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空の声  作者: 冬雪とあ
5/12

学校行事ってだいたいこれから

「空が…遠いな」

朝、登校しながら空を見上げるのが習慣になっている。

雨だろうとなんだろうと空を見るのが好きだ。

「あー、だるい」

そう呟いて道を歩いた。

「よっ、おはよう昴」

「おはよう、泉」

いつもと同じ日。

変わらない毎日が続くんだと思ってた。

この時は…。



「…体育祭?」

黒板に書かれていたのは体育祭という文字。

これは御坂先生によって書かれた文字だ。

「その通りよ、芹沢くん。大きな声でいきなり叫んで他に言うことはないかしら?」

怒っているらしい。

「昴、謝っておけ」

「いきなり、叫んで、すいませんでした」

「ええ、それでいいの」

どうやら許してもらえたよう…

「罰として隣の子をなんとかすること」

隣のお節介で図々しいやつ。

「…ふへへ。武道館…。みんなと、芹沢くんも館山くんも…一緒だー。芹沢くんも、うたおーよー…へへ…」

幸せな夢を見ているようだ。

「了解しました、御坂先生。夢は夢でしかありません。現実を見つめるように伝えます」

俺は右手を振りかぶった。



「さて、今から説明をしようと思うんだがいいか?」

「ふぇぇ…痛いよー」

数分前に拳骨をして起こした桐野に体育祭について説明しなくてはならない。

どうせ最初から聞いてないだろうしな。

先生に許してもらうためだ。

ちなみに先生は説明するとどこかへ消えた。

やるしかあるまい。

「…あのね、芹沢くん…」

そう考えていると何だか泣きそうな顔の桐野が話しかけてきた。

まさか、痛かったのだろうか。

いや、今もなお痛むのだろうか。

「悪い、そこまで強くしたつもりは」

「…?あ、違うの、謝るのは私の方で!」

そう桐野は切り出した。

曰く、

昨日はしつこくして悪かった。

初めてあったばかりなのに、何故だかそんな気がしなくて、私も金髪だからなんだか話がしやすいなとか勝手に思ったりしたそうだ。

そのことは、別に気にしてはいなかった。

むしろ

「いや、桐野。こちらこそ悪かった。あんまりな言い方だったと、今でも思う」

そう、謝らないといけないのは俺の方でもある。

初対面のやつに仲良くしよう、だからカラオケ行こう!なんて言える人間はそうそう居ない。

短所ともなるし、長所ともなる。

特に音楽で活動するなら尚更だと思う。

ノリ。ってのはとても大切なものだ。

場数でも得られるが、最初から持ってると違うスタートを切れる。

「そ、そんな悪いのはこっちだよ!で、でね!これからも話しかけたりしても大丈夫…?嫌なタイプだったら、あんまり話しかけたりしないほうがいいかな、って…」

ほら、余計な心配までかけてしまった。

「いや、大丈夫だ。じゃなければ謝ったりしない」

「ま、そうだよねー!…てかさ、芹沢くん」

そう言いながら桃山が俺に指を突きつける。

「普通あんなこと言っておいて謝る人はそうそう居ない!つまり、芹沢くんは良い人だっ!さらに言うなれば…もしかしたら芹沢くんは案外茜が気に入ったんではないかっ!」

どうだっ!と言い張ってくる。

当の本人である桐野は顔を真っ赤にしながら

「ええっ、いや、でもほらそういうのは順番とか、そもそも芹沢くんにも好みがあるし、私みたいな人を気にいるとかまさかそんなそうだよ何かの間違いだよ、きっと私の聞き間違いうんそうに違いない」

と一人で慌てている。

俺は少し考えて

「そうだな、桐野のことは案外気にしてるかもな」

と桐野を見つめながら言ってみると、桐野は何も言わずに顔をさらに赤くして黙ってしまった。

「まさか乗ってくると思わなかった!あははは!面白いね!是非私とも仲良くしてね!」

少しは意趣返しが出来ると思ったんだが逆効果だったようだ。

「体育祭の説明してねぇじゃん」

泉の声が聞こえた気がした。

体育祭が一番最初にくる大型イベントだと思ってます。

自分はそうだった

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