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何が欲しい

作者: BBQ
掲載日:2014/02/06

僕には欲しい物があります。


ですが欲しい物があり過ぎて何が一番欲しい物がわかりません。


だからあっちにふらふらこっちにふらふらと目的地もわからずに歩き回ります。


山を越え、川を越え、海を越え、やがて僕は五十円玉を見つける事が出来ました。


これで僕のお腹を満たす事が出来る。そう思いました。


五十円をポケットに入れ僕は駄菓子屋を目指すのです。


山を越え、川を越え、海を超え、やがて大きな橋を見つけました。


その橋の上にぽつりと一人立っていました。


近づいてみるとそれは女の人でした。よく見ると女の人は泣いているみたいです。


僕は大丈夫ですか?とたずねました。そしたら女の人はこう言うのです。


「お~いおいおい、お~いおいおい、大丈夫な事なんてあるもんかい。お金が無くてもう身を投げるしか道がない」


僕は世の中不景気だからなと思い、ポケットから五十円玉を取り出し、それを女の人に渡しました。


「ありがとう。ありがとう。これでお腹いっぱい食べられる」


女の人はまた泣き出し、何処かへ走り去って行きました。


やがて女の人が見えなくなると僕はまた歩き回り始めました。


また五十円を見つけよう。僕はそう思いました。


山を越え、川を越え、海を越え、そうしていたら砂浜に人影を見つけました。


近づいてみると、それは男の人でした。もっと良くみてみるとそれは震えている男の人でした。


どうしたの?


僕はそうたずねました。


「がくがくぶるぶる、がくがくぶるぶる、どうしたもこうしたも。泳いでいたら服が飛ばされて、そりゃあもう寒いのなんの。このままじゃ凍え死んでしまいそうで」


この寒い季節によくやるものだ。僕はそう思いました。


身を縮め震えている男の人を見ていたらなんだか可哀想に見えたので、僕は着ていた物を全てあげました。


「あったけぇ、あったけぇ、これでやっと動き回れる」


男の人は小躍りしながら去って行きました。


やがて男の人が見えなくなると、また僕は歩き始めました。



山を越え、川を越え、海を越え、そうしていると林の中に動く物陰を見つけました。近づいてみるとそれは犬でした。もっと良くみて見るとふらふら、ふらふらと足取りがおぼつかないようでした。


なにをしているの?


僕はそうたずねました。


「あっちにもない。こっちにもない。お猿に目玉を盗まれて、これじゃあ大事に隠してた物も掘り返せない」


僕は世の中物騒だと思い、片方の目玉を上げました。


「これじゃたりん」


犬はそう言うともう一つの目玉も持って行ってしまいました。


僕は歩きだそうとしましたが、前が見えなくて足取りもおぼつかないので歩くに歩けません。


そしたら急に寒くなって来ました。




そうだ、ポケットに五十円が入ってる。これであったかい物でも買おう。僕はそう思いました。


だけども僕はズボンも五十円も持っていません。持っていた物全部あげてしまったのです。


そしたら急に悲しくなって来て、僕は声を出して泣きました。それはもう大きな声で泣きました。


山を越え、川を越え、海を越え、僕の泣き声はどこまでも広がって行きました。


一日経ち、十日経ち、それでも涙は止まりません。


山を越え、川を越え、海を越え、もっと遠くへ。


山を越え、川を越え、海を越え、ずっと遠くに広がって行きました。


もうどれだけ泣いていたのでしょう。


ずっとずっと泣いていてどれだけ時間が経っていたのか検討もつきません。


もう泣くのは止めようと思ったその時です。何かが近づいて来ているようでした。


「泣き声聞いてここに来た。ここ掘れわんわん。ここ掘れわんわん。遂に見つけた。お宝見つけた。いっしょに掘れ掘れ。ここ掘れわんわん。ここ掘れわんわん」


それは犬の声でした。


僕は誘われるがままに犬といっしょに地面を掘りました。


出て来る。出て来る。ざくざくと何かがどっさりと出て来るのです。


「猿から奪った目玉を上げよう。それで見てみろ。お宝見てみろ」


犬に急かされるままにお宝を見ると、あるわあるわの大判小判。金銀財宝ざっくざっく。


わーい、わーい、と喜んでいるとそこに一組の男女がよって来ました。


「泣き声聞いてここに来た。お陰で結婚する事になった。こりゃあめでたい。そりゃめでたい。笑わにゃ損損。一緒に祝おう。そうしよう」


めでたい。めでたい。それはめでたい。僕はそう思いました。よく見るとその男女は僕が服をあげた人と五十円玉を上げた人でした。


二人の幸せそうな顔を見ていたら、ついつい嬉しくなってにっこり笑顔。僕まで幸せな気持ちになりました。


「君のお陰でモデルになれた。帰りの道でスカウトされた。今じゃ売れっ子スーパーモデル。お礼がしたい。そうしたい」


男の人が言いました。


「あなたのお陰で。金持ちなれた。宝くじで一等当たった。今じゃうはうは贅沢三昧。お礼がしたい。そうしたい」


女の人が言いました。


僕は二人の気持ちが嬉しくてまた涙がこぼれ落ちました。


「泣いちゃいけない。笑うが良い良い」


女の人が両手いっぱいの札束をくれました。


「泣いてはいけない。笑うが良い良い」


男の人が両手いっぱいの宝石をくれました。


ほっくりほくほく。僕は笑顔になりました。


「ここ掘れわんわん、ここ掘れわんわん」


誘われるままに皆で地面を掘りました。


出るわ出るわの大判小判。金銀財宝ざっくざく。


皆で騒ごう。皆で祝おう。


僕はその後、立派なお城を建て、二人と一匹を家来にし、一生幸せに暮らしました。




終わり

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― 新着の感想 ―
[一言] ずいぶん前に評価と感想を入れさせてもらいました。 久しぶりの投稿でしたね。 以前に比べて文書が落ち着いた感じがします。安定感が出てきました。 また、活動を再開されたのなら、楽しみです。 “…
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