リボン
君がつけていたリボンが
風に飛ばされて
その役目を終えた
僕が見つけた頃には
太陽に焼けてしまって
色は褪せていた
さよならだけを積みあげる
悲しい魔法をくぐり抜けて
君が結んでいたリボンが
風に揺られていた
それがとても綺麗で
僕が思い出せるのは
そんな太陽に焼けた
色褪せた記憶
不器用な手で積み上げた
悲しい魔法をくぐり抜けて
擦り切れて雑音だらけの
彼女の姿は
何度でも思い出してしまう
消えない証拠なんだよ
この場所に繋ぎ止めるように
色褪せたリボンを結ぶ
昼の風に揺れたリボンに
緑は影を零し
君のことを思い出す
僕が思い出すのは
君が右手で太陽を隠す仕草
そんな色褪せた場面
あれはきっと眩しいからじゃない
あのときは分からなかった
だけど今は分かっているつもりだ
あの光を遮ったその理由を
その横顔の意味を
擦り切れて雑音だらけの
彼女の姿を
もう一度再生して
たまらなくなるんだ
不器用な手で積み上げた
悲しい魔法をくぐり抜けて
この場所に繋ぎ止めるように
色褪せたリボンを結ぶ
読んでいただき、ありがとうございました。