義妹をいじめた罪とやらで退学処分を言い渡された
別の短編と関連はありますが、単体で読んでも問題ありません。
※とあるキャラがゴネ得な嫌な子になってしまっていたため、後日談を加筆しました!ごめんなさい。ご指摘下さった方、どうもありがとうございました!!
「エレノア・ジルバート!貴様はこの学園に相応しくない。私の名において退学処分とするッ!」
名前を呼ばれて振り向いたと同時に、退学を言い渡された。
声の主は人指し指をこちらに向けてつきだしており、思わず寄り目になって指先を凝視してしまった。
(どこかで見た事がある気がするけど…誰だったかしら)
ビシッとこちらを指し示したままかっこよくポーズを決めている彼。
金髪碧眼の整った顔立ちの男子生徒だが、知り合いではない。
制服のタイの色が赤いので一年生のようだ。
上級生であり、伯爵令嬢である私に対してこんな偉そうな態度がとれるということは侯爵家以上の生まれか、もしくは礼儀作法をきちんと修めていない残念な人か。
(そんな事よりお腹がすいたわね…)
早く食べたい一心で、食堂への近道であるこの中庭を突っ切ろうとなんてしなければ良かった。
そのせいで、やっと午前中の退屈極まりない授業が終わってこれからランチが食べられるとうきうきしていたところだったというのに変なのに遭遇してしまった。
早く行かないと、元王宮料理長である学園専属シェフによる『シェフのきまぐれランチ限定10食』が売り切れてしまう。
このまま無視して去ってしまいたいけど、彼の無駄に良く通る大声のせいでまわりにいた生徒達がこちらに注目してしまっているから変な行動は出来ない。
それに、こういう気位の高そうな男は、家柄が下の女が下手に口を開けば不敬だなどと言いがかりをつけてきたりするから身元が判明するまで何も喋らない方が良いだろう。
私が黙っていると、しびれを切らした彼がいらいらした様子で言った。
「貴様が義妹をいじめている事はわかっているのだぞ!」
「…?」
「しらばっくれる気か!義姉にひどい扱いを受けているとニコ本人から聞いたのだぞ!証拠もある!」
金髪碧眼の彼の言っている事を聞いているうちに、私は気がついた。
あ、これ人違いだな、と。
「…失礼、発言をお許しいただいてもよろしいでしょうか」
「なんだ、ようやく自分のしたことの愚かさがわかったのか」
金髪碧眼の彼が偉そうにふんぞり返って笑った。あまり頭は良くなさそう。
「何か誤解があるのではないでしょうか?」
「なッ…!貴様!!しらをきるつもりかッ!!」
「しらをきるも何も、私には…」
「ルイスッ…!」
言いかけている私の声を遮って、金髪碧眼の彼の後ろから栗色の髪をふわふわと揺らしながら、可愛らしい少女がかけよって来た。
栗色の彼女はそのままルイスと呼ばれた金髪碧眼の彼にしがみつく。
「ニコ!君は来なくていいと言っておいたのに」
「私、ルイスが一緒にいてくれたらどんな試練でも耐えられるものッ…!」
「ニコ…!」
お互いを見つめ合いながらそんなやりとりを始めてしまった2人。よそでやって欲しい。
でも、『義姉』にいじめられているらしい『ニコ』本人が来たのなら誤解も解けるだろう。
それにしても彼の名前はルイスと言うらしいが、よくいる名前だからどこのルイスだか特定できない。家名を教えて欲しい。
そんな事をぼんやり考えていたら、ルイスとやらが思い出したようにこちらを睨みつけてきた。
「貴様!こんなに健気なニコを傷つけたのだ。まずは土下座して謝罪しろッ!!」
だから人違いですって。
ニコさん、早く人違いですとこの馬鹿に言ってください。
という思いをこめてニコさんを見ると…
怯えたように肩を跳ねさせてから、ルイスとやらの後ろにひっこんだ。
何故だか全くわからないが、ニコとやらは現状を解決はしてくれないようだ。
仕方が無いので自分で説明するしかない。
「…さきほど言いかけた事ですが」
思わずため息が出る。お腹すいた。早く終わらせたい。
「私には妹はおりません」
まったく、どうやったらこんな間違いが出来るのか不思議でならない。
我がジルバート家の家族構成は、領民思いの心優しい父、厳しく家を取り仕切る母、脳筋なのに王宮勤めしてる兄、侯爵家に嫁ぐ予定の美しい姉、そして末っ子の私の5人だ。
そもそもこの『ニコ』というご令嬢に見覚えが無いし、私がしたらしい数々の悪行にも心当たりが無い。
これで解決だろうと私は思っていたのだが、何やら2人の様子がおかしい。
ルイスとやらは怒りに満ちた表情でぷるぷると震えているし、
ニコとやらは大きな瞳に溢れんばかりの涙を浮かべてぷるぷる震えていた。
「貴様…!!いつもニコに対してそんな事を言っていたのだな…!『お前など妹と認めない』などと!」
「お姉様…ッ、ひどい…!私が義理の妹だからってそんな言い方…!」
(えー…)
話が通じないし、というかなんでニコとやらが私のことを『お姉様』と呼ぶのか意味がわからない。
妹と言い張られても困る。なにこれ。新手の詐欺なの?ドッキリなの?
