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長谷川真央はTS娘!~妹の理不尽な理由から女子として転生した俺の物語~  作者: ねこた まこと
オマケ 真央達が、高校生になるまでのいくつかの出来事。

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進路相談


「 どうしよ」


真央は、自室の机に置いた一枚の紙を目の前にしため息をつく。

紙には、「 進路希望調査票」とある。

真央自身は、志望校を絞りこんだつもりだった。

だから、その志望校を書いて提出するだけだったが、先日、担任から言われた一言で、決心が揺らいでいた。


「 本当にどうしよっか? 東高(ひがしこう)と中島高。どっち受けよう?」


真央は、これまで何度か提出した進路希望調査票には、「中島高校」を第一希望と書いてきた。

「中島高校」は、真央の住む中島市の中心地にある公立校だ。

だが、担任からは、同じ公立校でも、芸術科がある中島東高校の受験を薦められた。

理由は、真央が将来、美術系の大学へ進みたいと、考えているからだ。

中島東高校芸術科の美術コースからは、有名な芸術系大学、美術系大学への進学者を何名も輩出している。

だから、今回の進路希望調査票を渡された時に、薦めてきたのだ。



「……だけどなあ、生前(まえ)と同じ学校に行くのも、どうかと思うんだよね

それに、渉は、中島高受験するって言ってたし。ひなも中島高って言ってたよななー 私だけ、仲間外れなんて嫌だー」


と叫び、真央は、持っていたシャーペンを放り投げ、パタリと机に伏せてしまう。


「 東高は、確かに、美術系大学への進学考えたら、有利なんだよね。生前(まえ)も、それで選んだし」


そう思うと、迷う。生前(まえ)も、美術系大学への進学を視野に入れて、中島東高を選び、高校進学した。

確かに、絵を描く事は好きだ。だから、画家やイラストレーターといった絵に携わる仕事がしてみたいと思う。

その一方で、別な方面にも、興味があるし、渉と別の学校に行きたくないという思いもあるから、余計に悩む。


「誰か、私に救いの手を差し伸べてくれないかなー」


ピンポーンと、真央の呟きに答えるかのように、玄関のチャイムが鳴った。


「 誰だろ」


真央は、椅子から降りて、玄関へ向かった。


「 はーいって、ひなかぁ」

「 私じゃ、いけん訳?」

「いや。そんな事ない。むしろ、タイミングがいいとゆうか」


真央は、そんなやり取りをしながら、ひなを招き入れた。


「 ねぇ、タイミングがいいって、どういう事なん?」


真央の部屋に通されるなり、ひなが、訊いてくる。


「 志望校の事で、悩んてからね」

「 あん? 私と同じ学校じゃったろ?」

「 あっそうなんだけどね」


真央は、ひなに、担任から言われた事で、自分の決心が揺らいでいる事を説明する。


「 ……なるほどねー。でも、最初の希望通り、中島高にしとった方がええと思うよ」


と言って、ひなは、ズズッと出されたお茶を、一口すすり、続ける。


「それは、なして (なんで)かって言うとね。第一に、真央が、美術系以外にも、興味がある。第二に、渉くんと離れたくない。特に、前者の場合。後悔して、美術系大学以外の大学進学考えた時、勉強とかが大変じゃと思うんよね。

まあ、推薦とか色々入試あると思うけど、落ちたら、一般入試を選択しないといけんじゃろ。その事考えたら、普通科がええもんね。まぁ、周りの大人の意見じゃけど」


ひなは、そこまで言うと、お煎餅に手を伸ばす。

真央は、ひなの今の話を聞いて、理解した。


生前まえのように、本気で、美術系に進みたいのなら、ともかく。今は、他の方面にも、興味があるし、渉は一緒の学校に行きたい。


「 ひな、ありがとう。やっぱり、私、中島高を受けるよ」

「 どういたしましてー。好きな人と、同じ学校に行きたいって思う事は、悪い事じゃ、ないと私は、思う。だって、私も、仁のやつと同じ学校行きたいし」

「 あれれ、仁って誰ー?」


ひなは、しまったという顔になるが、時すでに遅し。

真央は、ひなに根掘り葉掘り、聞き出した。


その日の夜。真央は、進路希望調査票に、第一志望校を「中島高校」と書き込んだのだった。

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