声だったからである。
涼子は一平が襲われることを想定し、会議室の隣接したに保健室の五階に待機して彼の帰りを待っていたのだ。そして自分が持っていたライフルを取り出すとそれを結に向けて構えた。
銃器科の開発した非殺傷性ライフル、通常のライフルと違いゴム製の弾丸を発射する仕様となっている。
人を殺すことは絶対に有り得ないが、それでも威力は充分で当たり所が悪ければ、気絶させることも十分にあり得る代物である。
「仲間がいたか……しかしっ!」
結は一平に向かって稲妻の様に左右に揺れながら走る結、彼女の素早い動きがもう、人間の素早さではない。
涼子は彼女のその動きだけで彼女の人外加減を理解することは出来た。
それが幸いして涼子は頭の中で計算を瞬時に組み立てる。
彼女のプロフィールは既に頭の中に入っている。
体重、利き腕、利き足、スリーサイズ、学園指定の制服の重量を計算してライフルを再び構えた。
実際、自分の射撃の腕は優良でない事を自覚している涼子は、さらにその自分の手振れやライフルの性能も計算に入れてゆっくりと引き金を引く、弾丸は結にかすりもせず、彼女よりも1mは離れた場所にゴム弾は被弾した。
「やはり……普通科はこの程度か!お前たちに鋳鶴は任せられん」
結がこれを見て一気に加速し、一平まで残り5mといったところで木刀を彼に投げつけた。
その時、一平の上を飛び越える影が現れ、その木刀を叩き落とした。恐る恐る一平は頭を上げると一平と結の間に鋳鶴が立ちはだかっていた。
2人が見たときの優しいイメージではない。
怒りの目は結に向けられていた。確実に怒っているのが出会ったばかりの二人でも理解できていた。制服から青い光が溢れ出ているのも確認できる。
「結姉、二人に何してた?それに最近、家にも帰っていないし……。嫌な予感がすると思って一平さんに言おうと、戻ってきたらこれだ。こんな事、してる場合じゃないでしょ!」
鋳鶴が叫び声を上げるとその場の空気が凍り付く、二人は彼が頼もしいようにも見えたが、反対に恐ろしくも見えた。
一方の結は、というと驚愕するどころか少しだけ涎を垂らしている。
「はっ……久しいな鋳鶴、最近家に帰れていないのは魔王科での作業が立て込んでいてな。帰れる機会がないんだ」
「その割には、普通科を潰そうとする作業は滞りなく、やれているんだね。元気な姿を見てホッとしたと思ったけど……人に手をあげているなんて思いもしなかったよ。昔みたいに優しくて強かった結姉は何処に行ったんだ……」
2人が話をしている中、涼子は急いで階段を降り、保健室から出て一平の傍についていた。能力を使用し、疲労困憊の一平を抱えながら鋳鶴の後ろで二人のやりとりを見ている。
「涼子さん、ここは僕に任せてください。早く普通科校舎に向かってください!そこまでいけば、みんなが待ってるはずです」
鋳鶴の声を聞くと涼子は、ライフルを持参していた黒い箱に分解して入れ、右手で地面を摩り、魔法陣の様な紋章を出現させる。
そこに一平を抱えたままそこでしゃがんだ。彼女と一平と黒い箱を魔法陣の光が包むとその場から2人は消えた。
2人が消えたことを確認すると鋳鶴は一度、深呼吸をし、結を力強い視線で睨み、両手を前に構える。
「来るなら来い。結姉、覚悟ならできてる」
「私の前に立ちはだかれるようになったか……鋳鶴、お姉ちゃんはとっても嬉しいぞ。だが、時間だ」
結は右腕を上げると指で何者かに指示を送った。このあたりに何人か、結の部下、魔王科の生徒が待機していたのだ。黒子の様な存在で、影太の使う忍術の様な見た目とスピードで去っていく、魔王科にも影太に似た能力を使える人間が所属しているのか、と鋳鶴は感心していた。その時だった。
