美少女買っちゃった
お久しぶりです!皆さん!ヨウブンです!お久しぶりと言っても覚えていただけてるかは分かりませんが(^_^;)
本当に更新をサボっていてすいませんでした。心から謝罪します。何様なんだって話ですよね!
ま、ということで、とりあえずお話をどうぞー……なんか軽い感じですいません。
俺は今さっき見た奴隷店の前にいる。確かここだ。きっとここだ。間違いない。目の前の建物はある程度の大きさがあり、ちょっとした屋敷のようだ。奴隷を扱うならこれぐらいが普通なのか?
……え?早く入れって?なんでずっと前に突っ立ってるかだって?べ、別に見入ってただけだし?ここに来て緊張してきたとか無いし?俺がそんなヘタレなわけ…………。はい、緊張してました。すっごい緊張してました。もうガチガチッス。だが、こんなことではいけない!俺は大きく一歩を踏み出した。
「お、おじゃましまーす……」
そしてどもりながらそうっとドアを開けた。いや、そりゃそうだよ。変われねぇよ。人はそんなすぐに変われねぇよ。お、これめいげんじゃね?もちろん迷う方の。
「いらっしゃいませ。今日はどういったご用件でしょうか? お客様」
そんなことを考えていると、豪華な服を着た肥満体型の中年の男が、ニコニコと笑みを浮かべながら目の前に立っていた。髪の毛は……輝いている。
「え、えーっと、ど、奴隷を見にきたんですけど……」
どうしよう……。緊張が解けない……。
「かしこまりました。では、こちらへ」
そう言われ椅子ある部屋にに案内された。間に机が置いてある。中々に豪華な物なように見える。苦しゅうないぞよ。……俺誰だよ。
「どうぞ、おかけください」
言われたよう椅子に座ると、男も向かい側に腰かけた。
「改めまして、私はこの奴隷店を経営しております、マニフと申します。以後お見知りおきを。失礼ですがお客様、お名前をお聞きしても?」
その男、もといマニフは俺の名前を尋ねてきた。何か品定めしているような目だ。これって普通に答えていいのか?
「は、はい。俺はヤマト・アオキって言います」
考えて答える余裕なんて今の俺には無かった……。ま、まぁ別に大丈夫だろう。大丈夫……だよな?
「おぉ、家名持ちということは貴族の方ですかな?」
「は?貴族?」
は?俺が貴族?なんでだ?
「はい、普通、家名を持っているのは貴族の方か王族の方だけですしね。違うのですか?」
「い、いいえ!何も間違ってませんよ」
家名って、要するに苗字のことか?とりあえず口裏を合わせておくことにしよう。
「やはりそうでしたか。貴族の方に来ていただけるなんて嬉しい限りですよ」
途端にマニフの目の色が変わる。金持ちと勘違いしてるのか?まぁ、今大金持ってるけど。
「ところでアオキ様、今日は奴隷を買いにいらっしゃったんですよね?」
「いや、とりあえず今日は見に来ただけです」
「奴隷の品定めを?」
「……まぁ、そんなところです」
そうなのだ。俺は別にあの子を買いに来たわけではない。少しあの子が気になって話をしたいだけだ。だけど、流石にそれで奴隷店に来るのはおかしいだろうし話を合わせる。繰り返すが決して買いに来たわけではない。だから言っただろ、ロリコンじゃないって。
「どんな奴隷をお探しでしょうか?」
「えぇっと、さっきここの前を通る時に見た白い髪の女の子なんですけど……」
「あ、そういえば今日は入荷の日でしたね」
入荷って……。やっぱり奴隷は商品扱いみたいだ。
「白い髪の女の子……あ、少々お待ちください」
そう言いマニフは席をはずす。そして10分後、例の白い髪の少女を連れて戻ってきた。
「さっきおっしゃっていたのはこの子ですかな?」
「はい、間違いありません」
俺はその少女に視線を移す。髪だけが白いわけじゃなく、光を反射しているように全てが輝いているように見える。しかし、表情はまるでなく、黒い瞳には感情というものが感じられない。でも、それがあっても美少女に変わりはない。うん、可愛い……ハッ!俺はロリコンじゃないからな!
「君の名前はなんて言うんだい?」
怖がらせないように出来るだけ優しく話しかけて見た。
「…………」
しかし、返答なし。あれ?お兄さん泣いちゃうよ?
「これ!お客様が聞かれているだろ!ちゃんと答えなさい!」
その様子を見てマニフは少女を怒鳴りつけている。
「だ、大丈夫ですよ」
心の中は全然大丈夫じゃないけど……。
「申し訳ありません。何分今日入って来たばかりでして教育がまだでしたので……」
教育って……。従順にさせるってことか?
