表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
7/18

どうでもいい

俺は千冬。どうでもいいんだ。親が死んだ事なんて別に気にしていない。


でも、春や夏は気にしている。秋が気にしているのは春だけだ。


俺は誰の事も気にしていないし信じてなんかいない。全部どうでもいい。


自分が死んでもどうでもいい。両親が優しかった記憶なんてないのだから。


俺や、秋には。春や夏とは違うのだ。というかなんで気にするのだ?


やった事を後悔し続けるのって馬鹿らしくないか?


人間なんて皆そうだ。優しかったのにある日突然、豹変する事もあるだろう。


所詮その程度の人だったのだて切り捨ててしまえばいいのにな。


あいつらにはそれができないのだろう。俺とは全く違う人間だから。


それに…俺は知っている。春が弟をどうしてあんなにも大切にするのか。


きっと、彼は本当に優しいのだろう。俺と違ってお人好しなのだ。


俺はただの疑心暗鬼でしかない。俺が両親を殺せばよかったのだ…!そうしたら…


そうだ本当は全部どうでもよくなんかないんだ。だって、春が傷つくのは嫌だ。


秋や夏が傷つくのも嫌だ。春を傷つけるくらいなら自分で殺したかったのだ。


そう、俺は親なんてどうでもいいけどそれで春達が傷つくのが嫌なのだ。


でも…それを認めるのが嫌で〝どうでもいい〟なんて言葉で片づけた。


馬鹿だろうな。俺こそが本物の馬鹿だな。末っ子なのが悔しかった。


いつも守られる側で、春は手の届かない所にいてさ…。


最近はどんどん遠ざかっている気すらするのだから。自分勝手に生きる。


それが俺の生き方。そうすれば春が安心してくれるの知っているから。


俺達は春夏秋冬だけどなんで俺だけ千冬なのだろうな…。


まるで、仲間はずれみたいで大嫌いだった名前だ…。冬って呼んでほしい。


皆と並んで歩きたい。認めた瞬間あふれ出てくる次々の想いに惑わされる。


でも…それでいいのだ。その時、秋が「冬君眠れないの?」と聞いてきた。


心臓がどくどくと脈打つ。嬉しくて、嬉しくて仕方なくて。


俺は笑って「ありがとう」と言うと「だって、冬君ずっと気にしていたもん」と


言った。そうだ、秋は俺を置いて行かない。いつも隣に居てくれる。


こんな口数少なくて無口で不愛想で冷たい俺の傍に居てくれる。


秋が「冬君が本当はとても優しいの、知っているよ。だからもっと自信持ってよ。


それからさ、自分勝手なふりも無理してしなくていいのだよ。春君は、そんな事


望んでいないもの。それを分かったら冬君も夏君みたいになれるよ」と言った。


こいつは、全部知っているのだな。俺が夜な夜な悩んでいた事も、


夏にずっと憧れていた事も…。俺は、今とても幸せだよ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