「今、隙を見せていたぞ?鋳鶴、もし私がお前を殺そうと思えばできていたし、キスだってできていたぞ?まだまだ甘いな」
結が鋳鶴の数cm前に立っていた。何の気配もなく、鋳鶴の前に立っている。
「そういえば……体育大会は各科対抗のトーナメント戦にするつもりだ。優勝賞品は六科のどれかに必ず願いを叶えさせる。というものだ。勿論、100億よこせとか、生徒を殺させろとかは無理だが、他の科から人を引き抜くことはできる」
「そっか」
「私はお前を手に入れたいと思っている。愛する弟を手に入れて私の傍にいてもらうのだ。私にとってそれは何よりも崇高な、叶えるべき悲願だからな」
「待って?それって僕が魔王科に引き抜かれるってこと……?」
「あぁ、お前を家にすらいさせたくないからな」
「どうして?僕が家族の事を大切に思っているのを知っていて言ってるの?」
「あぁ」
「本気?」
「あぁ、あそこにいるのはお前が可哀想だ……私の傍に」
結は鋳鶴の肩に手を触れようとした。が、鋳鶴はその手を跳ね除ける。
気付けば目の色は、真紅に変わり、髪は銀髪に変わっていた。その鋳鶴の瞬時に見せる変貌を結は微笑んだ。
「そっか……じゃあ僕たちは敵なんだね」
「あぁ、私はお前が欲しい。だから戦うんだ」
「僕は会長の介抱をしてくるからまた今度ね。今日は家に帰ってくるの?」
「帰らん」
「そっか、じゃあね」
鋳鶴はそう言ってその場を後にする。
結は自分の顔の手を当て、鋳鶴に跳ね除けられた腕を頬に摩る。
彼と久々の二人っきり、さらに彼の成長も垣間見た結は笑みが止まらない。その頬は赤く染まり、鋳鶴を恍惚とした目で見つめていた。
それは確実に弟に向けられる視線では無い。まるで草食動物を見るような目でもあると言えるだろう、それは姉としての視線ではなく、肉食動物としての捕食の目である。
また本性の一つを見せてしまった。と鋳鶴は自責の念に駆られている。いくら、一平と涼子を逃がすためと言えど、実の姉に自分の変貌した姿を思いもよらぬ形で見せてしまうとは、鋳鶴でも予見できなかったこと、あまりの怒りに自分の力を呼び起こしてしまったことを鋳鶴は反省していた。
学園から自宅への帰路を辿る鋳鶴は、この前、穂詰との会話を思い返している。こうして帰路についているうちにもあまりに遅いと、穂詰たちが心配してしまうと思う。とも考えた。
魔王科の生徒に襲われては、穂詰を不安がらせることにもつながるし、担任の要は、再び、会議で各科の教師に普通科だから、と言われ理不尽な意見を振りかざされるのだろうと、鋳鶴は考える。
一平に言われたこともそうだ。自身の事を魔王の能力を扱える者かもしれない。と宣告したのは、一平である。
彼が鋳鶴にわざわざ挨拶に来なければ、自分の体が異常な現象を起こすことを気付くことはなかった。しかし、彼が鋳鶴にその事実を伝えなければ、鋳鶴は自分の能力が何なのか、何故、突然発現するのか、理解できることはなく、これまで通り、いつもと変わらぬ生活を送ることになっていたのだろう。
不幸中の幸いとしては、自分の姿が変貌しても歩たちは鋳鶴が仮に魔王の血を引く者だったとしても今は、そういう事が問題ではないと言わんばかりに何も言わないでいてくれたのだ。
しかし、一度、この事実が世に出回れば、世の人間が忌み嫌う魔族として鋳鶴は世界中の人間を敵に回すことになる。
鋳鶴は自分の左胸に手を当て考える。
このままで、自分は良いのかと、将来の夢や今後の自分、周囲の事を考えると鋳鶴は不安に襲われた。
「なぁ。こんな時に、何ほっつき歩いてんだ?鋳鶴」
左胸に手を当て悩む鋳鶴に、背後から彼の名を呼ぶ声が聞こえる。その言葉がした方向に振り返ると、二人の人間が立っていた。
双方とも顔は見えず、表情は確認できない。
鋳鶴から見て左の人間は、中肉中背で茶褐色のズボンに白いフードを被った者。