「い、いえ、気にしないでください」
そんなことを話していると、向こうの方からドアが開く音がした。そこには、
「マニフよ、来てやったぞ」
またしても肥満体型の中年の男が立っていた。髪の毛は……あれはきっとカのつく頭部偽造アイテムだろう……。
「これはこれは、オラス様。毎度ありがとうございます」
うむ、とそのオラスとかいうおっさんが返事をする。ていうか、この世界の中年男性の肥満率高すぎだろ……。皆様、食べ過ぎにはご注意を。
「今日はどういったご用件でしょうか?」
マニフは俺の時のように聞いている。
「今日は奴隷の入荷の日というではないか。だからわざわざ視察に………ん?」
マニフと話していたオラスが俺と少女を捉える。そして、俺と少女を交互に見たあといやらしく顔を歪めた。やめろ!俺にそっちの趣味は無い!
「おい、マニフ。あの奴隷はそばにいる男に買われたのか?」
オラスは顔を歪めたままマニフに聞く。そして、何かを理解したのかマニフまで顔を歪める。
「いいえ、彼は奴隷を見にきただけですので」
一回俺の方に振り返ったと思ったら、またオラスの方に向き直る。おい、おっさん同士で見つめ合うな。絵的にアウトだから。
「そうか、見ているだけ、なのか……」
そう言って考えるようなポーズをとる。しかし、何かわざとらしい。すると、
「なら、わしがあの奴隷を買うとするか」
そう俺の方を向いて言ってきやがった。たぶんコイツは常連でよく奴隷を買っているのだろう。マニフに顔を覚えられていたし、奴隷が今日入ることも知っていた。そして、今この場で俺たちのやりとりを見て俺が買い悩んでいるとでも思ったのだろう。それを横取り(実際は買おうとしてないが)しようとしている訳だ。今もオラスは俺の表情を伺っている。気色悪い笑みを浮かべながら。お願いだからやめて耐えられない。
「いつもありがとうございます」
マニフはマニフで俺が居ないかの様に商売をしている。これは商人として当たり前なんだろうが、なんかいけ好かない。
「では、アオキ様。少々お待ちください」
嫌味ったらしい笑みを浮かべながらオラスの方に近づいて行くマニフ。何なの?その笑い、おっさんの間で流行ってんの?
「オラス様。あの奴隷のお値段の方は金貨3枚とさせていただきます」
「ほう、随分と高いんだな」
セシアの話ではこの世界で一ヶ月過ごすのに平均純銀貨2~3枚が必要らしい。元の世界に比べてかなり安いが、まぁそこは異世界なので……。つまり、あの少女は十ヶ月の生活分の価値があるということだ。確かに高い。
「幼い年頃ですが、容姿が優れていますし、魔法も使えますので」
「ほう、魔法を使えるのか。まぁわしには関係ないがな」
あの子、魔法が使えるのか。そこが評価されてるってことは、それなりの魔法を使えるのだろうか?
「教育が出来ておらず申し訳ありませんが……」
「気にするな。それに……その方が楽しみが増えるからな」
今度は少女に向かって笑みを向ける。その楽しみとやらが俺の最悪な想像で無いことを祈りたい………。
「オラス様。では、こちらの部屋で手続きをーー」
「いや、ここでいい」
「え?」
他の部屋に移ろうとしたマニフの言葉をオラスが遮った。
「ここでよろしいのですか?」
「かまわん。さっさとしろ」
なんでここでやるんだ?マニフも驚いてるし。まさか俺に見せつけたいのか?
「分かりました。少々お待ちください」
そう言って少女をオラスの前に連れてくる。
「ほら、この方がお前のご主人様だ。挨拶しろ」
「…………」
やはり少女は反応しない。
「何度言えば分かるんだ!早く挨拶しろ!」
「マニフよ、気にするな。後はこっちでやる」
「申し訳ありません。では、少々お待ちください」
そう言って俺達の前から消えるマニフと少女。そして数分後、帰ってきた少女は【隷属の首輪】を付けられていた。
「おぉ!中々似合ってるではないか!」
その姿を見たオラスは喜びの声を上げた。なんで首輪で興奮してんだこのおっさん……。
「では、始めましょうか」
そして、少女の首に付けられている【隷属の首輪】にオラスの手が近づいて行く。確か【隷属の首輪】に魔力を流し込めば完了するんだっけ?
