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魔法職の双刀使い  作者: 香月 燈火
Episode1 サービス開始と双刀使い
8/32

8. 対ゴーレム戦①

読み返すと思ってたより誤字やら変な文が多い……。

まだ感想も返せてないし、おいおい修正入れていきます。

 唐突に強制ボス戦へと洒落込むことになったのはいい、いいんだよ。でもね。



「このゴーレム、剣とか刀とか効くの?」



 ゴーレムと言えば、ファンタジーでは定番中の定番。頑丈な身体を持ち、動きは鈍くとも一撃は重いというのが一般的なゴーレムの定説……だと思う。これでもかとばかりにファンタジーの一般的な知識は凡そ再現されているハイクロにおいては、このゴーレムにも該当しているはずだ。身体が岩なのに堅くないゴーレムがボスに出てくるかと言われると疑問である。



 さて、そうなれば攻撃方法はどうするか。

 もはや代名詞とも言ってもいい反動回転攻撃。そんなことをしても刀では弾かれそうなので却下。必然的に破壊力の高い魔法や、打撃武器に限られる。では、今の自分の武器を確認してみよう。

 初期に選択した刀と、カレンさんがネタで作った杖。あれだけ敵をばっさり倒しておいて、未だに装備が初期装備のままでフィールドを進んでいたのを傍から見れば自殺行為にしか見えなかっただろう。幸い(打撃武器)はあるし強い衝撃を与える【マナショック】を使えば、ダメージを与えることは出来ると思われる。



 しかしこのゲーム、【分析(アナライズ)】以外では数値には現れないものの武器にはしっかりと耐久値が存在するらしい(カレンさん談)。耐久値がなくなるイコール武器が壊れて使えなくなる、というのは説明するまでもない。

 今までは柔らかい敵だったためにまだカレンさんには一度も見てもらってはいない。一度【分析(アナライズ)】で見てもらったカレンさんの方からも言ってこなかったのを見れば恐らく耐久値はまだそれほど減ってはいないはずだ。

 だが、カレンさんとてわたしがいきなりシークレットクエストなるものに遭遇するとは全く考えてもいなかったはず。恐らく、そういった点でもシークレットと呼ばれる所以なのだろう……と、勝手に解釈してみる。

 刀の方は壊れることがないので問題はないのだが、肝心の杖の方は普通に壊れる。この戦いで壊れることも、大いに考えられる。



 それらを踏まえた結果、自分がやるべきことは何か。



「結論、ひたすら殴るべし!」



 どれだけ考えたところで後ろの扉が開くわけでもなし、逃げることも出来ないこの場で出来ることはただ攻撃あるのみ!



 そもそも、ボス戦がソロ仕様だとはさらさら思わない。だからこその堅さだと思うし、そう考えればここで死に戻るのは当たり前と言ってもいい。

 どうせ死に戻っても、自分はまだレベル10。ぴったりこのレベルまではデスペナルティを受けることはないようになっている。



 ……ま、だからと言って諦める理由にはならないけどね。

 だっていくらボスとはいえ、殴れば倒れるでしょ?



 一に殴り、二に殴り、三四で回転、五で殴る。自分でも女にあるまじき……いや、男でも言っちゃダメな発言だねこれ。というわけでわたしの作戦は避けて殴る。これに限る!



「というわけで【マナショック】!」



 まずは小手調べの杖版【マナショック】。攻撃手段がこれしかないのはご愛嬌ってことで。

 金属製の杖で殴りつけると、ゴツン、と岩を殴りつけたような……いや、実際そうだけど岩を殴った時の鈍い音が響く。ステ振りの問題でSTRの補正もないので、プレイヤーの力によってゴーレムが吹き飛んだり、なんてことはない。本当に現実で岩を金属の棒で殴ったのとなんら変化のない攻撃。ちょっとショックだった。

 ただ、攻撃はそれだけではない。その後に普通で殴るよりも数倍の衝撃の【マナショック】が相手に付随する。



 杖の殴打の後、1秒にも満たないインターバルをもって衝撃を食らったゴーレムは少しだけ動きを止め……岩の腕を大きく振りかぶった。



「危なっ」



 もうすぐ当たる……というところで、反動を利用した回転の勢いで降ってくる腕を杖で殴ると、すんでのところで逸らすことが出来たので、一旦、体勢を立て直すために距離を取る。弾き返すのではなく、逸らしただけ。あの勢いをもってしてもそれくらいしか出来ないのなら、やはり一発貰えば即、街に戻る結果となっていた。