「ノア、まだこんな所にいたの」
絶賛修羅場中の中、場違いにのんびりとした声が参入してきた。
彼は、こちらを見物している生徒達の間を抜けて私の横に立つ。
「ノアが狙っていた限定のランチは売り切れだけど、ポトフセットが美味しそうだったよ」
ニコニコと空気を読まずにそんな事を言っている彼。
こう見えてもこの国の第2王子であるフリード様だ。
見た目は金髪碧眼で整った顔立ちの美青年で想像通りの王子様なのだが、どうにものんびりというかぼんやりというか空気を読まないというか、中身は王族っぽい偉ぶった所のない気さくな方だ。
…ん?金髪碧眼の整った顔立ち…
私はルイスとやらをちらりと見やる。と、彼はフリード様を見て驚きの表情を浮かべている。
「あ、兄上。その女とお知り合いなのですか」
やはり。どっかで見た事があると思ったら、フリード様になんとなく似ていたからだった。
侯爵以上の家柄どころか、王族だった。
良かった。不敬な態度とらなくて。
「その女…ってノアの事?というか2人は知り合いだったの?」
フリード様はわずかに眉を顰めてから、私に問う。
「知り合いではありません。お名前もいま知ったくらいですから」
「えぇ?名乗りもしないでノアを引き止めてたの?何の用で?」
「人違いか誤解をなさっているようなのです。私がそちらのご令嬢をいじめたとお思いのようで」
兄であるフリード様が来てくれたならスムーズに誤解を解けそうで、少しだけ安心する。
お腹もそろそろ鳴りだしそうだし、早く終わらせてポトフ食べたい。
「誤解ではありません!実際に先ほど私の前でニコに暴言を吐きました!」
「そ、そうです!!お姉様はいつも私に対して冷たくて…!私は仲良くしたいのに…!」
「ニコ!兄上やここにいる者たちに聞いてもらおう!この女にされた悪行を!」
「はい…!」
え、俺達も巻き込まれるの?という顔をしている中庭に居合わせただけの生徒達。
そんなまわりの様子に気がつかずに、ニコとやらは瞳を潤ませながら話し出した。
「入学してからこの半年、私が何度『お姉様』と呼びかけても無視をされました」
「ニコの友人も無視をされているニコを目撃している」
「夏季休暇のときに、お姉様は一人だけで領地に帰ってしまって…私は馬車も無く寮で一人で過ごしました」
「寮で一人ぼっちのニコを私や他の残っていた寮生も見ている!」
「王都にあるお屋敷に入ろうとしたら門番に止められて…」
「貴様が通さないように言い含めていたんだろう!性悪め!」
「先日のお父様やお母様も参加していた王族主催のパーティーに私だけ招待されませんでした」
「お前達家族がニコ抜きで参加しているのを私も見たぞ!おおかた、ニコへの招待状を貴様が処分したんだろう!」
ひどーい…という顔で私を見るまわりの生徒達。
どうだ!という顔のルイス殿下とうるうるした瞳でフリード様に訴えかけるニコさん。
いやいやいや、だから、妹じゃないって言ってるのに。
確かに最近近くで『お姉様』って声が聞こえる事があった気もするけど、『お姉様』なんて呼ばれた経験の無い末っ子の私が反応するわけがないし、妹ではない令嬢を連れて領地に帰るわけない。
ちなみに王都のお屋敷は社交シーズン以外は脳筋兄が主なので、追い返された件は私でなく脳筋兄を責めるべきだし、王族からの招待状は父に送られるはずで、私が処分なんてできるはずもない。
「ノア、いつの間に妹ができたの?」
フリード様の質問にため息が出る。
「妹じゃないです。というか初対面です」
「ふーん?どういうことかな」
