冒険の始まり
「まいどありー。」
そう定員に言われて外に出たのはまだ少年といえるほどの男だった。
何を買ったかというと・・・
・錆びた剣(3斎)
・薬草×20(5斎×20=100椎)
・指貫グローブ(10斎)
・眼帯(10斎)
・お菓子(50斎)
・その他(10椎)
と、こんなものだ。
ついでに言うと、〔斎〕、〔椎〕ははお金の単位で、
100斎=1椎、100椎=1彗、100彗=1聖となっている。
ん?指貫グローブ?はめてるよ。もちろん!
眼帯?保険だよ、保険。
目を怪我した時に邪眼が復活して・・・じゃなくてそれを隠すためにね。
そうしないと、封印が・・・・・・とかじゃないんだよ。
お菓子?いや、お菓子は50斎までだよ。僕が決めた。
その他?いや・・・あれだよ、あれ。ははは。
てな感じで脳内で一人会議をやりながら、目的地に向かって歩く。
永遠と同じようなことを続けていると、やっと目的地が見えてきた。
そう、僕の目的地は、この町の外だ。
僕は町を出るために町の入り口にいる騎士に話しかける。
「あの、町の外出たいんですけど。」
「わかりました。名前と職業を言ってください。」
「我が名は白竜王。職業は我が城を防御することだ!」
「えっと、ほわいとどらごんおーの職業って、あれ?名前検索でもうヒット数が0なんですけど。」
騎士が手元の携帯端末の結果を見て聞いてきた。
「ふっ!あたりまえであろう。我が真名は我の親族と配偶者と友達かっこ親友かっことじと役人にしか教えん。」
「意外と多いですね。あ、でも、出るなら教えてもらわないと通すことができないんですけど。」
「流白兎です。」
「ながれはくとっと、ありました。流白兎さん。15歳。お、卒業している学校この町で1番良い学校じゃないですか。職業は、えっと・・・無職?」
「いや城の―」
「いや、それってまさか自宅警備じゃないですよね・・・。」
騎士が半眼で聞いてくる。
「・・・そうとも言う。」
「まあ、いいですけど。なんで外に?」
「いや、そろそろ頑張らないとだめかな・・・と。」
「そうですか。頑張ってください。」
「はい。そろそろひも生活もやめととかないと収拾、じゃなくて生活的にやばいなと思ってですね。」
「・・・はあ。」
騎士の流を見る目はかなり冷たかった。
「まあ、行ってきます。」
こうして、流白兎は騎士の冷たい視線に見送られ冒険が始まった。
この世界はいろんな生物が生きている。
人の敵となっている魔物。
魔物は無視の虫に小さいものから島似なれるくらいの大きなものまでさまざまだ。
ほかには神や天使もいる。
頭の中じゃないぞ。時々地上に権限しては人の力になったりする。
基本、こいつらは天上界と呼ばれる空にあるといわれている世界にいるらしい。
後は、悪魔もいる。
こいつらは魔物とはまた別なのだ。
魔物の種類に悪魔族はいるが、この悪魔とは強さが違う。
通常の悪魔は神とほぼ変わらないほどの力を持っていて、簡単に町を消せるほどだ。
そして、動物。
食物連鎖としては人間は例外として、最下層だ。
人間はこの世界で、魔物、時には神や天使、悪魔と戦うものだ。
この戦いは果てが見えないほどだ。
神や天使、悪魔は殺してもある一定の状況下で復活可能らしい。
まあ、これは冒険者が死んでも魔法や教会で復活できるから納得できる。
それに加え、人間はいわずもがなだが、神や天使、悪魔も増えるのだ。
そのおかげで、戦うものが増える一方で減らず。
世界がぢっていの速さで広がっているから今は、困ってないが広がってなかったらすでに領地問題で人間同士で戦いになっていただろう。
まあ、今もないことはないが。
そんなことを考えているうちに目の前にスライムが現れた。
「3匹か。」
この世界では体長十メイル(10メートル)以下の魔物は匹、それよりも大きいと頭、さらに大きくなると体となる。
流はさっき買った錆びた剣を抜き、戦闘態勢をとった。
防具は指貫グローブに、普段から来ているごくごく一般的な服だ。
スライムが襲い掛かってきた。
流はスライムの頭上にある体力バーを見た。
次に、自分の体力、気力、魔力、それに加えステータス画面も開き攻撃力、防御力、俊敏力、気力攻撃、気力防御、魔法攻撃、魔法防御、 運もざっと目を流し。
スライムが目前まで迫ってきている。
そこで流がとった行動は逃げるだ。
ステータスがいいだけにらくらくと逃げられる。
スライムから逃げて、また歩いていると次は天使とあった。
「こんにちは。」
「あ、はい。こんにちは。」
流が挨拶すると、あちらもあわてて返してくれた。
そして、そのまま歩いていこうとして肩をつかまれる。
「ちょ、、どこ行くんですか。せっかく会ったんですから戦いましょうよ。」
いつも思う、なぜこいつらは挨拶するように戦闘をしようとするんだろうか?
