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長谷川真央はTS娘!~妹の理不尽な理由から女子として転生した俺の物語~  作者: ねこた まこと
オマケ 真央達が、高校生になるまでのいくつかの出来事。

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第二ボタン




桜の咲き始めた、3月のある日。真央達は、卒業式を迎えた。

卒業生が、あちこちで友人や後輩達との別れを惜しみ、記念撮影を行っているなか真央は、卒業証書を手に持ってある人物を探していた。


「未希、渉見なかった?」

「渉ならあっちで、後輩の女子に囲まれていたわよ。」

「なにー早くいかないと、第2ボタンなくなるじゃないか」


真央は、人混みをかき分けると後輩の女子に囲まれた渉が、いた。

面倒見のいい渉。そのせいか、後輩の女子から人気があった。

まあ、そのお陰でいらぬ誤解を生んでは、真央がぶちギレてたのは一回や二回じゃない。

それでも、どうにか三年間二人の関係は、続いた。



「渉!」


真央が、大声で呼ぶと渉は自分を囲んでいた後輩の女子達をかき分けて真央の元にやってきた。


「ゴメン。真央。あの子達が、どうしてもって言うから。」

「ハイハイ、わかったから。それよか、渉さん。あなた、スゲー事になってますけど?制服が。どいうこと?」



渉は、自身の制服を見る。ブレザーのボタンというボタンは、取り尽くされ、おまけにポロシャツのボタンまで、取られてる。


「えーと、それはですね。先ほどの子達にもみくちゃにされまして、その時にもぎ取られたものと思われます。はい。」

「弁解は、以上ですか。私は、このあと未希や波奈、ミズキひなと一緒に女子だけで、三城駅(さんじょうえき)近くのカラオケで、卒業パーティーの予定ですので、ここで、失礼します。」


真央は、そう言って踵を返した。

一方的に言うだけ言って、去っていく真央の背中を見ながら渉は、ポケットの包みを取り出して、ため息をついた。



真央は、ボタンというボタンをむしり取られてる渉に腹をたてた。

彼女である自分に渡せるように、死守するとかせめて、渡せるように、取っておいてくれればいいのにと思う。

別に、第2ボタンじゃなくても、ポロシャツのボタンでも、よかったのだ。

この姿に生まれ変わってはや三年、自分を大事にしてくれる人と過ごした三年間の記念として、真央はボタンが欲しかった。

それなのに、渉は、あっさり後輩の女子にボタンをむしり取られてる。お人好しにも程がある。その事が、真央には、悲しかった。


未希や波奈やミズキと合流しても、ボタンをむしり取られてる渉の制服が、頭から離れずカラオケを楽しむどころでは、なかった。


カラオケが、お開きになってミズキと二人で、家に帰ると門前に渉の姿が、あった。


「ちょっと、いいか?真央。」

「何?私は、渉に用はないよ。」

「いいから、来いって。」


渉は、強引に真央の腕を引っ張り走り出す。


「わわ、痛い。渉離してってば。」

「もう少しだから。」


暫く、走って来たのは、住宅街の通り。


「ここ、覚えてるか?」

「えーと」

「ここさ、シバケンのサインボールが当たったって、真央が嬉しそうに話してくれたところだよ。ニヤニヤ笑いながら歩いてて、声かけたらサインボールが当たったって、見せてあげるからって家まで、来いって誘ってくれたんだよ。」


真央は、すっかりその事を忘れていた。

確か、あの頃の自分は俺と自分の事を呼び今より言葉使いも乱暴だった。

外見は、女の子だけど中身は男子だったあの頃、二人を繋いだのが同じ野球チームが好きという話題だった。


「今の今まで、忘れてたよ。すっかり。渉は、覚えてたんだね。」

「俺は、ここを通るたびに、真央の嬉しそうな顔が忘れなくてさ。あの出来事なかったら多分、今もただのけんか友達かもな」

「あはは。最初は、けんかばっかりしてたもんね。懐かしい。」

「ま、話は、このくらいにして、これやるよ。」


渉は、話を強引に終わらせるとさっき渡せなかった包みを真央に渡す。


「何?」


真央は、怪訝そうな顔でぐしゃぐしゃになった包みを開ける。


「これ、第2ボタン?」

「それだけじゃねえよ。もう1つ何かあるだろ?」


渉に言われて、包みから何かを、出してみる。


「これってリストバンド?」

「そうだよ。俺とお揃いなんだよ。色も、カーブのチームカラーの赤。第2ボタンと一緒に渡そうと思ったのに、真央が、一方的に怒って行っちゃうから、渡せないし。」


珍しく、渉が怒っていた。真央は、渉の話を聞かずに怒った自分を恥じた。


「ごめんなさい。私が悪かったです。」


素直に、真央は謝ると、リストバンドを付けてみる。さっきは、気づかなかったけど今見たら、真央のイニシャルMが、白いフェルトで施してある。


「ありがとう。大切にする。」


満面の笑みを浮かべて真央は、お礼を言った。


「4月からも同じ学校だけど、同じクラスになるとは、限らないからな。お守りだよ。浮気しないように。」

「しないもん。その為に、同じ学校選んだんだから。」


真央達は、4月から中島市中心部にある高校に通う。



「そっちこそ、浮気しないでよ。」

「わかってるよ。しねーよ。真央に怒られたくねーし。」

「もう、誤解生むようなことしないでね。お人好しもほどほどにしてよ。」

「……善処します。」

「約束だよ。」


真央は、そう言って、背伸びして渉の頬にキスをした。


「えへへ、おまじないだよ。浮気しないようにね。」


絶対、浮気しないと渉は、心の中で誓った。



最後まで、お付き合い頂きありがとうございました。

最後の3話に出てきた、服部ひなプラスもう一人が、次回作の主人公です。

ではまた。

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