第三話・下校
「おい、なにしてんだよカナ、次、小テストだぞ。」
アメリアとミアは私を待っていたようだ。
学校が終わって部活。私はミアに誘われ、文芸部に所属することになった。
「一緒に帰ろ?」
ミアが誘ってくれたから、途中まで一緒に帰った。
「ここでお別れだね、またね。」
「じゃあね。」
よし、帰ろう。
自転車にまたがり、帰路に立とうとしたところ。
忘れてしまった。
エクルの家を。
「ねえ、ミア」
「なに?」
ミアは首を傾げる。
「エクルの家・・・って、どこかわかるかな。」
「エクル?可愛いよね・・・って、どういう関係!?この時間に男子の家に行くなんて・・・まさか!どうせ・・・」
いや、うん・・・確かに、合ってるよ。合ってるのよ。
「いや、あの・・・ちょっと親の関係で、ね?」
「なんだー、びっくりしたー。確か、あそこの交差点を右で、そのあと左で・・・で、エクルの家だ。」
あれ、そんな近かったっけ。
「エクルとは同じ中学だからだいたい知ってるんだよね。てゆうかカナ・・・ほんとに付き合ってないよね!?」
「ホントだってば!」
ふふっ、と2人で笑った。
ミアは私に手を振った。
「じゃあね。」
「うん。バイバイ。」
私も、手を振った。
そうして、私は独りで歩き出した。