 相手のHPを見るに、2度殴って【マナショック】まで直撃させたのに1割も減っていないようだ。見た目に違わぬ高防御……いや、ボスだから当然か。



 再度、接近を試みる。ゴーレムはわたしの動きにはまともについてこれないことが分かったので、今度は背後から攻撃を仕掛けてみる。案の定、懐まで詰め寄られたゴーレムが反応する前に、容易く背後に回ることが出来た。こうも簡単に背中を取れるのであれば、もしやこのゴーレムの天敵はAGI型なのかもしれない。最も、それは動きが遅い敵全てに言えることなので、このゴーレムに限らない話なのだが。



 棒立ちのゴーレムへと杖、刀のワンツー【マナショック】を浴びせる。流石に左右両方に反動がかかってしまえば、力を流す手段はない。それでも敵からの攻撃を防ぐため、出来る限り後ろに跳んで攻撃の届かないところで、わたしの身体は2度舞う。

 そのまま突っ伏したわたしは、反動によって痺れる身体を頭だけもたげて

 反動のデメリットを無視してまで浴びせた攻撃……結果、動きを微妙に止める程度だった。それでもHPは5%程減っているので、多少のダメージにはなっているらしく、もしかしたら倒せないんじゃないかと思っていたので、安心した。



 ただ、もうちょっとわたし自身や【マナショック】のレベルを上げておけばよかったな。こりゃ、相当時間かかりそうだし。カレンさんには悪いけど、金属はまだ一度も手に入っていないので、武器強化の方は元より考えてもいなかった。そもそも、道具も採掘技術もないので、採りに行けと言われても無理。



「ただ一つ、運が良かったのは思ってた通りにはのろまだったことかな。これなら、ヒットアンドアウェイを続ければ勝てるかも」



 何度か近寄り【マナショック】で攻撃してからまた離れを繰り返す。

 何度もヒヤリとする場面はあったが、ひたすら地道にHPを削っていく。

 あまりの堅さと高HPにエリクサーを既に2本飲んでしまったが、この調子であれば倒せるはずだ。

 そんな単調かつギリギリの戦闘を30分ほどずっと繰り返したところだったか、HPが5割を超えたところで、急にゴーレムの動きがピタリと止まった。



「え、なに?」



 まだ倒してもいないのに急に動かなくなったことに訝しんでいると、突然ゴーレムの身体が悶えるように震え出す。

 動きから何故か危険の気配を察知すると、さっとその場から離れる。



 わたしがその場を離れると同時に、何の前触れもなくいきなり全身の岩を爆散させたかと思うと……突然視界が黒く染まった。



「はっ!?」



 間一髪、命中一歩手前というところで辛うじて回避することが出来た。

 動体視力や速度重視のステ振りで大体の攻撃なら避けられる自信はあったが、流石に不意を突かれ、弾丸のようなスピードで飛んでくる岩は完全に避けることは出来ず、飛来する2つの小岩が身体を掠めていった。



 あくまで掠めただけ。だが、それでも今の紙防御ではそれだけでも致命傷に近い。現に、今のだけでHPの7割が削れてしまった。物理法則は、当然敵にも適用されるようだ。



 慌ててインベントリからポーションを取り出し一気に飲み干すと、瞬く間にHPは全快した。



 改めて、小さくなったゴーレムへと向き直る。



「……うん、やっぱりふた回りくらい小さくなったね」



 わたしより大分大きかったはずのゴーレムの身体が、さっきの攻撃によって子供くらいの大きさにまで縮んでしまっていた。それに、あの爆散攻撃によるものか、5割だったHPが3割にまで減少していた。



 自爆攻撃だったのかな?



「でも、好都合!」



 小さくなったので若干やりにくくはなったが、HPが減った分、さっきより勝機は見えるようになったはず。それに、小さくなって密度が落ちた分、身体の丈夫さもさっきよりは恐らく脆くなっているはずだ。



 それなら、まだやりようはある……!



 杖と刀を構え、佇むゴーレムを見据える。向こうからは動く気配がない。まるで、攻撃を誘っているかのようだ。



「……いいよ。わたしから行かせてもらうから、ね!」



 最高速度をもって接近すると、まずは細くなった右腕へと杖を振り下ろす。今なら、壊せるかもしれない。

 貰った、そう思った。



「【マナショッ……っ!?」



 しかし、技能を発動しようとしたところで、ゴーレムの腕がわたしに迫ってきていた。

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