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氷点下の世界で俺は。  作者: 砂月
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レイクサイドラボ

学園の端に広がる綺麗なターコイズブルーの湖は、毎日見ていても飽きない絶景だ。


膨大な敷地ならではの開放感、静かな真澄の水、多様な生物の暮らす気配。


この辺りに来ると自然と心が安らぎ、力がみなぎるような感覚になるのは俺だけじゃないだろう。


しかし俺が向かっているのはその隣にあるレイクサイドラボ、非常に残念な建物である。


朝陽を反射する白い壁は良いとして、無数のガラス窓がSFっぽくて気味が悪い。


「なんでラボだけこんなに近代的なんだ?」


とりあえず鳥の巣頭に疑問を投げかけてみる。


「ん、まあそりゃラボだからだろ」


「でもキャンパスの雰囲気ぶち壊しじゃね?」


「まあな。てかお前、嫌なことある前に現実逃避する癖やめろ」


…バレてたのか。


てか俺、そんなにこいつと仲良かったっけ?


え、まさか全学年に知れ渡って…る訳ないな、自意識過剰か。


とはいえ。


「う〜ん。けど今できることなくね?」


喚いたところでエントランスは目の前だ。


後はエレベーターに乗ればすぐに着いてしまう。


あ〜あ、宮本はいい感じに緩くてノリの良い先生だったんだけどな。


年間で唯一の課題を忘れてきたとなれば、評価下がるかも。


「諦めるのにはまだ早いです。僕はそう思う」


…は?


後ろから少々息を切らしながらハァハァと声をかけてきたのは、他でもならぬ岡部だ。


「岡部?お前どうした」


「そうだぞ岡部。いくらなんでもあと数十秒でレポート書き上げろっつうのは無謀というか酷じゃね?

俺なんて昨日徹夜して書き上げたんだぞ」


「いえ、それは今関係ありません」


「は?」


「とにかく、いいから出来るところまで死ぬ気で書いてください新田君。海谷君には後で説明しますから」


「お、おう」


訳が分からないが、やらない理由もない。


胸ポケットから万年筆を出して、鞄の隙間から乱暴に抜き取ったしわくちゃの紙を広げる。


目の端で周りの景色を捉えながら、俺は解剖の内容を必死で思い出して書き殴った。



日常描写が続いていますが、次回から段々と主人公の無双ぶりが始まります!

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