そう曖昧な記憶をたどりながらその光景を見た時、唐突に強い喪失感が俺を襲った。何か無くなるような、そんな感覚が。しかし、それだけだった。何故見ず知らずの少女が原因でこんなものに襲われるのかは分からない。でも、再び視線を戻すと、
「待て!!」
俺は無意識の内に静止の声を上げていた。オラスにマニフ、そして少女までもが、驚いた表情でこちらに振り向く。
正直俺も驚いている。でも、そんなことはどうでもいい。俺は少女が振り向いた時に見てしまったのだ。アレを見たからにら引き下がれない。あの何も感じられなかった少女の瞳が、
ーー恐怖と悲しみに揺れていた
それを見ただけで色々な疑問は吹っ飛んで、いてもたってもいられずに俺は叫んでいた。
「その子は俺が貰う!」
「な、何を言っているんだ!?この奴隷はもうわしが買った!今更何を言っても遅い!」
確かにそうだろう。欲しいものが目の前で横取りされるなんて誰が納得出来るか。でも、それはお互い様だ。俺はこいつに横取り(のようなこと)をされた。今はその仕返しだ。だから、
「俺は金貨4枚出す。だから、俺がその子を貰う」
「な、何!?」
俺の発言にオラスはまたも驚く。しかし、オラスも簡単には引き下がらない。
「な、ならわしは金貨5枚、5枚だ!だからこれはわしのものだ!」
……今こいつあの子のことをこれって言いやがったな。やっぱりこんな奴にはあの子は渡せない!
「なら俺はその二倍出す!これで文句は無いだろう!」
「ぐっ……!」
さすがに金持ちでも純金貨を出すのは惜しまれるらしい。
「もういい!今日は帰る!」
そう言って勢いよく店を出ていった。ふぅ、なんとか負かせたか。さて、後は、
「おい、さっさとやるぞ」
俺はマニフにもムカついていた。もう敬語を使う必要は無いだろう。オラスには最初からタメ口だったが……。そこはまぁ……ねぇ?
「はい、ではこちらに」
全く怯んだ様子の無いマニフにイラっときたが、とっととここを出たいので気にしない。そこまで思って少女の前に立つ。
「俺はヤマト・アオキって言うんだ。これからキミを買うけど、絶対にキミの嫌がることしない、絶対に、だ。だから、もっと元気なキミを見せてくれないか?」
「…………」
やっぱり効果なし。表情を微動だにしない少女。この問題はこれから解決していこう。
「では、アオキ様。首輪に魔力を」
「あぁ、分かってる」
簡単な受け答えをして俺は【隷属の首輪】に手を伸ばした。嫌がられて避けられたりしたらどうしよう……。いや、実際嫌だろうけど。さすがにそんなことは……無いよな?
しかし、俺の心配は杞憂だったようで少女は避けなかった。よかった、ここで避けられてたら泣いてしまいそうだった……俺は情けなくない!……はず。
そして、俺は【隷属の首輪】に魔力を通す。一瞬光を放つ。これで完了か?
「これで終了でございます。当店の品をご購入ありがとうございました。それではお会計の方ですがーー」
これが仕事と言わんばかりに淡々と話を進めていく。まぁこれが仕事なんですけどね。もうなんかすごいよこの人……。
「ーーアオキ様のご申告で純金貨1枚ということでしたが、流石に私もそれは気が引けます」
もしかして値下げでもしてくるのか?意外といいところがあーー
「なので金貨9枚とさせていただきます」
なんだよ!話の流れ的にそこは元の金額にしてくれないのかよ!
「はぁ……分かったよ。元々俺が言い出したことだしな。少しでも安くしてくれてありがとう」
軽い皮肉を込めて純金貨を渡す。そして金貨1枚が返ってきた。俺の純金貨……。
「誠にありがとうございました。またのご来店をお待ちしております」
深々と頭を下げるマニフ。もう誰が来るかこんなとこ!
「機会があればな」
そんなことは言えるはずもなく、とりあえず言葉を濁しておく。そこで、少し放ったらかしになっていた少女に向き直る。
「これからよろしくな、えーっと……」
そういえばこの子の名前知らない……。
「…………ル」
「え?」
あれ?もしかして、今この子喋った?
「………ミル」
「ミル?キミはミルって名前なのか?」
こくりと小さく頷くミル。何この可愛い生き物。初めて喋ってくれたことの感動と重なって今すぐ抱きしめ………ハッ!違う!今のは違う!俺はロリコンじゃないから!
「そうか、ミルって言うのか。それじゃあ、これからよろしくな!ミル!」
「…………」
……お兄さん本当に泣いちゃうよ?
どうでしたか?ほぼ半年ぶりの主人公たちは?
ということで、とうとう主人公は幼女に手を出してしまいましたね。変な意味じゃないですよー……たぶん。
と、とりあえず再開ということで。次はいつになるか分かりませんが、必ず更新したいと思います。なので、また読んでいただければ嬉しい限りです。
ではー( ´ ▽ ` )ノ