フリード様は首をひねって不思議そうに呟いた後、ニコとやらに質問をした。
「ええと、『ニコ』というのは愛称かな?名前を聞いても構わないかな?」
「は、はい!!コニー・ジルバートです!ジルバート伯爵の三女です!!」
コニー…
どっかで聞いたような…
「コニー嬢はいつジルバート家の養女になったの?」
「半年ほど前です。この学園には貴族じゃないと入れないから…。私が領内の初等学校で一番の成績だったので、お父様が『私が後ろ盾になって王立学園に入学出来るようにしよう』って言ってくれて…」
半年前。
後ろ盾。
コニー。
ああ~…
ニコさんの身元がわかった気がする。
私の父、ジルバート伯爵は学問を奨励している。
領民の中で優秀な者がいれば、教材費、留学費など審査のうえ喜んで出す。
領内にいくつも学校があるのも父が建てさせたからだ。
そんな父は、領内の学校で特に優秀な生徒がいれば、国内最高学府である王立学園へ入学出来るように手配もする。要するに『後ろ盾』だ。
ここ王立学園の入学資格は、入学試験で一定の成績を収める事と、爵位のある者の子供である事。
しかし、これには例外があり、平民でも爵位のある者が身元を保証するならば入学が可能である。
半年前。
春の休暇中に領地の屋敷へと帰った時に、コニーという少女を紹介された。
栗色の髪をおさげに結っており、シンプルなエプロンワンピースを着ていた。
コニーは緊張しているのか、下を向いたまま皺になるほどスカートをぎゅっと握っていた。
父から、彼女が今年の優等生であり、父が保証人となって王立学園に入学する予定だと聞いた。
しかし、毎年そうやって入学する人がいたため、今年はこの子か、くらいしか印象に残っていなかった。何よりずっと下を向いていて彼女の顔は見えなかったのだから、会ってもわからなくて当然だった。
髪型も違うし…
「ニコは優秀だったから伯爵の目に留まり、養女となったのだ!貴様はそれを妬んだのだろう!」
ルイス殿下が自分の事の様に誇らしげに言った。さっきの指をビシッと突き出すポーズだ。
気に入ったのかもしれない。
「後ろ盾になる、って言われただけ?」
フリード様がルイス殿下をシカトしてコニーさんへの質問を続ける。
「養子縁組の手続きはしたの?」
「え、あの、手続きとかは…お父様がやってくれたんだと…思います」
「ふうん。娘になってくれとか、そういうこと言われた?」
「え、ええと、お父様が王都にあるお屋敷で『自分の家だと思って寛いでくれ』と言って広い部屋をくださって」
それお客様に気を遣って言う台詞だし、コニーさんが学園入学準備中に王都の屋敷で泊まってたのは多分客室だ。
「それに、『何か困った事があればジルバートの名前を出していいからね』と言ってくれました」
それ、何か問題を起こして保証人が必要な時とかの話であって、ジルバートの名前を名乗っていいという意味ではないのだけど…
まわりで強制的に証人みたいにされた生徒達も、コニーさんが勘違いして妹を名乗っているだけと気付いてくれたようで、同情的な雰囲気を感じる。
フリード様のおかげでようやく解放されるかな?と思っていたのだが、ルイス殿下はわかっていなかったようだ。
「兄上!お聞きの通り正式な伯爵家の令嬢であるコニーに陰湿ないやがらせをしたこの女の罪が重い事はお分かりいただけたかと思います」
えっ…という控えめな声が数箇所からあがる。
王子殿下に対して無礼に当たらないであろう最大限のつっこみだ。
私も、心の中でえー!?とものすごく叫んだ。声には出してないけど。
