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任務開始2
海谷視点 まだ続きます
いや、撤回だ。
事情を知らなくとも新田に嫉妬なんてする訳がない。
…この恐ろしく容姿の整った男に。
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定位置の窓際の席で外を眺める新田は、浮いていた。
決してハブられてたという意味ではない。むしろ人気者だと思う。
オレが言いたいのは、騒がしい教室に似付かわしくないほどの美貌ということだ。
細身の体に端正な顔立ち、どうせ無意識であろう表情も仕草も人を惹きつける何かがある。
隙間風に吹かれてさらさら額を隠す黒髪の一本一本まで、オレのような一般人とは違う。
今日も、新田が溜息を吐くだけで反応しない奴はいなかった。
物憂げという言葉はこいつのために出来たんだろう。
絵になりすぎて危うく写真を撮りたくなるところだったが…
奇しくもそれを免れたのは、新田のおかげだった。
「水が…水面が!」
伏せがちだった目を一気に見開いて、
慌てたように立ち上がったあいつを。
オレは「まさか…」とジワジワ広がってくる焦りを必死で収めながら、
ただ呆然と見ていた。
次も他キャラ視点です。女性初登場