嘘溜まり
「その嘘、溜まるぜ」
男は私の嘘を見破った。学校に行くのが嫌で行けなくなって、お金が欲しくて手を出した売春行為。私は未成年。
「何が、嘘なんてついてないけど?」
「てめえ、Dカップつったな?」
私は頷いた。
「Fはあるんじゃねえか」
「は?」
「だからよ、Fカップはあるんじゃないかって聞いてるんだよ!」
変な奴と出会った、出会ってしまった。これから私はこいつに金を貰って。
「あるかも知んないわね、でもそれがどうしたのよ。大きければ大きいほどいいんだから、おっぱいなんて」
「そうだな、だけど俺はてめえに金、払えねえよ」
「ほんと何、時間の無駄なんだけど」
「皆、目を逸らしてるんだろうな。だってよ、若い女の子と一夜明ける、ってより法外な年齢の女の子に手を出しても黙認し合えるって、タカくくってんだろうな」
なんでこの人、私はそう思ったのを顔に出さないように腕を組んだ。
「自分を守れねえやつと夜は過ごせねえな」
「何よ、あんたに何が……」
「俺は嘘が溜まる音が聞こえるんだ。何が嘘なのかは知らねえが、てめえは未成年なんだろうな」
私は何も言い返せなかった。
「嘘は溢れ出して初めて、液体の性質を体感できるんだ。てめえの嘘はどんなもんだろうな」
私の嘘。いわれて初めて考えた、多分だけど、粘度が高くて深い色をしているんだと思う。匂いは想像つかないけど、足を引っ張るんだろうなって、思った。
最後に思ったのは、なんだろう、こういうクール気取ってるような奴も、パパ活に手を出すんだって、そう思った。