しかし、絡まれてしまったものはしようがない。
いっちょ、やってやるか。
「すいません。急いでるもので。また、後日、ではだめでしょうか?」
ぺこぺこ頭を下げて謝り、真剣だが、庇護欲をそそるような目をして、下手に出て伺う。
「え、そうなんですか。こちらこそそんなときに呼び止めてしまいすいません。」
「いえいえ。お声掛けいただいてうれしかったです。」
「そ、そうですか。」
若干照れる天使。
「はい。では、これで失礼します。」
そういって頭を下げ、さも急いでいるかのようにそこから離れる流。
これぞ、奥義《逃げる改》。
奥義で、天使から逃げた流はまたゆっくりと歩いていた。
「本当、何で世の中の生き物はあんなに戦いたいんだ?」
そんな独り言をつぶやいた直後目の前に町が見えてきた。
「お、ついについたか。」
これまた、入り口にいた騎士に名前と職業を言い中に入った。
「今日はひとまずここで泊まるか。」
流は、まず今日泊まる宿を決めることにした。
ちょうどよく、宿の看板が見えた。
入ると、そこそこきれいな内装だった。
「1泊で。」
「あいよ。50斎だよ。」
宿のおばさんにそういわれ、思い出した。
・・・金がない。
そう、この世界人間など生き物を倒すと経験地とともにお金が手に入るのだ。
冒険者がなぜ戦いたがるのか、それは経験地を上げ強くなりたいというのとともに、お金を稼ぐためなのだ。
流はお金がないことをいい。おばさんに謝って、店を出た。
「さて、どうするか。最悪野宿だな。いや、最悪というかほとんどの確立で野宿だ。」
そんなことを愚痴っていると、近くの暗くて狭い路地から声が聞こえてきた。
「なあ、俺たちと遊ぼうぜ。俺良い店知ってるんだよ。」
「あ、あの、すいません。私・・・。」
女の子が3人組の男たちに囲まれていた。
3人の男は剣を腰に下げ、軽装をしているそれに雰囲気からして傭兵だろう。
問題の女の子はうつむきがちで、おどおどしている。
あれでは、男たちの格好の獲物だろ。
流は内心そういいながらも、見て見ぬふりをする。
しようとしたのだが、女の子と目が合ってしまった。
そこには、助けてほしいと聞こえてくるようだった。
ここは交渉してみるか。
流も目で訴えた。
【僕今日の宿がないんだけど、それを提供してくれるなら助けてやっても良い。】
【わかりました。】
訴えかけるようにそう言い返してきた。目で。
【いいだろう。】
そう言い返すと、流は路地に入っていった。
男たちはすぐに俺に気づきこちらを向く。
「あぁん?なんだ。ガキは家に帰って寝てろ。」
そういって、手をしっしと振ってきた。
「そこの子困ってるじゃん。解放してあげたら。」
「うぜえガキだな。そういう偽善いらねぇんだよ。」
そういって男が殴りかかってくる。
俺はそれをしゃがむことでよけて、腕を引きいっきに伸ばし男を殴った。
男は吹っ飛んでいき、壁に当たった。
それを見て、ほかの二人は怖気づき、流に殴りかかってきた男を抱えて逃げてった。
それを見送っていると後ろから声が聞こえた。
「あ、あの、助けていただきありがとうございます。」
「それで、宿の話なんだけど。」
そういうと、女の子は首をかしげた。
伝わってなかったようだ。
「僕君を助ける前に視線で聞いたんだよ。助けてやるから宿を提供しろって。」
「え・・・。なんかすごい真剣に見つめていると思ったら、そんなこと訴えてたんですか。」
「ああ。」
「・・・まあ、助けてもらったので宿くらい提供しますけど。」
「助かる。」
「でも、私もまだあまり魔物を倒せないのでそんなお金ありませんよ。だから、泊まる宿もそこまで良いとこじゃないですが。」
「野宿よりはましだな。」
「・・・お金ないんですか。」
「ああ、ない。」
「そんなに強いのに?」
「ああ、ない。」
「・・・何でですか?もしかして、ギャンブルで全部すったとか!」
「いや、この町にギャンブルするとこないだろ。」
