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長谷川真央はTS娘!~妹の理不尽な理由から女子として転生した俺の物語~  作者: ねこた まこと
8章 そらがいなくなった。

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渉が帰った後、真央は、しばらくボケっとしていた。


「なんで、あんな事言ったかな?」


――私を好きで、いてくれますかなんて、少女マンガじゃあるまいし。

今になって恥ずかしくなってきた真央は、頭を抱えて、唸り声をあげたり、ゴロゴロしてみたりと、しばらく意味不明な事をしていた。


そこへ、ミズキが帰ってきた。



「ただいま。真央、何やってるの?」

「ちょっとね。それより、私って言えたぞ」

「そっか、言えたんだ。えらい、えらい」


ミズキは、真央の頭をなでなでする。

ちょっと、ムッとしながら、真央は言う。



「子供じゃないから、撫でられても嬉しくないってば」

「そうだね。そういえば、そらは?」

「さっきまで、人の事からかって遊んでたけど。いないな。」


その時、真央は、夜寝る前に、戻ってきて人のベッドに入り込むんだろう。そして、いつものように朝になったら、ギャイギャイ煩くしゃべるに違いない。そう思ってた。


夜、いつものように寝る準備を済ませて、ベッドに入る。

先にベッドに入りこんで、寝てるそらに、声をかける。


「そらーお休み。そら?もう、返事くらいしろっての。」


真央は、そう言って布団をかぶった。



「真央!真央ってば。」

真央は、そらの声で、起こされる。

「あー遅刻するって、そらお前」



真央が、跳ね起きると、今では、見慣れた白い猫姿ではなく、生前の姿女子高生姿のそらだった。


「驚いた? そうよね。驚くわよね。突然だけど。あんたに、お別れ言いに来たの」

「はあ?意味わかんねーよ」

「意味わかんないって、そのままよ。私の役目っていうか、目的は果たしたから天国に行くの」


そらは、上を指差す。


「目的って、俺の事ずっと、見守ってくれるんじゃねーのかよ」

「私いなくても、大丈夫でしょ。渉くんいるし、ミズキや未希ちゃんと波奈ちゃんもいる。ママもいる。それに、猫のそらは、一緒よ。猫としての寿命が、終わるまではね」

「だからって。急にいなくなるなよ」

「だって、私が満足したんだから、いーじゃない。じゃーね。バカ兄貴。私の分まで、長生きしろよ。渉くんとお幸せに」



そらは、言いたい事だけ言うと、さっさと行ってしまった。


「そらーまてよ。そらー」


真央は、自分の声で目が覚めた。目尻をぬぐうと、水滴が付着する。


――なんなんだよ。急に。目的果たしたとか、自分が満足したとか。勝手な事言ってんじゃねぇよ。



「そら?」


さっきまでの事が、夢であって欲しいとそう思い、そらを抱っこしてみる。

だが――


「んにゃにゃん!」


猫のそらは、元気よく鳴いてみせるだけだ。

朝から、抱っこしてもらえたのが、嬉しいのか、ゴロゴロと喉を鳴らしてる。


「嘘だろ?」


「真央ちゃん。早くしないと、遅刻するわよ。ミズキちゃんもう、準備出来てるのに」


部屋の外から、桃子が声をかけてくる。

真央は、そらを抱っこしたまま、部屋を出て、桃子に確認する。



「母さん。そらが、しゃべらない」


桃子は、怪訝そうな顔になり、こう言った。



「何言ってるの?真央ちゃん。そらは、最初からしゃべらないでしょ。」

「でも。そらは、私と一緒に」

「さっきから何言ってるの?生き返ったのは、真央ちゃんだけでしょ。しっかりしてよー。女の子になって、もうすぐ1年なのに」


変な子ねーと言って桃子は、去っていく。

真央は、制服に着替えると、リビングにいたミズキにも、同じ事を言ってみる。


「そらが、しゃべらないんだよ」

「何言ってるの?真央。夢でも、見たんでしょ。そらは、猫だよ。しゃべらないよ。ごはんーって鳴くけど。ねーそら。」

「んにゃーん」


そらは、ミズキに話しかけられて、返事するように鳴いた。


学校へ行って、教室に入ると渉が、話しかけてきた。


「真央。今朝変な夢みたんだけど。」

「渉も?」

二人は、他の人に聞かれないよう教室を出た。


「そらさんが、夢に出てきて私の役目終わったから真央の事をよろしくって。どういう事だと思う?」

「あのね。私も変な夢みた。」


真央は、今朝の夢の内容説明し、そらが、しゃべらない事を話した。


「そらが、しゃべらなくった。しかも、桃子さんも、ミズキも喋ってた事を忘れて、それどころか、最初からしゃべらないって言ったんだ。」

「うん。渉と私だけみたいだね。そらの事を覚えてるの」

「そうだな。俺らが、覚えてるだけで十分だろ」

「うん。だけど。」

「くよくよするなよ。真央が、元気じゃないと、そらさん心配するぞ。天国で。」

「わかってる。今だけ、泣いてもいいでしょ?」

「今だけな。」


真央は、しばらく、泣いていた。渉は、真央が落ちつくまで、待っていた。




後、数話で終わりです。もうしばらく、お付き合い下さいませ。

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