右の人間は、全身が黒く、艶を放つ甲冑とマントを纏った者だった。兜には、この世の生物とは思えない、異形の頭蓋が嵌められている。
腰には、光も照らせぬほど黒い太刀を携えている。その太刀を見ていると、鋳鶴はその太刀に吸い込まれる様な感覚を味わう。それとともに身に覚えのない映像が、頭の中を風の様に駆け巡る。
彼らの見た目だけではない。二人の発する雰囲気で、鋳鶴は直感的に人間ではないと感じた。双方とも鋳鶴を押し潰しかねない圧力を放っている。
自分が、異形の者を見たから、だけではない。勝手に気圧されているだけなのか、視覚情報だけで体が動かなくなったのか、それとも本能なのか、鋳鶴には理解できない。
「アセロ、望月鋳鶴と言えど、突然話しかけるのは彼にとっても緊張することと言えよう。言葉選びは慎重にしたまえ」
「なんだよ。お前が一番、鋳鶴に会うのを楽しみにしてたんじゃないのかよ。ノーフェイス」
彼らは圧倒的な威圧感を放ちながら、動けない鋳鶴を他所に会話を続ける。
アセロ、という男の名前は、鋳鶴にとって初耳の名だった。しかし、もう片方のノーフェイスという男は違う。
アセロが彼の名を呼んだ時、鋳鶴は耳を疑った。自分の聞き間違えで別の名を言っているのかと思った。が、どうやら勝手が違う。彼らの放つ威圧感と、ノーフェイスと呼ばれた男の特徴が、鋳鶴も知っている存在と合致するからだ。
鋳鶴の通う陽明学園でも習うことなのだが、小学生から、鋳鶴たち学生は魔族のことを幼い頃から、その存在の危険性と有害性を知る。
それが、どんな些細な魔族であれ、教科書や専門書などに明確に記載され、そのすべてが忌み嫌われる存在として認識させられる。
その中でもアセロと話す、ノーフェイスという名の男は、鋳鶴が教科書で読み、じぎゅ業で学習する時に見た魔族そのままなのだ。
ノーフェイスは、人類が危惧すべき最大の魔族の一角として数えられ、世界から最も恐れられる魔族と呼ばれている。
他の魔族には、明確な名が存在するのだが、彼だけは顔のない存在。ノーフェイスと呼ばれる。
名前の由来は、本人が自身の事をそう呼称することが最大の理由である。それに加えて誰も彼の兜の下に存在する顔を見たことがない。という事も含まれている。
何故、誰も彼の顔を見た事がないのか、それは言わずもがな、人類の敵、魔族の中でもトップクラスの武力と知力を兼ね備えた彼に遭遇した人間は皆、彼の顔を見たとしても皆、彼に殺されているからである。
世界に数人、彼の顔を見た者が世界に居るという噂があるが、悪魔でそれは噂であり、信ぴょう性が少ない。
「おっと、いきなりフレンドリーに名前を呼んでも怪しまれるだけだとな。俺の名は、アセロ。ただのアセロだ。それ以上でもそれ以下でもない。よろしく!」
アセロは大声で鋳鶴に自己紹介すると、彼に何の前触れもなく、接近し、握手を求めた。彼がこの一瞬で何をしたか、鋳鶴の目は確認できていない。
恐らく、鋳鶴でも感づけない程の速さで瞬間移動を可能にする類の魔法を行使したのだろう。
そうでもなければ、数十メートルも離れていた鋳鶴との距離を詰めるのは常人では不可能だ。彼を魔族だと思っている鋳鶴にとって、それぐらい彼らには造作もないことなのだと、取り乱すに考えるのがやっとのことだった。
「おいおい!鋳鶴、ビビっちゃってちゃ駄目だぜ。お前は、俺のお気に入りになるんだから」
アセロはフードをとって自分の顔を鋳鶴に晒した。
人間にしては色白い肌と、目鼻立ちが目立つ外国人に近い顔をしている。しかし、今の鋳鶴はそんなことよりも彼の見た目が完全に人間と何一つ変わらない見た目をしていることに驚きを隠せないでいた。
