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氷点下の世界で俺は。  作者: 砂月
2/11

冬の始まり2

門をくぐるとだだっ広い十字路が現れ、緑川と俺は迷わず右へ曲がった。


銀杏の並木道を進むとジョージアン様式の白い建物が幾つか見える。


どれも通学生用のハウスだ。


ここ、メリウス学院には寄宿生と通学生がいる。


割合は3:1ぐらいだろうか、少数派の通学生でもかなり立派な寮が与えられ、授業の前にはここで出席を取られる。


談話室やキッチンはいつでも出入り自由で、自習時間や昼休みに入り浸る生徒も多い。


この方針は、代々英国人の理事長が決めたことだ。


真ん中の藤を絡ませたドアに手をかけ、俺はあくびを噛み殺す。


「ふわ〜ぁ、行くぞ緑川」


「よっしゃ、30秒早い」


ハンドルを回してドアを開けた途端、今までも漏れていた話し声が数倍になって聞こえてくる。


「お、新田!緑川!」


「お前ら今日もギリギリかよ〜」


「飴いる?もうこの缶捨てたいんだけど」


相変わらずうるさい…けど憎めない友達だ。


甘いものを口にしたい気分なので飴は貰っておく。


「ありがとう」


手を伸ばしかけたとき、腕にパシャっと冷たい感触を感じた。


「わ、悪りぃ!」


牧田が太った体を弾ませて頭を下げている。


「シャツ濡れてるよな、俺のと交換…って、え?」


目を皿のようにしている牧田を見て俺も腕に目をやると、そこに染みなどなかった。


冷たいベトッとした感触もない。


「…うん、気にしないで」


俺は首を傾げながら曖昧に笑いかけておく。


きっと見間違いだったんだよな。

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