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君の悲しさは僕が包むから

作者: Erin

君と初めて出会ったのは雨の降りそうな曇り空の日。

いつも通る街中を何気なく歩いていた。

普段なら何も思わなかった。

けれど、その日は道の端で無表情で空を見上げる君を見た瞬間なぜか焦燥感にかられ声を掛けてみたくなった。

今にも消えてしまいそうだったから。

今から思えば普段の僕は知らない人に声かけるなんてしない。だから、その瞬間君に落ちてたのかもしれない。

君は僕に声をかけられ不思議そうな顔で僕にとうた。どうかしましたか?と。


そうやって僕と君は初めて出会った。


雨の降りそうな曇り空の日に君はいつもそこにいた。なぜ今まで気が付かなかったのだろうかと僕は疑問を持った。

そしてまた彼女は雨の降りそうな曇り空の日にだけそこにいるのだろうかと。

僕は君を見つけると必ず声をかけ君が帰るまで一緒にいた。


どれくらいの時がたったのか分からないけれど、少しずつ会話が増えていき僕と君はデートをするような仲になっていた。


君は控えめな笑みをよく見せた。その笑みはどこか寂しさ悲しさを感じさせるもので僕はそれが気になって仕方がなかった。暴きたかった。君が僕がいないと生きていけないようにしたかった。僕だけに見せてほしかった。君の全てを。


ある日そんな僕の欲が爆発し君を傷付けた。君は涙を流さず悲しげな笑みを見せ僕の前から去っていった。君がいなくなって僕は大きな大きな虚無感に襲われた。そしてなにより自分のことしか考えていなかった僕自信を消してしまいたかった。


君を探しても探しても時間ばかり経っていった。もう君には会えないのかと思い君がよく見ていた空をみると出会ったときのような雨の降りそうな曇り空だった。僕は出会った場所に向かい全力で走っていた。


君はそこにいた。


あの日と同じだった。


ただ違うのは僕と君の距離。


君を見つけた瞬間僕は君を抱き寄せ謝った。すると君も謝った。僕の方が悪いのになぜと思った。君は言った。


愛せれないの。誰をも。あなたのこと愛したいけれど出来ない。悲しいの。ごめんなさい。


君の悲しみはここにあったのかと思った。


そんなことはどうでもいい。僕のとなりに居てくれて僕が君を愛しているのを分かってくれるだけで。だから、帰ってきて。


君は初めて涙を見せ僕に抱きついた。


fin.

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