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いつも口数が少ない私がそんなことまで言ったから、皆がはっとして口をつぐむ。こんなにしゃべるんだって思われたらしい。
竹中が気づいた。嬉しそうに大声を出した。
「あ、ああ~、もしかして鹿島さん、この商品のプロジェクトに参加していたとか? 営業に来る前は商品開発部だったんでしょ。ああ、すっげえ」
それをきいて皆も納得していた。そうだったっけと思いだしている様子。
「一応、そんなとこです。特にこの商品に意見を言わせていただいきました」
そう言って皆に背を向けた。
この商品だったからつい力説していた。私らしくないこと。皆が早くこのことを忘れて欲しいと願う。誰の顔も見ずにパソコンの画面を見るふりをした。もう私の頭の中では午後からまわる薬局に、幾つくらいサンプルを持ってまわろうかと思案していた。
そんなことがあり、珍しくお昼の時間まで社内に残っていた。いつもなら昼休み前に会社を出て、どこかでランチを食べてから営業に回るのに。女子社員たちが時計を見て、財布を手に立ち上がる。ハッピームードのオーラが目に見えるようだ。表情が光り輝いていた。
彼女たちは律儀に私にも声をかけてくれた。
「鹿島さんもお昼、一緒に行きませんか?」
その日の私はサンドイッチを用意していた。
「ありがと。でもお昼、持ってきたの。それに一軒、電話待ちだし、ここで食べます」
たとえ、お昼を用意していなかったとしても、後で誰かと待ち合わせをしているとか、今、ダイエット中という言い訳でもしていただろう。
それは学生時代のお友達ごっこ。そういう雰囲気は昔から苦手だった。なぜ、女子は誰かと一緒にご飯を食べるのか。グループとして群たがるのだろう。原始時代の猛獣から身を守るためなのか。SNSなどない時代、孤独にならないように一緒にいるのかなんて考えたりする。
授業を受ける時みたいに、それぞれが自分の机に向かって黙々と食べればいいといつも思っていた。皆一人になるのが怖いんだ。だから、この時のために友達の顔をしてつるんでいる。誘い、誘われて笑顔を振りまいて仲間ごっこをしているようだって思っていた。私が誘いを断っても、誰も残念がる人はいない。昔からいつもそうだった。
案の定、その女子たちは私の返事など気にも留めず、他の男子社員たちにも声をかけていた。最近、会社の前にできたランチのおいしい店に行くようだ。新谷部長までがその仲間に入っていた。八人ほどの大きなグループができあがった。
「僕はさっき、ついでがあって外へ出たんです。そん時、空腹に耐えきれなくて、ハンバーガーを買っちゃって。それ、食べたばかりなんでメシはいいっす」
そう断るのっぽの男子の後ろ姿が見えた。外へ出て行く仲間に手を振っていた。




