死に損ない
まだ産まれたばかりのとき。大病を患って死にかけたことがある。
小学生のとき。車に撥ねられて、打ちどころが悪ければ危なかった。
中学生のとき。海で足がつってしまい、ライフセーバーの人があと少し遅れたら手遅れになってしまうところだった。
高校生のときも。
大学生のときも。
そして大人になってからも。
毎年のように、なにかしら死ぬような目に遭ってきた。
そんなことがあったから自分はとても運が良いのだろうと思っていた。
そしていま。
末期のガンで苦しみながら、死ぬような思いをしながら私は一つの恐怖に耐えている。
ひょっとしたら私はまた死ねないのではないだろうか?






