圧し潰した白魔術師のフラッシュバック
──彫像のように端正な顔がたちまち、激しい苦痛のため醜くゆがんだ。出逢う者みなを魅了した小悪魔の色香はもうない。
魔物は暴れまわった。
眼玉は飛び出さんばかりにひらかれ、四つん這いでえずき大きく開けられた口からは、胃液とともにすべての臓腑が吐き出されそうだった。
光の魔導士が無心で念じている。ポイズン。急性致死の毒が、聖人の皮を被っていたモンスターの躰を蝕む。
ふわりと、天使の羽根で編まれた純白のローブがたゆたう。悶絶する小悪魔。即刻、解毒治癒を臨むか、起死回生の反撃を試みるか。
掠れ声。苦し紛れに右手が伸びた先の、魔導士の喉元は絞られ、もう片方の腕でがっと腹部は押さえつけられている。
聖なる風が発生し、周囲の空間を圧縮する。精霊に庇護された者を魔の物が傷つけることはおろか、触れることさえできない。ただの人間でないかぎり彼女に攻撃をくわえることはできない。
祈り、苦しめ。
おのれの罪を骨身に沁みるまで存分に味わって死ぬがいい。後悔と自責の念を抱いて。
これはゲームではない。殺した者は殺される。きさまが祝福されることも、救われることももうない。毒をもって浄化されるのみ。
地獄というこの世の果てで。