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異世界転生を夢見るお前らへ  作者: 龍ヶ宮禅
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雌山羊は大嫌い 中

 経歴も資産もない裸一貫の女がここジョグジャカルタに来たとしたら何ができるか?


 そんなものは売春くらいしかない。


 学のない男は肉体労働、女は売春。現代日本はともかく、発展途上国でも覗いてみればこんな話はいくらでも転がっている。


 伊達にここジョグジャカルタに住んでいない。ここいらの風俗店は大体どこも制覇している。性病?魔法で治るさ。大体高校生くらいのときはどんな女の裸でも勃起するだろ?


 俺は知っているかぎりのの風俗店を回って新入りの獣人娘にあたっていく。やたら豪華な剣をぶら下げた、お上りさんの美女。


 商売女にも徹底的にあたっていく。どんな世界でも女は噂話が大好きだ。それにこっちには転生者という魔法の経歴がある。玉の輿ワンチャン狙いの女どもはペラペラマシンガンのように喋りだす。




 日が沈むまで風俗店巡り。それでも戦果ゼロ。


 この街で私娼は二種類の運命を辿る。ブスは袋だたき、美女は大手にスカウト。旧ソ連では兵士は畑に生えてくると言うが、異世界では娼婦は金のなる街路樹。サコーとかいう女は後者だと思っていた。


 娼婦になっていないとしたら、何をしてる?素性もわからない出稼ぎ女を雇って働かせるのは日本の外国人実習生制度くらいだ。


 俺はふと、嫌な考えが頭をよぎった。日も沈んできて、そろそろ夜の街としても顔が出てくる頃。俺は足を早めた。




 まともに働いてるやつが知らない場所。どんな街にもそういうところはある。ここも例外ではない。


 さながら地下世界。俺はそういうやつらとも繋がりがある。転生者は金持ちだから、いろんなネタを持ち込んでくる。


 地下一階から地下三階までをぶち抜いた地下空洞。小さな東京ドームみたいな施設。ただ違うのは、ピッチャーマウンドの代わりに頑丈な金網でできた八角形のリングがあること。


 獣人の伝家の宝刀という片刃の剣を振り回してオークを血祭りにあげているのは、話に聞いたサコーという小娘だ。見て納得。なるほど美形。


 観戦しているのは男ばかり。それも脂ぎって太ったいかにも成金と言った風体。


「龍ヶ宮殿。気にいっていただけましたかな」


 卑屈な笑みを浮かべて俺に付き従っているのはここのオーナーだ。後ろには屈強そうなボディガードが二人控えている。


「あの娘は?」


「なんでも腕に覚えがあるとかで。報酬をちらつかせたら山羊人族の誇りにかけて戦うと意気込んでましたよ」


 オーナーは唇だけで笑った。


「本当に、戦わせるだけか?」


「勘が良い」


 好色そうな笑みを浮かべる。俺はこういう娯楽は正直好まない。


 一匹のオークを斬り殺したサコーを取り囲むように、三匹のオークがリングに登場した。サコーが思わず息を呑む。


 三匹のオークは十手と呼ばれる武装解除用の打撃武器で武装していた。問題はそれだけではない。


 下半身になにも身に着けていなかった。俺にこれ以上の描写はさせないでくれ。ようするにそういうことだ。


 噛ませ犬だった一人目のオークとは違い、サコーをじりじり追い詰めていく。十手で宝刀を弾き飛ばし、サコーを組み伏せる。


 ここから先に何が起こったかは想像のとおりだ。此処から先はノクターンノベルスへどうぞ……と言いたいところだが俺にはこれを表現できるほどの文才はない。そういう描写が見たかった一八歳以上の諸君は書店にでも行ってフランス書院の官能小説を買ってくることだ。真面目な話、ここでそういう描写をすると小説家になろうの運営に睨まれる。


 ただ俺が言えることはこの世界は美人に現代日本ほど優しくないということだ。


 観戦している男たちは下半身に添えた右手を上下させている。栗の花の臭い。意味がわからなければググってくれ。俺はこんなこと描写したくない。


 つまらん。俺は観客席に座った。ここは客に飲み物も出す。俺はジンライムをオーダー。酒でも入れないとこんなものは見ていられない。



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