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第2話

   

 有野と松本は、大学時代からの友人だ。高校までとは異なり、クラスという単位が希薄な大学は、有野には居心地の良い場所だった。積極的に人付き合いをするタイプではないため、大学時代の友人のうち今でも親交が続いているのは、もう松本だけだった。

 といっても、別に趣味が合ったわけでもない。松本はテニスサークルに所属し、いつも大勢の人間に囲まれていた。有野は正反対であり、サークルにも入らず、時間があれば漫画やアニメに夢中になっていた。いわゆるオタクなのに、有野の何を松本は気に入ったのだろうか。有野には不思議なくらいだった。

 ただし有野は、松本のことを別世界の人間だと感じても、彼と遊んでいて退屈だったり、自分を(みじ)めに思うことはなかった。松本が語る日常は、アニメに出てくる青春そのものであり、聞いているだけで面白かったのだ。

 もしも松本が、彼自身の世界に有野を引き込もうとしたならば、さすがに鬱陶しく思ったかもしれない。だが今まで、そのような干渉をする男ではなく、だからこそ有野も松本を気に入っていたのに……。


「なんだよ、松本。僕に女を紹介しよう、って話かい?」

「いや、そんなつもりじゃない。安心してくれ」

 苦笑いする松本の向こう側では、山口という女性が目をパチパチさせている。当の女性がいる前で口にするセリフではない、と思ったのだろうか。

「ごめんなさい。私、迷惑でした?」

「いや、そんなことないですよ」

 本心とは真逆(まぎゃく)の言葉を口に出しながら、有野は考えてしまう。

 実際、今夜の件は松本が言い出した話ではないのだろう。有野にその気がないのは、松本も十分理解しているはず。会社の後輩に頼み込まれて、仕方なくセッティングしたのではないだろうか。

 女性との交際経験はないが、外見的なスペックは悪くない、と有野は自負していた。身長は平均より高く、松本ほどではないがルックスも二枚目の部類だ。出身大学も一流であり、就職した会社も同様。履歴だけ見ればエリートコースだから、話を聞いた女性には、優良物件に思えたのかもしれない。

   

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