王様と面会しちゃった
第六話目~
またしても説明回……。しかも次回もそうなりそうな予感……。それでも楽しんでいただけるように努力しまする。そして今回は少しシリアスかも?
セシア姫について行くと大きな扉の前に着いた。扉の端には鎧姿の兵士が立っている。
「勇者様をお連れしました。通してください」
「ハッ!お疲れ様です、姫様」
おぉ、敬礼とか初めて見たよ。鎧姿で腰に剣さしてるとかさすが剣と魔法のファンタジー世界。やっぱりチートがあるから魔法と剣両方使ってみてぇなー。でも剣術とか俺知らねぇぞ?ま、今はいいか。そんなことを考えていると、扉が開き俺たちはその中に入った。
「よく来たな勇者よ」
あれ?中ボス?そんなことを思いながら声のした方に視線を向けてみると、肥満体で王冠をかぶったおっさんが王座に座っていた。うわ~いかにも王様じゃん。でもセシア姫とは似ても似つかないぞ?とりあえず俺はなんて言えばいいんだ?え!今になってパニクってきたんですけど⁉そんな風に焦っているとセシア姫が
「お父様、勇者様はこちらに来たばかりなので、こちらでの礼儀はまだお分かりになられていないのでは?」
とオロオロしている俺を見兼ねてかそんなことを言ってくれた。
「おぉ、そうか。ならあまり気にせずにしているが良い」
「あ、ありがとうございます」
そのおかげか一応話すことはできた。いや、本当に助かった。さすが俺の心のマイエンジェルセシア姫。いいこすぎる!これはもう俺の嫁に……こんなこと目の前の王様にばれたら大変だからここまでしにとこう。いきなり牢屋は嫌なんです!横でニコニコイケメン野郎バウルが、片膝をつけてしゃがみこんでいたので俺もその格好を真似してしゃがんだ。
「勇者よ、お主の名前は何というんじゃ?」
「はい、ヤマト・アオキといいます、カルミラ王」
「おぉ、もうわしの名前を聞いておるのか。まぁ改めて紹介するかの。わしはラネル・カルミラ。ここの王をやっとる。それでヤマトよ、お主は何故ここに呼ばれたのか分かっておるのか?」
「いえ、それはまだ。しかし俺にしかできないことだと思っています」
本当は知ってるんですけどね、魔族のこと。でも知ってたら不自然だしここは知らないフリしねーと。
「実はの魔族の侵攻がかなりの早さで進んでおるのじゃ」
「魔族、ですか?」
あくまで無知なキャラ無知なキャラ……。
「そう、魔族とはこの世界に住むわしら人間以外の種族じゃ。今から500年前、人間と魔族はまだ仲が良かった。しかし、魔族が人間を大量虐殺した事件が起きたんじゃ。」
人間が大量虐殺された?そんなことが?その話になった瞬間周りのいた人たちの表情が苦いものとなった。
「この事件から人間と魔族は対立し合う関係になり、長きに渡り戦争が続いたんじゃ。じゃが、どちらも人員の消費が激しいためか自然に戦争はおさまっていったんじゃ。しかし20年前、突如として魔族の攻撃が再び始まり、人間は数を減らしていった。」
いきなり魔族が攻撃を再開しただと?何か不自然だ。
「その時にある神殿で発見された文献に勇者のことが記されていたんじゃ。人間はどうにか召喚できる者を探した。するとなんとワシの娘のセシアがその人物に該当したのじゃよ。そして、お主を呼び出したと言う訳じゃ」
そんなことがあったのか……。そんなに前から戦争があったなんて……。でも、なんで魔族はいきなり襲ってきたんだ?あちらも自分たちの種族が減るのは困るだろう。それにこれで返り討ちにあえば、それは自分たちの種族の絶滅に繋がるはずだ。そんなことが気になり俺はカルミラ王に聞いてみた。
「何故魔族はいきなり襲って来たんですか?あちらも戦争で痛い目にあっているはず……」
「そのことでお主に頼みたいんじゃ」
「頼み、とは?」
「うむ、さっきのお主の質問の答えなんじゃが、3年前魔族が襲ってきたのは魔族を統べる王、魔王が現れたからじゃ」
「ま、魔王⁉」
「そうなんじゃ。魔王はどんな手を使ったのか、魔族たちが戦争時よりも遥かに強くなっていたんじゃ。」
そうか。やっぱり何かあると思ったがまさか魔王がいるとは……。
「もうわしらだけでは太刀打ちできん。勇者、いや、ヤマトよ!どうか!どうかわしたちに力を貸してくれぬか?」
カルミラ王はそう俺にお願いしてきた。
横を見てみるとセシア姫も不安な顔をしながらこちらを見ていた。
俺はセシア姫のそんな顔を見たくなかった。セシア姫には笑顔でいて欲しかった。セシア姫には笑顔が似合うのだ。だから、俺は笑顔で頷きカルミラ王に振り返って
「俺の力でよければ!」
俺はそう宣言した。
というわけでこの世界の歴史について触れてみました。そして、シリアスなヤマトはどうだったでしょうか?気に入っていただけたらなと思います。感想などをお待ちしておりまーす。