「そ、それじゃあ、もしかしてお、女遊びですか?」
「どこにあるかもわからん。」
「じゃあ、何でないんですか?」
疑うような目で女の子が見てきた。
「何でもなにも、まず戦ってないんだから貯まるはずないだろ。」
「・・・宿探してるってことはここの出身の人じゃないですよね?」
「そうだけど。」
「・・・ここまでどうやってきたんですか?」
「歩いてきたけど。」
「魔物とは会わなかったんですか?」
「そうだね。気配消してたから、最初にスライムに会ったっきり魔物とは会ってないね。」
「・・・まあ、わかりました。」
そういって、歩き出した女の子についていく。
「ところで、名前はなんていうんですか?」
「良くぞ聞いてくれた。我が名は白竜王。」
「本当の名前は?」
「・・・お前、情緒がわかってないな。」
流がやれやれといった風にリアクションをする。
「はあ、だって疲れるだけですから。近くににたようなやつがいたから、わかるんですよ。それに、あなたはそういう役を演じながら自分を隠している。」
「・・・なかなか、鋭いな。」
「これくらいできないと、ってそれよりあなたの本当の名前はなんていうんですか?」
「僕の名前は流白兎。」
「白兎ですか。ちなみに何歳ですか?」
「15だ。」
「15ですか。・・・え!?15歳!」
「いつものことなんだが、傷つくな・・・。」
流は若干光が消えた目でそういった。
「すいません。13くらいだとと思っていたので、びっくりしちゃいました。」
「それで、君の名前は?」
「そうですね。私はシルバー。14歳です。気安くシルでいいですよ。」
「わかった。それでシル、宿にはいつ着くんだ?」
「もうそろそろ着くはずなんですけど・・・、あ、ありました。あれです。」
そういって、シルがさしたのは宿というより廃墟といたほうが正しいような建物だった。
「・・・なあ、シルよ。」
「言わないでください。」
ああ、シルもわかってはいたんだ。
「だから言ったじゃないですか。お金がないって。」
「それにしても・・・これはなぁ。」
そういって、また廃墟を見てみる。
「なあ、ひとつ提案があるんだが。」
「なんですか?」
「ちょっと、稼がない?」
俺は最高のスマイルで言った。
「言いましたよね。私、まだスライム1匹だけで出たときしか倒せないんですよ。」
「いや、スライムのことは初耳なんだが・・・。」
「そうでしたか?まあ、それで、どうやって稼ぐんですか?」
「そうだな・・・僕がまず敵をひきつける。」
流が真剣に手振りなどを使いながら説明をすると、シルも真剣な顔で頷いてくる。
「次に、俺が逃げる。」
「うん?」
「そして、シルが倒す。」
「・・・それじゃあ、私が一人で戦うのと変わんないじゃないですか。」
「いや、奇襲を受けることがない。」
「はあ、白兎も戦ってくださいよ。」
結局、シルが倒して、俺が状況を見てサポートに入るということになった。
町を出て少し歩くと魔物とであった。
相手はオークだ。
「ぶふ。ぶひぃ。」
はっきり言って、2足歩行をする豚だ。
「んで、シル。どうすんだ?敵オークだぞ。」
「1頭なら大丈夫です。」
「んじゃ、がんば。」
「はい。」
そういってオークに向かっていくシル。
「・・・遅い。」
かなりのものなのだ。
オークとの距離は普通に歩けば7歩程度の距離。
これぐらいなら、3歩で飛び込んできるぐらいが最低ランクだと、学校で教わった。
そこをシルは恐る恐るといった感じで進んでいる。
やっと、シルの攻撃範囲内に入ったようだ。
「や~~~。」
「えぇ・・・。」
シルははふらふらとしながら剣をオークに振り下ろした。
オークも予想外の攻撃のため反応が遅れる。
だが、力を振り絞って後ろに回避する。
そして、シルは剣の重さにつられて前に倒れる。
しかし剣はオーク出っ張った腹に生えてる毛をなでるだけだった。
「さて、サポートの出番かな。」
そういって、歩き出そうとするとオークがはじけて光の粒になって消えた。
