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6月に入ったばかりのある朝。朝からカンカンに日が照って、女性なら日焼け止めを塗りまくりたくなる。いやいっそのこと外出したくねぇ!そう叫びたいくらい晴れていた。
その中、真央達 仲良し3人組は、おしゃべりしながら登校中だ。
「毎日、あっついよね。梅雨入り宣言出たのに」
「そうだね。晴れて気持ちいいけどこう暑くちゃね 真央」
未希が声をかけると、げんなりとした顔の真央がいた。
「何、真央その顔は」
「俺は夏が大嫌いだぁ 暑いし。そして何より」
「男子の視線が、気に入らない?」
未希の指摘に真央は、大きく頷く。
「真央にとっちゃ尚更よね」
波奈の一言にさらに真央は頷いた。
衣替えしてから、男子も女子もブレザーを脱いで半袖のポロシャツだけになった。
私服を見せた事があるのは今のとこ橋田だけ。だから体のラインを他の男子に見られた事がない。
先日、真央の胸の事を話してるのを見かけてから男子の視線が、真央は気に入らない 。
元男子高校生だから女子の胸を批評した事はもちろんある。だが、クラスメイトとこそこそと、胸の批評してたのがそらに見つかり、鉄拳制裁の上半殺しにされた。
あの頃は男なんだからしょうがないだろ。女子の胸を批評したくらいで半殺しなんて理不尽だ。そう思ってたのだけど、今は男だった時の真央を半殺しにしたそらの気持ちも少しは分かる。 男子からエッチな目で見られるというのは苦痛でしかない。まぁだからといって、そらみたいに、半殺しにはしたいとは思わないけど。
教室に入るとこそこそと男子達が話してるのが目に入る。
「長谷川、あいつの胸でかくね?」
「だよな、でかいよな。背はちっこいのにな。ブレザーの下にあんな胸が隠されてるなんて、反則だろ」
――またかよ。
さっきまでげんなりとした気分だったけど、今はあのアホ男子共に雷落としたい。
真央は自分の胸について批評してた男子二人組の前に仁王立ちする。
「 おめえら 朝から何の話してんだあ? 」
怒鳴りつけようかと思ったが、怒りのあまり魔王の如く地を這うような低い声になった。
男子二人組は、真央の魔王の如し低い声と鬼のような形相にビビった二人組は「ナンデモナイデス」と言って、話題をシフトしていった。
「 長谷川、お前なんて顔してんだよ。こえーな」
橋田に言われて慌てて真央は笑顔をつくる。
「 俺、そんなに恐い顔してた?」
「 ああ鬼みたいにこーんな顔してさ。怖かったぞ」
大げさに真似する橋田に、真央はわざとむくれてみせた。
――好きな人に変な顔見られて、こっちはむちゃくちゃ恥ずかしいんだよ。
「 俺はそんな顔してないって」
「 はいはい、真央ちゃんはかわいいですよ。恐いお顔してません」
ポンポン頭を撫でながら言う橋田 。真央は恥ずかくなり、わざとむくれてみせる。
「 気軽に真央ちゃんとか呼ぶなって!恥ずかしいから辞めろ 後 苦労して結んだ髪が乱れるだろうが!頭なでるんじゃねぇ」
真央は、そう怒鳴り橋田から離れた。けど真央は、橋田に近づき一言。
「真央ちゃんって呼んでいいぞ」
橋田が嬉しさのあまりまた恥ずかしい事を言いそうだから、そそくさと橋田から逃げのだった。