人間。それと何ら変わらない。鋳鶴は、ノーフェイスを連れて現れた事と、先ほどの瞬間移動を見せられて彼を人間に近い容姿とは認めたくなかった。
異常に強く感じた魔力を鋳鶴の体が覚えている。
人間らしからぬ、こちらを圧倒的にひれ伏せさせるような膨大な魔力が、限りなく人間の容姿をしているアセロの体に内蔵されているのなど、とてもではないが信じ難い。
「勿論、人間のお前は、ノーフェイスの事は知ってるよな?いや、知らない筈がない。あいつのことを知って、あいつを殺すのが人間の悲願ってやつだからな」
アセロは抱腹絶倒。鋳鶴の目の前で腹を抱えながら地団駄を踏んでいる。体を大きく揺らしながら、一方のノーフェイスは頑として腕を組んだま指先一つ微動だにしない。
「俺は、お前に会えて嬉しいんだ。やっと、やっと!お前に会えたんだから!」
「戯言はそこまでにしておけ、アセロ。本来の目的は望月鋳鶴にお前の顔を見せることではない。そんなつまらん理由であの男に会いに来た。というなら今すぐ、帰還しろ」
ノーフェイスが、腰に携えてた太刀を鞘から引き抜く、太刀というよりは、太刀の形をした黒が、その場に浮き出ている。と言った方が正しい武器だった。
ノーフェイスは、その切先を鋳鶴に向け、自分の頬の隣まで持ち上げ、構えを取る。
「ノーフェイスッ!」
「私の事を認知しているとは、人間という枠組みで習うのも当たり前か、君のくだらん人生の中で私と言う存在がどういうものかは知らんが、そこまで眉間に皺を寄せる存在ではなかろうに」
「君のせいでっ!色んな人たちが、今も苦しんでるんだぞ!」
「だから?だから、どうしたと言うのかね。君が私をこの場で殺すと?まぁ、君の体には人ならざる我々と同じ、魔族の血が流れているのだから不可能ではないがね」
「悪い冗談を言ってくれるもんだ!そんなわけがあるか、ふざけるな!」
鋳鶴が叫ぶと、アセロは嬉しそうに口角を釣り上げて微笑む。
「その顔だよ。鋳鶴、事実を認められない、今にも怒り狂いそうなお前の顔。けど、残酷な事に俺は、お前の認められない事実ってやつを認めさせなきゃいけない」
「うるさい…!君は、君は一体なんなんだ!」
「俺?俺の事はどうだっていいだろ?俺はアセロでお前は鋳鶴。それだけで別に良いだろ。とにかく、俺と遊ぼうぜ。鋳鶴」
「は……?」
アセロの突拍子もない台詞に、鋳鶴は呆気にとられる。
「いや、実際、ただのお遊びじゃない。歴きとした殺し合いをお前とした。お前が、自分の体に魔力の血が流れていることを認めたくないって言うんなら、人間の力で俺を倒して証明して見せろよ」
「殺し合い……?君は、殺し合いを遊びと思っているのか……!?」
「そうマジになるなよ。早く遊ぼうぜ」
鋳鶴は、怒りを込めた目で眉間に皺を寄せながらアセロを睨み付ける。
アセロ鋳鶴の激昂している様子を見て、再び口角を上げて微笑む。
「お前には、偽善者の笑顔よりもそうやって殺意に満ち溢れた目をしていた方が、性に合うと思うぜ?」
「うるさい。お前の正体を知ってやる……。どうして僕の事を知っているのか。何故、魔族なのにも関わらず、僕を見つけて直ぐに殺さず、こうして会話を続けるのかっ……!」
「俺の事を知りたきゃ、俺と戦え」
「君は……僕のなんなんだよ……」
戸惑う鋳鶴を他所に、アセロは背伸びをして準備運動を始める。
その準備運動は人間となんら変わらない。アセロが魔族として人間に変容しているのを考慮したとしても人間がただ準備体操しているようにしか見えない。
「アセロ、これは遊びではない。迅速に済ませろ」
「うるさい。俺はあいつを殺す気なんてないから安心しろよ」
「何……?」
「鋳鶴はまだ弱い。今の俺があいつに本気をだしたら、本当にぶっ壊れちまう。つまり、人間的に言うと死を迎えるってことさ。だから俺は、まだ、あいつを殺さない」