ふう、と横からため息が聞こえた。
見ると、フリード様が微笑んでいた。目以外。
「ルイス。君の頭ではわからないようだからきちんと説明してあげるね?」
「は…?」
「まず第一に、罪を犯しているのはノアでは無く、君だよ」
フリード様は穏やかで軽やかないつもの声から一転。低く、静かな声で話し出す。
「ノアに対して『この女』だの『貴様』だの、何様だ。頭が悪い上に素行不良で王位継承権を剥奪された第8王子の分際で」
「「えっ」」
ルイス殿下とコニーさんが同時に反応した。
2人とも初めて聞いたみたいな顔だ。いやいや、コニーさんはともかくなんで本人知らないの。
「そのうち正式に通達が来るよ。君は君の母上の実家である子爵家に養子に入るか、どこかの領地を与えられるかのどちらかだ」
「そ、そんな…ッ」
「第二に」
無視して進めるフリード様。誰も口を挟めない。なんか恐いから。
「ノアがコニー嬢に嫉妬などありえない。何故ならノアは学年主席であり、素行も品性も美しさも他の令嬢の追随を許さない完璧さで、かと思えばダンスで足をうっかり踏んだ時のてへぺろ☆は可愛いし、毎日限定ランチを楽しみにしている姿も愛しいし、枝毛を見つけてため息をついている姿は儚げで」
「フリード様!話が逸れてます!」
たまらず話を遮ると、フリード様は咳払いをして一旦落ち着いた。
ルイス殿下とコニーさんはさっきの話のショックからか呆然としているし、まわりの生徒たちは「え、フリード殿下とエレノア様ってそういう関係なの?」とこそこそ話している。
いやいや、違う違う。ただの知り合いです。
私の兄が王太子殿下の護衛騎士なんかやってるもんだから、王太子殿下と母が同じ(正妃様)で兄弟仲がいいフリード様と交流が多いだけですよ。
あと同じクラスだから。
フリード様はなんかこういう恥ずかしい冗談を真顔でさらっと言ってくる悪い癖があって心臓に悪い。
ホント、勘違いしそうになるからやめて欲しい。
「第三に、コニー嬢がノアの妹じゃない事は私が保証する」
「あ、兄上!!その女…エレノア嬢の事を庇うのですか!!」
「だってつい先日ノアに関連する戸籍とかそういう書類を見たばかりだから」
「えっ、タイミングよくそんな…何故戸籍なんか…」
ルイス殿下の疑問は、そのまま私の疑問でもある。
王族とはいえ、王位継承権第2位の王子とはいえ、戸籍なんてそんな勝手に見られるもの?
私が疑わしげにフリード様を見ると、何故か照れたように頭をかいてはにかむフリード様。
「だってほら、婚約を交わす時って、そういう確認必要だろう?」
「…はい?」
「本当は、正式に結ばれた後に言って驚かせようと思ったんだけど」
「な、何ですか?誰と誰が婚約するんですか?」
「やだな。この流れで私と君以外に誰がいるの?」
い、いやいやいやいや。ちょっとちょっと。
なにこれ。なんだこれ。突然すぎてついていけない。
「ノアのご両親喜んでたよ。父さんと母さんと兄さん夫婦も」
「父も母も知ってるんですか!?陛下と王妃殿下と王太子ご夫妻も!?」
「あ、あとラングリットも」
「兄はどうでもいいです!」
王位継承権第2位の人の婚約者って…荷が勝ちすぎてない?
なんで私が?
「ノアは私と婚約するのは嫌?」
「えっ」
「ノアはいっつも恥ずかしい冗談ばっかり言うなと言っていたけれど」
フリード様が私の顔を覗き込んでくる。近い。
「全部本心だったんだよ?」
可愛いとか。この世で一番美しいとか。愛しいとか。
そういうの全部、冗談みたいにさらっと言ってたそういう言葉全部が、本心?
