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にょろにょろな日々  作者: 山田まる
8/9

シュレディンガーおみかん


 

 まるは本当に誘惑に弱い生き物です。

 何かこの始まり二回目な気がしますが、本当誘惑に弱いので念入りにその意思の弱さについては日々アピールしていこうと思っています。

 

 

 

 

 そっ

 

 

 

 

挿絵(By みてみん)



 

 ――おみかんさんですOTL

 

 





 この子の名前は「みかん」。

 まるんちに最後にお迎えされた、四匹目のにょろにょろです。

 いや……本当……四匹目をお迎えする気なんてなかったんだ…………。

 確かにね?

 

 

 黒紅とうどんが同居成功したし、さくらもちはでっかいケージに移したし、レプタイルボックスが一つ余ってるなー

 

 

 とは思っていたんですよ。

 日々コーンスネークの写真を見あさっては、「あ、このモルフきれい……」と心惹かれたりもしていたんですよ。

 

 その中でもまるの気を惹いて仕方なかったのは、とあるお方の飼ってらっしゃるアメラニのコーンスネークさん。

 それがもう綺麗なオレンジ色で!

 コーンスネークには基本ブロッチと呼ばれる模様があるのですが、その子はもう綺麗なオレンジで、それ一色なんです。

 みかんいろ。

 綺麗だなあ、こんな子欲しいなあ、と思って調べたところ、その子はもともとはアメラニのストライプだったらしく。


 アメラニ、というのは「黒色素欠乏」であり、黒い色素がなくなることで赤・オレンジ・白で残ることが多い子です。


 で、「ストライプ」というのは模様の種類で、その名のとおり縞模様。

 普通コーンスネークはブロッチと呼ばれる模様の子が多いのですが、他にも「モトレー」や「ジグザク」「ストライプ」「ディフューズ」というような模様があります。なので、コーンスネークの品種を指定するときには色と模様とでモルフ名をさすことが多いです。

 

 例えば「アメラニ(黒色素欠乏)」で「ジグザク」だと「アメラニジグザク」とか、そんな風に呼ばれます。


 話を「ストライプ」に戻しましょう。

 アメラニのストライプだと、オレンジ色の蛇の背に赤でラインが入っていたり、白っぽい赤の地色に濃い赤でラインが入っていたりする子が多いのですが……そういう子って、大きくなるにつれてオレンジ一色に見えるような感じに育つことが多いのですね。

 

 まるが見かけたそのアメラニストライプの子もそんな子で。

 もうオレンジ色がすっごく綺麗だったのです。

 美味しそうなオレンジ色、というか、こう夕日のようなオレンジ色、というか。

 それでまあ心のどこかで、綺麗な色のアメラニストライプに出会えたら欲しいなー、なんていう慾がむくむくと育ってはいて。

 

 

 で。

 そんなある日、とあるイベントにてふらふらしているときに、一匹の子蛇に出会ったのです。

 

 

 先に写真に貼った通り、その子はオレンジっぽい赤と白の縞模様。

 アメラニっぽくはあるけれど、きっとこのまま育つんだろうしなあ、でも気になるなあ、と思いつつチェックはして。


 その子のモルフは、ファイア。

 

 そのときのまるはまだまだ不勉強で、ファイアなるモルフがどんなものなのかよくわかっておらず。

 結局そのときはその子をお迎えすることなく帰宅したのでした。

 

 そして家に帰ってから調べたところ。

 ファイア、というのは「ブラッドレッド」と「アルビノ」を交配した品種であるということが判明。

 

 「アルビノ」とはいわゆる「アメラニ」のことで、「黒色素が欠乏」している状態です。では果たして「ブラッドレッド」とは?

 

 今度は「ブラッドレッド」について調べしまる。

 

 「ブラッドレッド」というのはある意味特殊変異である、とのこと。

 どう特殊変異なのかというと、

 

・赤くなる

・コーンの特徴であるお腹の模様がない

・成長にするにつれ模様が消える(ディフューズ)


 この三点が特徴なのだとか。

 つまり、「ブラッドレッド」の蛇は、成長するにつれて模様がなくなり、真っ赤な、それこそ名前の通り血のように赤一色の蛇になるということですな!

 

 で、その「ブラッドレッド」に「アルビノ」をかけるとどうなるのか。

 黒色素が欠乏することにより、よりクリアな、明るいオレンジにも似た朱色の蛇に育つ、と。

 

 

 

 

 まるが探してたのってこの子じゃない!!!!?????

 

 

 

 

 イベント会場でお店の方に名刺をもらっていたもので、速攻連絡せしまる。

 そしたらなんと、奇跡的にその子はまだ売れ残っていまして!


 もうこれ運命じゃない??? 

 君、まるんちに来る運命だったんじゃない???

 

 と、大興奮したわけですが。

 なんと、このお店の方。

 

 

 

 

 

 

 もう大阪に帰ってらっしゃった。

 

 

 

 

 

 

 イベントのために遠路はるばる東京まで来てらっしゃったんですね……?

