第六話・合唱
「何がいいとお思いになりますか?」
何故か敬語を使ったアメリアは、卵焼きを口にした。
「そもそも何があったけ・・・。」
「COSMOS、3月9日、時の旅人、カリブ海の夢、手紙、、、」
私たちの地球と、同じなんだ。
「うーん・・・時の旅人とかいいんじゃない?」
ミアらしい、文芸部っぽいチョイスだ。
「金賞を取れそうだよね」
「・・・もう一回確認してみよ!」
朝、配られたプリントを見た。
30曲書かれていた。さっき言ってた曲の他に、空駆ける天馬とか、HEIWAの鐘とかがあった。
「うー、決めがたいですねー」
アメリア、なぜ今日敬語なんだ。
ミアが口を開いた。
「これいいんじゃない?これ前中学の頃先輩歌ってたんだよねー。」
指の向こうをみた。
あなたへ~旅立ちに寄せるメッセージ~
夕暮れ時、先生の、いつもの小さな声が響く。
「よーし、帰りの会はじめるぞー」
「きりーつれー」
「連絡のあるやつー」
級長が口を開いた。
「じゃあ、自由曲の多数決をとりまーす、みんなかお伏せてねー、1回だけてーあげるんだよー、いっくよー!COSMOSがいい人〜・・・。」
「はーい、かおあげてね、自由曲わあああああっっっ」
なぜ溜める、気になるううう!
「っっ!!」
「あなたへ〜旅立ちに寄せるメッセージ〜
でーす!!」
「指揮者は・・あ、ミアちゃんね、よろしく!」
おお!ミアが、指揮、やってくれるのか!
意外とやるな、ミア。
「伴奏は・・・。」
「はい。」
大きな、綺麗な瞳で。
かっこいい声で。
ルフくんが、手を上げた。
ルフくん、ピアノも弾けるんだ。
あ。
ミアと、ルフくん・・
帰りの会が終わった。私はミアの所に走っていた。
「ミア、一緒に文芸部・・・。」
「ルフくーん、一緒に頑張ろうねっ。」
「そうだな!あ、今からちょっと音楽室来て合わせてくれない?」
「いいよー、バイオリンもついでにやりたいしね!」
「文芸部は大丈夫?」
「うん、結構緩いから。」
「そっか。うちの部活も。」
2人は顔を合わせ、その後同じタイミングで笑った。
私の言葉は完全にかき消され、2人が出ていくのを見ることしか出来なかった。
虚無感の中、部活はサボって歩いて帰った。
雨が凄く強く降っている。天気予報では晴れって言ってたのに・・・。