後頭部にちりちりと痺れる様な感覚が走る。
その部分からじわじわと熱が広がり、顔全体、首、胸、と順番に熱くなっていく。
心臓がだんだんと早く大きく弾み始め、音が耳に響いてくる。
なにこれ。
なにこれずるい。
綺麗な顔して王子様のくせに、顔を真っ赤にして少し不安そうに私の反応を待っているフリード様。
婚約者になるのが嫌なわけ無い。
小さい頃から兄にくっついて王宮に遊びに行っていたのはフリード様に会いたかったから。
学園に入学してから必死に勉強したのは、フリード様と同じAクラスから落ちないため。
少しでもそばに居たかったから。
冗談でも甘い言葉を聞いていたかったから。
憧れの王子様の横に立つなんて、考えた事も無かったのに。
「婚約、受けてもらえる?」
フリード様が、首を傾げて問うてくる。
「…そもそも、王族からの申し込みを断ったりできませんし…」
それに、ずっとお慕いしてましたし…
ぼそりと小さく言ったら、フリード様は満面の笑みで私を抱きしめた。
「ありがとう!」
私を抱きしめたまま、まわりの生徒達にもありがとう!と言うフリード様。
拍手が起きた。私にはフリード様の胸しか見えないけど、祝福の声が聞こえるから、変な空気にはなっていない…といいなと思った。
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~後日談~
結局、話が逸れすぎて忘れていたが、『妹をいじめた罪で退学処分』の件は当然無かったことに。
そもそも学園長にしか退学処分の決定権は無いわけで、たとえ陛下であってもそんな権限は無いとの事。
ジルバートの名を勝手に名乗ったあげく、私に対していいがかりをつけたとして、コニーさんとルイス殿下は厳重注意を受けた。
コニーさんは、勘違いから私に対して失礼な態度をとってしまった事を反省して、「学校を辞めて働き、伯爵家から受けた支援金を返します!!」と言って土下座で謝罪をされた。
しかし、うちの父が勘違いさせるような事を言ったせいもあるし、成績や素行は良かったため、卒業まで引き続き支援を続けるという話に落ち着いた。
さらに、何がどうしてそうなったのかわからないが、脳筋兄がコニーさんを嫁にすると言い出して婚約することになった。
跡取りのクセに結婚に興味がなかった兄がそう言ったことで、伯爵家の存続を心配していた両親は反対しなかったし、私としても実害はポトフを食べ損ねた事くらいだったので思うところはない。
学園を卒業後、母がコニーさんを立派な嫁にしつけると張り切っていた。恐い。コニーさん頑張れ。
結果的にはコニーさんはジルバート家の人間になり、私達は本当に義理の姉妹になる事になった。
不思議な縁だ。
ちょっぴり不憫なのはルイス殿下だ。
愛しのコニーさんは脳筋に奪われ、王位継承権は剥奪され、学園卒業後は側妃である母親の実家の子爵家に養子に入るそうだ。
この子爵家。代々騎士の家系で、ルイス殿下の叔父にあたる現当主様は辺境の地での魔物討伐を任務とする辺境騎士団の団長を務められており、殿下も当然そこに行く事になる。
勉強はそこそこだが元騎士である母親仕込みの剣の腕はなかなかだそうで、意外と合ってるんじゃないかしら?と側妃様が艶やかな笑みで仰られていた。可愛い子には旅をさせるそうだ。
私はといえば、学園卒業後にフリード様の妻となり、慣れないながらもなんとかやっている。
第2王子妃という肩書きや公務に慣れないというのもあるが、一番は顔を合わせるたびに囁かれるフリード様の甘すぎる愛の言葉に、である。
恥ずかしすぎていつか爆発するかもしれない。
ジルバート家の次女のお話。
脳筋兄の存在感がすごい。
誤字のご指摘ありがとうございました。お恥ずかしい。
※後日談を加筆しました!コニーがゴネ得になっている、とご指摘下さった方、どうもありがとうございました!!不快にさせてごめんなさい!