従兄様にナイショで作戦会議!
声を揃えた私たちに従兄様は「仲いいじゃねぇか」と勝手に自己完結してしまい、部屋から私と陸斗君を放りだしました。
「陸斗。ちゃんと沙奈のこと送り届けろよ」
「おぅ。お前はもう少し人の話を聞く努力をしろよ」
しっかり釘を刺した従兄様はげっそりした陸斗くんを華麗にスルーして部屋に戻ってしまいました。
可笑しいな。ちっとも私たちの抗議が聞き入れられてない。
というか横暴さに磨きがかかってませんか。
送るもなにもまだ明るいし、ひとりで帰れる距離なんですけど。
陸斗君、いいように使われすぎじゃないですか?
「……帰るか。送ってやる」
「……拒否権は」
「あると思うか?」
ちらりと従兄様が消えた扉を見た陸斗くんに私は反撃する言葉を持ちません。
だってここで意地張って断わって自力で帰ると従兄様に怒られるのは私じゃなくて陸斗くんなんですから。
「ヨロシクオネガイシマス」
「お願いされてやるよ」
ククと笑った陸斗くんはまだ納得がいっていない私の頭をくしゃりと撫でてスタスタと歩きだします。
このまま置いていってくれないかなと思いながら遠ざかる背中をみつめていると、すぐに私がついて来ていない事に気がついて足を止めて振り返ってくれました。くそう。
陸斗くんのバイクに乗って十数分。何故か私はレトロな雰囲気が漂う喫茶店にいます。
カフェじゃなくて喫茶店です。落ち着いた雰囲気が素敵ですぐさま気にいりました。
「現実逃避はそれくらいにして帰って来い」
「あー、このカフェラテ美味しいなー」
「そりゃよかったな」
「うぅ、なんでいきなり婚約!?
アキ兄は何考えてんの!?
私、高校生!陸斗くんだって、……陸斗くんっておいくつ?」
「大学の2回生だな」
「嘘っ!3つ上!?ってっきり1つか2つだと……」
「どういう意味だコラ」
「あはは、でもそれで彼女いないとか……」
「言っとくがお前と違っていない歴=年齢じゃねぇからな。
……なに裏切られたって顔してやがる」
「だって!」
「意思確認しとくぞ。お前は俺と婚約する気はねぇんだな?」
「もちろん。陸斗くんもだよね?」
「あぁ。共同戦線といくか」
「よろしくお願いします」
「当面は明の様子を見つつ、俺たちは会わないようにしてこの話の自然消滅を待つぞ」
「イエッサー!」
それからもしもの時の為に連絡先を交換してしっかり家まで送ってもらいました。
陸斗くんとの作戦会議もといお茶は中々楽しかったです。