 

 ここでいったん諦めるしかないかとテンションの下がったまるだったのですが、そのお店の方がとても良い方で。

 イベント会場で実物の子を見た上で、欲しいとおっしゃるなら通販でも大丈夫ですよ、と言ってくださったわけなのです。

 

 季節は初夏。

 外の自然気温で蛇に深刻なダメージを与える可能性は少ない。

 そして、夜の最終で発送すれば、次の日の午前中にはまる宅に到着する距離。

 

 これはやるか……?

 と、悩んだ結果、お店の方ともろもろの日取りやタイミングを調整して通販をしていただくことにしました。

 

 まる、初めての蛇通販です。

 

 万全を期すために様子を見て、体調を整えてからの発送ということにはなっていましたが、生き物に「絶対」はありません。

 また、この子自体がまだ生後約三か月、ということもあり死着保障(返金)もできないとのこと。


 ぐぬぬ。

 

 もちろんお金がもったいない、ということもありますが、何より死着の可能性があるのならばまるが諦めて大阪の地で素敵な飼い主との出会いを待った方がその子にとっても良いはず。


「…………死着の可能性はどれくらいあります?」

「この季節の気温で、一晩だけなので可能性は限りなく低いです。でも、絶対大丈夫とは言えないので……」

「ほぼほぼ無事に届くと思います?」

「何事もなければ無事に届くはずです」


 お店の方としても、不慮の事故というのはどうしてもありえることだという前提ではありましたが、おそらく問題ないだろうとの判断。

 そういったことをもろもろ確認した上で、最終的に蛇の様子を見て送っていただくことにしました。


 蛇の体調を見る上で一番大事なのは餌食いであるので、少なくともその子の次の給餌タイミングで様子を見て。

 また、餌を食べてすぐだと環境の変化で吐き戻して弱ってしまう可能性もあるので、餌を食べてから2、3日過ぎたところで作戦を実行することにしました。

 

 お店の方が本当に親切で、それまでの間、餌を食べました、と写真を送ってくださったり、まるの質問にもいろいろ答えてくださりました。

 

 基本的にまるが聞いたのは、


・餌食いは良いか

・生後何か月ぐらいか

・最後に餌を食べたのはいつか

・わかれば性別

・餌のマウスのサイズ

・最後に脱皮したのはいつか


 等になります。

 蛇を買うときには、この辺を聞いておくと、お迎えした後に給餌のタイミングがはかりやすくなるかと思われまする。

 

 なのでまるも、黒紅をお迎えして以来手帳にどの子がいつどのサイズの餌を食べ、どのタイミングで脱皮をしたのかなどを全部メモるようにしています。

 

 そうして、六月の某日夜。

 お店の方から発送しました、との連絡を受けて。

 次の日まではらはらどきどきとお部屋待機するまる。

 もうすでに「みかん」と名前をつけるつもりではいたので、その子のことで相談していた友人とともに箱を開けるまで生きているか死んでいるかわからないことから

 

 シュレディンガーおみかん

 

 と呼びつつ待つことウン時間。

 翌日のぎりぎり午前中、というような時間におみかん到着!!

 ドキドキしながら開けた箱の中、お惣菜パックの中のおみかんはおどおどにょろにょろしておりました。

 

 

 おみかん生きてた!!!!!!!

 

 

 そうして、シュレディンガーおみかんは無事にお迎えされたのでした。



挿絵(By みてみん)



 小さい。

 シュレディンガーおみかん小さい。

 

 これはケージをおそうじの際、キッチンペーパーの芯の中にたてこもっていたところをズサーッと掌に出したときの写真です。

 

 そう。

 このおみかん。

 まだ小さいからなのか、非常に臆病。

 同じコーンスネークながら、まるんちに来た当初からわりとのんきににょろにょろしまくっていたさくらもちさんとは大いに異なる。

 

 基本的に動かない。

 水入れの裏に隠れているか、キッチンペーパーの芯の中にいるかの二択。

 

 さくらもちも黒紅やうどんに比べたらじっとしている時間が多いのですが、それでも一日のうちに何度か「にょろにょろタイム」がありまして。

 三十分から一時間程度、ケージ内をにょろにょろ動きまわり、うごうごする時間帯、というのがあるのです。


 それがおみかんにはない。

 

 大丈夫?

 おみかん生きてる?

 

 そう聞きたくなるぐらい、動かない。

 微妙に寝相、というかとぐろの角度が変わっているので、一応生きているんだな、ということはわかるから良いのですが。

 

 同じコーンスネークでも、ずいぶんと性格が違うのだなあ、と思いつつ、今日もまるは水入れの裏からかすかに見えるおみかんのおなかを眺めています。

 

 

 

挿絵(By みてみん)



ここまでお読みいただき、ありがとうございます。

PT、感想、お気に入り、励みになっています!


感想で結構蛇を好きな方がいて、ひゃっふう!となっています。

これでまるんちのにょろにょろ全員の紹介が済んだので。

次はあれですね。

ずっとやりたかったお前らもうちょっと上手に食べられないの編にいきたいと思います!

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