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空の声  作者: 冬雪とあ
6/12

昴の好きなもの

体育祭。

それは新入生達の歓迎会とも言われている。

チームワークも勉強のうちだというのだ。

そしてこの学校では、屋台も出る。

「そして、なんとなんと!芸能人とかアーティストとか呼ぶらしいよ!」

というのが桐野からの情報である。

何はともあれ、参加種目を決めなくてはならないのだ。

いつまでも桐野と話してる場合ではない。


LHRの時間を使って委員長である泉が前に立ち、参加種目を決めていた。

「はーい、お前ら聞けー。なんと委員長である俺の初仕事だ。はい、拍手」

拍手とともに

「よっ、委員長!」

「くじ運無し委員長!」

という野次も飛ぶ。

「うっせーよ!はいはい、とりあえず種目は前に書いてある通りな」

新入生の歓迎会と言うだけあって、一年生が出る種目は少ない。

いきなり酷なことはしない優しい学校だよ、ということなのだろうか。

種目は五つ。

綱引き、徒競走、二人三脚、騎馬戦、クラス対抗リレーだ。

この中から二つ選ばなければならない。

「ねえねえ、昴くんは何に出るのー?」

「徒競走とリレーだな。候補としては」

そこそこ足は速いほうだし、ただ走るだけで面倒なことはない。

「そうなんだ!私もね、リレーは出ようかなと思ってるんだー!」

桐野とそんなことを話していると

「さて、じゃあ順番に決めていくぞー。じゃあまず…」

と種目決めがスタートした。



終わってみると結構あっさりと決まるものだった。

枠争いをすることなく決まったのだ。

「よーし、じゃあ決まったからこれで提出するからな!文句は言っても聞かないぞー。体育祭は一ヶ月後だからな」

泉がそう締めてこの日の時間割は全て終了した。

ちなみにしっかりと徒競走とリレーに決まった。

リレーは五人で走ることになる。

俺、桐野、榊、桃山、椎名。

榊は元々中学の時に陸上をしていたらしい。

椎名は力の必要ない種目を見つけて決めたらしい。

桃山は桐野に拉致された、と言っている。

…チームワークは大丈夫なのかすごく心配ではあるが、とりあえず集まって走る順番などを話すことにした。

「さて、なんかよくわからないけど僕がしきってしまってるんだけども、それはおいといて…。どうする?皆、まだあんまり話とかしたことないし、どうだろう。ここらでもう一度自己紹介というのは」

また、自己紹介するのか。

そんな榊の一言で自己紹介が始まる。

桃山と桐野については知っているから適当に聞き流す。二人が終われば俺。適当に済ませて残り二人。

椎名しいな圭介けいすけ

好きなことが出来そうだということでこの学校に入学したらしい。

力があまり無いので、力仕事には向いてない。事務作業をしてることが多いから、何か必要なことがあればいつでも言って。とは本人談。

そして最後に仕切っていた男

さかき時雨しぐれ

陸上を続けており、この学校でも陸上部に入るとのこと。

地味に色々とやりたいことが多く、好奇心旺盛らしい。こちらも本人談。


そんな五人で走るリレーはどうなるのだろうか。

この後はやることもないため、帰ることにした。



委員長である泉が料理研究部に入ると、登校する時間が変わり俺は一人で登校するようになった。

いつも通り空を見上げながらではあるが、音楽を聴きながら登校する。

教室に着いても特にすることはないのでイヤホンをしたまま、ぼーっとする。

と、肩を叩かれた。

「おはよっ、昴くん!イヤホンしてるなんて珍しいねー!」

「おはよう、芹沢。何聴いてんの?」

桐野と桃山だった。

とりあえずイヤホンを外して二人に聞かせる。

「…Sky?」

「虹色だね」

やはり有名だったから知っていたみたいだ。

「昴くん、Sky好きなの?」

「ああ」

Skyが好きだ。

ライブの時、何度元気を貰っていたかわからない。

あの会場の一体感。みんなと一緒に声をあげて、笑って叫んで。

「私はね、実はSkyのことをあまり知らなくて…声だけ特徴的だから覚えてたんだけど…気になるなぁ…」

桐野は曲を片耳で聴きながら「なんか楽しそう…いいなあ」と呟いた。

「良かったら音源、要るか?全曲揃ってるけど」

その俺の一言に二人とも反応した。

「…ほんと?欲しい!」

「待って、芹沢。全曲って、まさか生産限定だったやつも?」

生産限定だったやつ、というのはこの前見た『諦めきれない夢』のことだ。

解散する、という日のライブでしか発売されてなく誰もがみんな解散するということを知らなかった。

よってライブ終了後、物販へファンが殺到し売り切れ。そしてその曲は世には広まるがCDを持つものは数少なく、プレミア物となっている。

さらに、そのCD。メンバー全員のサインが入っているものもいくつか。

「ああ、ちゃんとCDで持ってる。…エクストラ版でな」

そのサイン入りがエクストラ版と呼ばれている。

「…、あんた凄いね」

「たまたまだよ」

…まあ実はたまたまでも何でもないんだけども、それはとりあえず割愛する。

桐野に音源を渡す話をして、チャイムがなる。

今日の授業はない。

何故ならば部活動見学日、という行事だからだ。

自由な校風だけあって部活動は盛ん。

人数を集め、活動内容をしっかり書き、申し込めばとりあえず一ヶ月は活動できる。

一ヶ月ごとに活動内容を報告しなければならない。それを怠れば、活動停止。

その人間は一ヶ月の間、部活動に参加できない。というよりも設立できない。

すでに活動してるところへ参加するときも、それは懸念材料とされる。

この学校では学生証はカードだ。

その中に全ての情報が詰まっている。

活動停止になったこともそこに一ヶ月は残るのだ。

そして、審査される。というわけだ。

俺は何か部活に入ろうか悩んでいた。

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