「話が違うぞ。貴様、それでも魔族か」
「あぁ、魔族さ。ノーフェイス。顔を見せないんじゃなくて、見せられないお前と違って俺の方が立派な魔族だ。それに、ゲームするなら相手は強い方がいいだろ?弱い奴をただ、嬲り殺すなんて俺は嫌だね」
鋳鶴はやっとの思いで立ち上がり、二人を睨み付ける。
アセロは本当に魔族なのか、と疑いたくなるような精巧に作られた人間の顔。
ノーフェイスも表情こそ見えないものの、その甲冑から見える照明の様な赤く光る瞳は、鋳鶴を捉えている。
「そうこなくっちゃな。やっぱりお前は面白い。人間だけど、人間離れしてやがる。だから好きなんだ!」
立ちがった鋳鶴を見て、アセロはすかさず右拳をアセロに向けて叩き込む。
「手加減してくれて、すいませんね!」
アセロの右拳を、鋳鶴は左腕の肘で押し返し、自分の右拳をアセロに向けて叩き込む。
「おもしれぇ!おもしれぇよ!鋳鶴!」
鋳鶴のカウンターに、アセロは反応する。彼は回避するという動作を見せず、鋳鶴と同様のカウンターを彼に見せる。
今度は、鋳鶴の右拳をアセロが左腕の肘で返し、先程弾かれた右拳を再び握り直し、鋳鶴の頬目掛けて振るう。
「くっ……!」
鋳鶴は、間一髪の所でアセロのカウンターを回避した。しかし、アセロは余裕の笑みを見せて鋳鶴の苦悶の表情を見る。
「やっぱり、人間は面白い。強大な何かに立ち向かおうとするその爛々とした目つき、特に鋳鶴。お前の目は最高だ」
回避した鋳鶴が、体勢を立て直す前にアセロは膝蹴りを彼の懐に入れる。
鋳鶴の腹部に直撃した膝蹴りは、彼を数メートル程ふっ飛ばし、街路壁に背中を打ち付けさせる。
「かはっ……!」
背中を街路壁に打ち付けた鋳鶴は、反吐を吐き、その場に倒れる。
「すげぇよ!ただの戦闘技術だけで俺に立ち向かってくるお前は!最高だ!」
「お前っ……!」
鋳鶴は壁の破片を握り締めて立ち上がる。不幸中の幸いで内蔵に損傷はなく、まだ動ける様な痛みである。鋳鶴はアセロに向かって拳を向けた。
「戦ってやる……。戦ってやるよ。お前を……、倒す!」
「そうだ。それでいい。お前はそうでなくっちゃな!」
鋳鶴の背中が、青く発光していた。本人も気付かぬ間に、激昂しているからか、それとも彼を倒そうとする意志か、鋳鶴の体は背後から溢れ出る青く発光する靄に包まれる。
「そうだ……。お前は、俺たちと一緒なんだよ。それを認めろ。認めた上で、俺と戦うんだよ!それがお前の義務であり、俺とお前の宿命だ」
鋳鶴は、自分の能力を発揮する。しかし、アセロの方はというと、まだ何もせぬままで生身の人間のままである。
「お前にも、こういうことができるんだろ?早くやれよ」
「出来る。確かに出来る。でも、今の俺が鋳鶴相手に本気出していたら、実力差がありすぎて殺しちまう。それにフェアじゃない」
「……」
鋳鶴は歯軋りを立てて怒りを露わにする。彼の表情から優しい笑顔は消え、まさに修羅。といった表情をしている。
「言っただろ?俺は、お前を殺しに来たわけじゃない。お前を俺たちの仲間にするために来たんだ」
「何言ってるんだよ……。人間の僕が、君たち肩入れするわけがないだろ!」
アセロは再び、微笑む。鋳鶴が自分に抵抗しようとする様子を見て、彼はただ、その状況を楽しみ、鋳鶴がどうでるかの反応を見て楽しんでいる。
「あぁ、お前は否定する。俺たちと同じであることを、その気持ちは分からなくもない。人間から忌み嫌われる魔族だ。なんて突然言われたら、誰だって困惑する」
アセロは鋳鶴の周囲をゆっくり、腕を組みながら周り、背後に立つ。
「なら、お前の背中には何がある?入れ墨なんてもんは、自分で入れるか、他人に入れて貰わなくちゃ出来ない。自然には絶対に出来ない。それが幼い頃からあるなら、尚更だ。異常な家庭でもない限り、親は子に、入れ墨を入れるなんてことはしない」