最後の最後でシルは剣を離したようだ。
その剣が、刺さり倒れたのだろう。
流はそう結論し、地面に倒れているシルのとこへ向かった。
「おい。大丈夫か?」
「いえ、すごく痛いです。」
そういって、立ち上がるシル。
「でも、一撃でオーク倒すなんてすごいじゃん。何で、スライムも1匹じゃないと倒せないの?」
「それはですね、この剣が強いからです。」
「そうなんだ。どれくらい強いの?」
「攻撃力5万です。」
「何でそんなもん持ってるんだ?」
ちなみに言うと、流の錆びた剣は攻撃力2だ。
「理由ですか・・・。少し長くなりますよ。」
「そうか。ならいい。」
「あれは3ヶ月前です。」
聞いてないようだった。
「私にある勇者が結婚を申し込んできました。しかし、私はその人の容姿、性格、人間性、果ては存在が苦手でした。」
「完全否定だな。」
「そこで私は言ったのです。」
俺は意外と短かった話に耳を傾ける。
「私と結婚したかったら、この近くにある洞窟の奥深くにある幻の指輪を持ってきなさい、と。」
「それで、その指輪は実在するのか?」
「いえ、ありません。今は。」
「今は?」
「はい。その指輪は昔私の祖父が祖母に結婚を申し込むときにとってきてしまったからです。これを知っているのは今なき祖父と祖母だけです。」
「まあ、ようは騙したと。」
「そうともいえます。」
悪びれのない顔で言うシル。
「そうともって言うか、そうしかいえないと思うんだが。」
「まあ、そんな些細なことはおいといて、本題に入ります。」
些細なことですまされたその勇者にはお気の毒だなっと少し同情した。
「その後、勇者のためにパーティーが開かれました。勇者はその席でかなり酔っ払ったらしくその日は洞窟にいかずに、休まれました。そして、前々から家出をしたかった私はいい機会だと思い、勇者の靴と剣を買い取りこうして外に出てきたのです。」
「ちょっといい?」
「はい。」
「鎧は?」
「あの勇者がきていたものなんて着たくないですよ。靴は自分のが歩きづらかったので仕方なくです。しかも、この靴は二つ特殊な効果があって、絶対敵から逃げれるし、知っている町などにワープできるんです。」
力説するシル。
「そうか。それは便利だな。それで、なんでそんないいものを勇者は売ってくれたんだ?」
「・・・そうですね。日ごろの行いがいいからじゃないでしょうか?」
「そうか、それでどうやって買ったんだ?」
「それはですね、こう勇者の枕元に2聖くらいおいておこうと思ったんですが、そんなにおくと起きてしまわれると思ったので、5斎おいてこの二つを貰い受けました。」
「それ買ったっていえないだろ。」
さっきシルが些細といったが本当にあんな冗談は些細なことだった。
「そうともいえます。」
「いや、そうしかいえないから。」
「まあ結論を言うと、私はステータスが異常に低いんで攻撃を受けると一撃で死んじゃいますので単体が限界ということです。」
「話が突飛過ぎて、何のことか忘れてたよ。」
シルの結論を聞いて、何で複数の敵と戦えないのか聞いたことを思い出した。
「でも、ステータスが低いってスライムの一撃くらいもちこたえれるだろ。」
「無理です。」
そういってシルは俺にステータスを見せてきた。
体力2
気力1
魔力4
攻撃力1
防御力1
・
・
・
その後も1や2が続き、運が最大の5だ。
「すごい低い・・・。」
「なので、今転んだせいで1ダメージくらったのでまた転ぶと死にます。」
ぶっちゃけた、シルに薬草を与え一息つく。
「まあ、サポートはしてやるから頑張れ。」
「はい。」
そのあと、流の助けもありやっとお金が貯まった。
帰り道シルが明るい顔で言ってきた。
「ありがとうございます。おかげでレベルが3も上がりました。それにしても強いですね。そんな剣で敵を倒すなんて。」
「いや、そうでもない。」
流は子供のお守りをして疲れた気持ちで町に向かってとぼとぼと歩いた。