鋳鶴は、自分の背中に手を当てる。
物心つく頃からあった入れ墨。
小学生、中学生と体育の授業でこの入れ墨が見せられない。と、言って水泳だけは学園側に不参加の申請をしていたことがある。
親にも言われている。その入れ墨は呪いの様なものだと、それを取り除くには、お前が死なない限り、無くなることはない。と言われている。
「それが、証なんだよ。その証拠に、ほら」
アセロは自分のパーカーを脱いで、鋳鶴に自身の背中を見せる。
鋳鶴と似たような黒い太陽を模した様な入れ墨が、アセロの背中の真ん中に、あまりにも主張の激しい入れ墨がありありと刻まれていた。
「違う……!僕は!違う!!!!」
「違わないんだよ。俺もお前も。ただ、一つだけ違うとしたら、最初から人間だったか、魔族のままで生まれ、この姿を選んだかの違いだ」
「僕が、魔族なわけがない!」
「認めちまえよ。お前は魔族なんだ。そうでなくとも俺たちと同じ血が、お前の体には流れている。教科書とかでも読んだことがあるはずだ。人型を維持する魔族の背中には、入れ墨があると。まるで月や雲、太陽のような入れ墨になる。お前の背中にある黒い太陽の入れ墨は、一体何なんだろうな」
鋳鶴の額からは冷や汗が止めどなく溢れている。認めたくない気持ちと、アセロが突き付ける真実。
鋳鶴の心は揺れ続けていた。
彼の叫びを他所に、彼の勘事情を現すように青い光が強くなる。
否定したい意志とは裏腹に、彼への不信感、自分への疑念が高まると同時に、私は魔族です。と自己紹介しているのではないか、と自分で考えてしまうほどに、全身から魔力が溢れ出る。
「お前はもう。始めてしまった。俺たちと一緒なんだよ。俺はお前と遊びたい気分なんだよ。というか、お前と一緒じゃないと駄目なんだよ。他の連中じゃ満足できないんだよ。望月鋳鶴、お前じゃなくちゃ俺の個々の渇きは潤せない」
「アセロ、そろそろ止めを刺せ。我々の動きを察知する者が現れるかもしれん。早急に事を済ませろ」
ようやく、ノーフェイスが口を開くと、鋳鶴は立ち上がる。
「僕は、否定する。お前たちと類似する点が沢山あったとしても、僕は……、望月鋳鶴だ。人間なんだ。僕が魔族であることを肯定するのは、今までの人達に対する裏切りだ。僕は、その人たちを裏切らない。お前たちと一緒にするな。僕は違う!」
鋳鶴の体を包んでいた靄が鋳鶴の体に入っていく、まるでその靄が鋳鶴に力添えする様に溢れ出た靄は、魔力。そのすべてが鋳鶴の体の中に入っていった。
「そうか、お前は人間でいいのか、魔族は楽だぞ?勉強しなくていいし、入れ墨の事を気にしなくてもいい。お前の大好きな女たちも魔族の世界には大半を占める程の魔口だ。それをお前は否定し、俺たち二人の敵になると?」
「僕は、人間で良い。君たちの様に力があっても人間を一方的に殺すことができても、僕はそっちを選ばない。でもこの力は、君たちのものに近い。けど、僕はこれの力を、人を守るために使う」
鋳鶴の発言に痺れを切らしたアセロが、鋳鶴の顔面目掛けて回し蹴りを放つ。
先ほどの彼ならば、この一撃を受けていただろう。これを食らったら普通の人間なら死んでいる。人間らしからぬ異常な威力の攻撃、魔族の力を借りて自身の体が頑丈になっているのか、少しだけ体が軋む程度で済んでいる。
「魔族になることを否定しながら、それを使うなんて大きな矛盾だぜ、鋳鶴」
「これは、僕の決意だ。僕は、誰かを守るためなら魔族にだってなってやる。僕は……、俺はお前たちの敵でいい。お前たちと戦ってやる……!」
今回は様々な科の生徒会長のお目見えでした!これからどんどん、一癖も二癖もあるキャラクターにしていくのでよろしくお願いします